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ドクター・ブラッドの解剖推理

女子大ってどんなところなんですかね?

アニメのお嬢様学校みたいに男子が行ったらワラワラと群がってくるのかな?

だとしたら行きたい。

美少女に囲まれたい。

一方その頃、慧聖女子大で羽柴は・・・・・・




ピーンポーンパーンポーンーーーーー・・・・・・・



「あーテステス。どうも淑女の皆様ー、名探偵コ◯ンです。半分嘘だけど。朝っぱらから事件があったんでー、お嬢様方の中に、三浦優梨さんの情報を持っているご友人はいらっしゃいますでしょうかー。よろしければ、第二広場までお越しくださーい」


 校内放送を駆使して、三浦の交友関係調査を行なっていた。もちろん、無断で放送室を使っている。




-10分後 第二広場-

 慧聖女子大の正門から1番遠い広場には、先ほどのふざけた放送に誘われた100人を超える生徒が集まっていた。

 事の発端は10分前・・・。羽柴は水越に会うまでの30分をどう使おうと考えて歩いていた結果、校内放送用のスピーカーを見つけたので、放送で呼びかけようと思い立ったのである。

 羽柴が現れると、生徒たちは黄色い悲鳴を上げ出した。既に大学中で注目の的になってしまったようである。羽柴は広場の段差に立ち、政治家のように手を振ったりしてファンサービスを施したりして、しばらく女子大生たちにちやほやされていた。

 満足したところで、女子大生たちに放送で集めた真意を話した。


「はぁいどーもー!変なお兄さんですぅ〜。放送でちょっと言ったけど、今日来たのは〜三浦優梨ちゃんがぶっ殺されたんで〜、情報提供を求めてやってきやした。ご友人の人、ハイ手ぇ挙げてー!」

 羽柴の発言を聞いた女子大生達の反応は三様だった。非日常的なことが起きてテンションが上がっている無関係な傍観者、同学の生徒が殺人事件に巻き込まれたことに対する怖さを感じる三浦の関係者、そして三浦と関わりがあることで何をされるか不安な顔をしている数名の友人。

 少しして、恐る恐る手を挙げながら羽柴の前に3人の女子大生が躍り出た。他の女子生徒の前であることを気にもせず、羽柴は3人から情報を聞き出した。


「だいじょーぶ。オタクらが犯人じゃないのは分かってるから」

「え・・・?なんで分かるんですか?」


 疑われることを恐れていた三浦の友人は、安堵した様子で理由を尋ねた。

「バラしちゃうけど、首に切創があってさぁ。それがあまりにも見事な手際でね?流石に医学部とはいえ生徒にできるものじゃないでしょ。あ、死体の写真とか一応撮ってあるけど見る?」

 友人らは首を振って全力で拒否した。3年生で既に解剖実習の経験はあったが、殺人遺体を、しかも昨日まで普通に学生生活を一緒に過ごしていた友人の死体を見れるほど、耐性も精神力もなかった。

 本当に死体を見せる気でいた羽柴は、興が削がれたのでスマホをポケットにしまい話を続けた。

「お前らさ、三浦の人間関係上のトラブルとか知らない?もしくは他に親しいヤツとかいる?」

 羽柴の問いに、3人は顔を見合わせて頷いた。


「・・・同じゼミの水越先生、かな」

「水越?医学部教授の?」

「はい。解剖学に詳しい先生で、ゼミの講義の時は結構仲良さそうに話してました」

 ここでも、水越という男の名前が上がった。三浦と水越の関係は、大学では周知の事実だったようだ。というか、恐らく大抵の生徒と親しい間柄なのだろう。被害者との関係が深いことは分かったが、加えてもう一つ知っておきたいことがある。それは、外から見た水越の印象や性格だ。

「なあなあ、水越ってどーゆー人?」

「うーん・・・理想の男性って感じですね。優しいし、頭いいし、あとカッコいいし!

生徒の中では凄い人気です」

 なるほど、水越は女性人気も高く知性もある。つまり、(はた)から見たら完璧な人間という評判で通っている訳だ。これは、後で会うのが楽しみになってきた。

 「ほー、そんな良い男なのかい?嫉妬しちまうねぇ」

「お兄さんもけっこうイケメンだと思いますよ?」

「あらら、いい子ですねー。そんな君達にはミントキャンディを贈呈しよう」

 捜査に協力してくれた女子大生たちに菓子折りで持ってきたミントキャンディを配って解散させた。

 もうすぐ面会の約束時間となるため、羽柴は水越の待つ医学部の研究室へ向かった。







-医学研究棟-

 入口に設置されていた案内マップに沿ってエレベーターに乗る。3階で降りた羽柴は、奥にある水越の研究室を目指した。ノックも呼びかけも一切せずにドアノブを回し中へと入る。

「文字通り邪魔するでー」

研究室に入ってまず思ったことは、意外と薬品の匂いではなく芳香剤のような香りがすることだった。白い室内には棚の中に所狭しと薬品や実験器具、医学者が並べられており、そんな中を1人の男性が解剖用器具を消毒している。生徒たちが話していた通り、白衣が似合う理想の医学者でありイケメンを体現したかのような甘いマスクを持っていた。 水越は消毒液をメスの側に置き、自分を訪れた羽柴と向き合う。


「ああ、貴方が私を訪ねてきた探偵さんですね。・・・優梨君が殺人事件に巻き込まれたと聞きました。先生として、教え子が悲惨な目に逢うのはとても悲しく心の痛いことです。彼女との関係が知りたいのでしょう?」

「うん。生徒の噂だと結構仲良かったんでしょ?しかも女子に大人気で完璧な医学者って感じだと聞いたぜ?」

「あははっ、みんな私を買い被りすぎなんですよ。私はただの医学者なだけなんです。勿論、可愛い子たちに期待されて嬉しいのは本当ですけど、プレッシャーがちょっと・・・」

「人の目を気にしなきゃいけないとは、生き辛い世の中ですなぁ・・・・・・それはともかく」


 羽柴はスマホの遺体写真を水越に見せて、喉の切創をズームした。

「医学的に見て、この傷をどう思う?」

 水越は写真に顔を近づけて注意深く見ている。教え子の死体を見ても、水越は眉一つ動かさない。さすが、解剖学の専門家は心構えが違う。

 暫く傷を見つめた後、水越は意見を述べた。


「・・・向かって右端の切り口が一番薄い。これは、先に右から刃物を入れられた証拠です。つまり、犯人は右から左へ切ってるので、恐らく左利きでしょう。しかも、位置的に左右の頸動脈をキレイに切っている。とすればかなりの出血があったはずです。でも、写真に写っている地面を見る限り、出血痕は何もなかったんですよね?」

「おう」

「となれば・・・やはり殺害現場は別の場所でしょう。大量の血も処分しなくてはいけませんし、犯人の自宅とかじゃないですかね。多分、地下室とかあるんじゃないかと。そこなら、血の処理も排水があればできると思います。返り血も安心して洗えるでしょう」

「・・・・・・ほうほう。なるほど、結構筋が通ってる推理じゃん。犯罪プロファイラーに転職したらどうだ?」

「いえいえ、有り難いですが結構です。私は、解剖学の研究をしている時が1番楽しいと感じていますから」

「あらそう?失敬、失敬」


 この医学博士の言う通り、解剖学的見解はほぼ合っているだろう。どんな環境で犯人が喉を切り裂いたかも、探偵目線でも筋は通っている。しかし、遠回りというか寄り道をしている気分だ。彼の言うことには、まだ決定的な何かが足りない気がした。いや、足りないというより違うパーツを組み合わせさせられている気分だ。

 とは言っても、これ以上いたら変な疑いを持たれてしまう。特に今は用もないし、今日は帰ることにしよう。

「では、もしかしたらまた来るかもしれませんがその時はよろしくね」

「はい。その時は」

羽柴が研究室のドアノブに手をかけた時、羽柴は水越に振り返った。

「あーそうそう。一つ聞きたいことがあってさ」

 急に早歩きで肉薄する。水越は羽柴の行動に少し戸惑う。そして、羽柴の口からある質問が言い放たれた。
















「好きな色って何?」

 羽柴のやり残しは、ただ水越の好きな色を聞くことだった。拍子抜けした水越は、質問に対して普通に答える。


「え、私ですか?

そうですね・・・・・・

古い感じの赤が好み、ですかね」


 羽柴は「そうっすか」と言い残し、今度こそ研究室を出た。その時の羽柴の表情は水越には見えなかったが、企みが成功したようなしてやったり顔だった。

今回の事件かいつかかは知らないですが、マジの頭脳戦とかやりたいです。

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