22
朝、みんなは元気にお目覚めしたようです。
昨日は夜遅くまで話し合ったのですが、シャキッとした結論は出せず。
結局、お風呂に入って一晩ゆっくり休んでから考えようってことに。
で、今朝はこんな感じ。
ツェリアさん主導の朝食準備部隊が、
ツェリアさん、サイノさん、モルガナさん。
焚き火跡を囲んでの食卓準備部隊が、
ミュンシェラさん、ジュリヲさん。
それらをのほほんと眺めているのが、
チミコさんと、俺。
『この多人数全員が入れるテントで良かったね』
だよね、みんながぐっすり安眠出来たのは、
モルガナさんの新しいテントのおかげだよね。
今回の突発的多人数な野営お泊まりでは、
いつもの移動式マイホームを増築改装せずに、
サイノさんが持ってきてくれた魔導テントを使いました。
"一軒家テント"と呼ばれているソレは、
例のごとくアリシエラさん製のトンデモ魔導具。
『空間』魔法をバリバリに使っていて、内部はまさに一軒家な規格外テント。
居間は広々、寝室いっぱい、豪華キッチンにゴージャス浴室。
アリシエラさんによる、お風呂好きなシジマ家のためのスペシャルチューンで、
特に浴室は広さも快適さも、めっちゃこだわっているのです。
昨日の晩、乙女4名が全員一緒に入浴しても全然余裕でしたね。
俺とジュリヲさんも、広々贅沢お風呂でのんびりさせてもらいましたよ。
『ツェリアさんがイチバンだった!』
ふむ、もちろんお胸マイスターさんの感想ですから、
"どこが"とは、あえて聞きませんよ。
「朝食、出来ましたよ」
はーい、いま行きまーす。
---
朝食と朝の身支度を済ませて、
いよいよ真剣話し合い、再開。
「実は昨日のうちに、話し合いの方はほとんどまとまっております」
あー左様ですか、おおかた昨日のお風呂会議で決まっちゃったのでしょうね。
「ジュリヲさんと私は、ジョウトさんが合流次第、すぐにエルサニアに向かいます」
ふむ、サムライマスターの旦那さんが来てくれれば、道中も安心ですね。
それで、アレノマ王国にあるという、組織の集落の方は。
「そちらにはルーリシェラさん率いる特務部隊が向かいました」
「ジュリヲさんによると危険は全く無いとのことですので、いま集落を治めている幹部たちとの話し合いで解決出来そうです」
「すでにアレノマ王都にもエルサニアからの使者が向かっており、組織の処遇は可能な限り穏便に進める方向で調整することになっております」
「というわけで、あの組織に関しては問題無く事態を収拾出来る目処が立ちました」
はい、お疲れ様でした。
後はミュンシェラさんと旦那さんが再会するのを待つばかり、ですね。
さて、サイノさんは、これからどうします?
「これからもシジマ家には用心棒が必要であろうというのは、サイリ家を含むみんなの見解」
「よって、しばらくは皆さんとのぶらり旅を楽しんできなさい、というお兄様の指令を優先」
「つまりは、今後ともよろしく」
はい、よろしくお願いします。
では、今後のシジマ家ぶらり旅は乙女4人体制ってことで、
みんなもよろしくね。
ヨシッ、これにて一件落着!
……いや、待った。
俺的には、まだ疑問アリですね。
ジュリヲさんが俺に接触してきた理由が、いまだに分からんのですが。
「あの……一目惚れ、です」
……おっと。




