02
てな感じで相変わらずな、のんき過ぎるぶらり旅。
4人家族でのチームワークもイイ感じに整い、
いよいよリグラルト王国を離れ、
更なる異国を目指す旅へ。
『それで、次の行き先は?』
えーと……どうしよ。
リグラルト王国周遊は考えなしにうろうろするだけでも楽しくて、
実はまだ次の候補地すら決めかねている駄目家長なのです。
ここは一発、最年長のモルガナさんに全てを託して……
「歳上を強調し過ぎ」
「行き先を迷ってるなら、とりあえず一度エルサニアにでも戻れば?」
なるほど、"初心忘れるべからず"、ですな。
いえ、このパーティーを結成したのはタリシュネイア王国だったのですが、
俺たちの旅の原点は、やっぱりエルサニア王国ってことで。
まあ、このパーティーのメンバーには、
誰ひとりとしてエルサニア王国出身者はいないのですが、
この際だから御礼参りちっくに凱旋するのもよかろう、ってことですよね。
「いや、そんな大層なもんじゃなくて」
「せっかくだからサイリさんやフォリスさんの所に、一度顔を出してきたらって思っただけ」
ふむ、ロイさんのお仲間で、カミスさんの大親友でもあるおふたり、
とても頼りになる方々だそうですが……
確か、サイリさんって、
エルサニア王国の勇者召喚とは違うルートで召喚されて、
世界を丸ごとどうこう出来ちゃう凄い固有スキルで大活躍。
本人はおとなしいインドア派なのに、
生来の人助け気質が暴走気味に様々な事件を呼んで、
その上何故か、らぶらぶイベントてんこ盛り。
今はエルサニア大森林の最奥にあるご自宅でハーレム三昧という、
めっちゃお痩せさんながらスッゴいイケてる冒険者、でしたよね。
「うん、だいたい合ってる」
「シジマさんと同い歳くらいだし、のんきなところも似てるから、きっと気が合うと思うよ」
でも、ハーレムマスターなんでしょ。
「あれって、ハーレムって言うより、ほとんど扶養家族……」
了解、何となく分かりました。
巻き込まれ体質な優しいお人好しさんってことですね。
「凄く正解」
えーと次は、フォリスさん。
ご実家は代々続く"魔灸の森"の狩人。
おひとりさまの森暮らしから、
たまたま救助した姫騎士系冒険者さんとご結婚。
それ以降、何故かイベント巻き込まれ体質になり、
特に精霊さんたちからめっちゃ懐かれまくりで、
その上何故か、らぶらぶイベントてんこ盛り。
今は魔灸の森の最奥にあるご自宅でハーレム三昧という、
職人気質な凄腕狩人さん、でしたよね。
「うん、ほとんど合ってる」
「シジマさんと歳も近いし、真面目とはっちゃけのバランス感覚がよく似ているから、きっと気が合うと思うよ」
でも、ハーレムマスターなんでしょ。
って、ロイさん界隈ってハーレムマスターばかりですな。
そもそも、ロイさんご自身が立派なハーレムマスター……
『シジマさんもすでにリーチ!』
いえ、俺なんかまだまだですって。
ツェリアさんが正妻、
チミコさんは居候、
モルガナさんは監視役。
ほら、ハーレムの"ハ"の字も無いでしょ。
『アネッサさんとか、オーシェさんとか、ヒアスルミネアさんとか、ペネトレーアさんとか』
ちょっと、チミコさんっ。
混ぜるな危険! ですよ。
言っちゃなんですが、絶対にカウントしてはいけない人物が約1名……
「ペネトレーアさん、ちゃんとしてる冒険者には凄く優しいんだけどな」
おっと、言っちゃいましたね、お名前。
アレな波風立てぬよう、ぼかしたかったのに……
って、モルガナさん、もしかしてお知り合い?