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街道を、あてどなくぶらぶらと。
俺としては、わざと隙を見せて、
ちょっかい出してきそうな連中を誘ってるつもり。
でも、はたから見れば、
乙女4人をふらふら連れまわしている駄目リーダーそのもの。
まあ、いま大事なのは、
周りからどう見られるかじゃなく、厄介事にどう対処するかなので。
そういえば、サイノさんの実力の程をまだ聞いていませんでしたね。
めっちゃ強いとは聞いておりますが、具体的にはどんな感じです?
「攻防共に物理・魔法問わず何でもアリ」
「最初は相手を分析、弱点を看破したらひたすらウィークポイントを攻める」
「普段は徒手格闘だけど、有効な武器があれば迷わず使ったり作ったり」
「基本それだけ」
なるほど、効率重視でクレバーな闘い方を好む、と。
いつもサイリさんに一途なサイノさんらしいやり方ですね。
「何だかロイさんの友人って、何でもアリな凄い人たちがたくさん集まってきてるよね」
「サイノさんもそうだけど、アシュトさんの奥さまのマルミさんとか、アマツさんの奥さまのイオタさんとか、もちろんシジマさんも」
そういうモルガナさんも、凄い人カテゴリーのおひとりですよ。
でも、その凄い人軍団筆頭の鏡の賢者さんが一目置くほどのサイノさんって、
どれだけスゴいのか想像も出来ないです。
「凄さの示し方は人それぞれ」
「モノカさんの、私でもビビらされるほどの極大闘気とか」
「ライクァさんの、真に圧倒的な鍛練の極みボディとか」
「ハルミスタさんの、膨大な力を見事に制御している超絶魔法力とか」
「ヴァニシアさんの、嫌になるほどのわがままボディとか」
「アランさんの、ドン引きしちゃうジゴロっぷりとか」
……やはり気になるのは、アランさんでしょうか。
噂に名高いその圧倒的なジゴロっぷり、
会いたいような、会いたくないような……
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とまあそんな感じで、シジマ家も大賑わい。
頼りになるフレッシュ乙女もスポット参入。
なのですが、昨日から気になっていたことがひとつだけ。
もしもし、サイノさん?
「はい?」
サイリさんの呼び方が安定していないのは何故です?
お兄さんとか、お兄さまとか、お兄ちゃんとか。
「だって、うちの兄貴って凄く照れ屋さんだし……」
なるほど、察しましたよ。
様々な呼び方をすることによって生じる、
サイリさんのリアクションの違いを楽しんでおられる、と。
ご本人不在の場でも、その言動には微塵のブレも無し。
まさに真正お兄ちゃんっ子ですな。
「……チミコさんに質問」
「シジマさんへのツッコミって、どの程度のレベルまで許可?」
『たぶんサイノさんの全力ツッコミだと、シジマさんの五体満足度と豆腐メンタルに超危険信号』
『なので、物理攻めも言葉責めもほどほどに!』
「了解した、では……」
「なんでやねんっ」
デュクシッ
ウッ……
えーとたぶん、サイノさんが照れながらだと、
ツッコミ加減にゆらぎが生じるのですね。
めっちゃイテェ……




