06
ついにアレノマ王国に入りました。
いわゆる国境での検閲というものが無い、自由な通行が許されております。
いえ、密入国し放題というわけではなく、
我が国で悪さするヤツには絶対に容赦しないという、
来るなら来やがれ的な強い姿勢と余裕の表れ、でしょうか。
覚悟の無いヤツは北方に来るな、という、
自己責任極まれりな修羅の国なのかも。
そもそも魔導国家群の各国は、
それぞれが独自の入国管理システムで守られていて、
ハンパなぶらり旅野郎なんてお呼びでないそうですが。
「ニーケの街の側には"メネルカ魔導国"という独特な国がある」
「強大な結界に守護された要塞型都市国家で、リヴァイス魔導界の聖地と言われている国」
「もちろん入国審査は厳格で、魔法力に劣る者と男性は絶対に入国禁止」
「流石に私も行ったことは無いが、ロイさんのお仲間の数人が入国を許されたと聞く」
「どんな国だったのかを聞いても、メネルカ国内での出来事を誰も覚えていないそうだが」
おそらく、強力な精神魔法による記憶操作、でしょうね。
正直、好き好んで行きたい国ではありませんな。
まあ、男子禁制という時点で、そもそも俺は論外ですが。
『シジマさんが女装してシジマ子ちゃんするフラグ!』
やめてチミコさん、冗談でも想像させないで。
「特徴の無い地味顔だから、化粧すれば化けるかも……」
ちょっとモルガナさんっ、地味顔扱いはいつものことだけど、
その先の魔改造はご勘弁ですよっ。
「……」
ツェリアさんがリアクションに困っております……
「まあ、何をするにしても、ニーケの街でいろいろ情報収集してからってことで」
「北方諸国って、いろいろと厄介なことも多いけど、北方料理だけは認めざるを得ないね」
北方名物料理に関しては、モルガナさんのお墨付きってことですね。
もしかしてニーケの街に、馴染みの定宿とかあったりしません?
「無いこともなくはないけど……」
「あの頃から、良くない代替わりとかしていなければ、凄くおすすめ出来る宿」
「温泉と美味しい北方料理と……たぶん美人女将」
うはっ、三拍子揃っちゃってるんだ。
お楽しみ満載ですね。
って、たぶん?
「何せ以前泊まったのはそれなりに昔だから」
「でも、あの女将のお孫さんなら、きっと美人さんに育っている、はず……」
お孫さん……