01
『リヴァイス 96 異世界観光者と奔放な隠者の宴』の続きで、
観光者シジマのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
大家族らしさって、人数ではなくて面子の多彩さなのかも。
最近いろいろと考えてしまう、
家長のシジマです。
異世界冒険ぶらり旅、元気に楽しく進行中。
新加入のモルガナさんは、経験豊富でとても頼りになるお姉さん。
若さゆえに暴走しがちなシジマ家面々を優しく導いてくれる相談役として、
小さな身体で大活躍。
「うそは、よくない」
……ごめん、嘘ついた。
確かにモルガナさんは、この世界の放浪歴こそめちゃ長なのですが、
何せご本人が隠遁気質バリバリ。
隠れキャラちっくに風来坊ムーブするばかりの人生だったそうで、
つまりは、単身活動歴のみに年季の入った、熟練ぼっちお姉さん。
「確かにいろいろと足りてないところもあるが、ぼっち言うなし」
『モルガナさんは、豊富な経験を活かしたアドバイスとか、年長者らしい頼り甲斐とか、大人の女性の包容力とか、いろいろ全然足りてないけど、一緒に旅してるとすっごく楽しい!』
流石は、正直妖精チミコさん。
その表現はまさに、ド直球ストレート。
本質を真っ正面から撃ち抜いております。
「シジマさんもチミコさんも、モルガナさんとの旅がとても楽しいと言いたいのですよ」
「私も、同じ気持ちです」
流石は、我が家の頼りになるお母さんポジション、ツェリアさん。
全てを優しく包み込むその包容力、実に見事なソフトランディングっぷり。
「シジマ家って居心地は悪くないんだけど、時々妙にムズムズさせられちゃうよね」
「まあ、サイリ家も似たり寄ったりだったけど……」
お褒めに預かり恐悦至極。
その評価、家長冥利に尽きます。
……褒め言葉ですよね?
---
唐突ですが、この世界の家名について。
俺の名前はヤツタカ シジマなので、
"シジマ家"じゃなくて"ヤツタカ家"だろ、
などとお思いの方もおられるかもしれませんが、
このリヴァイスという異世界、その辺はかなりアバウト。
要は、その家を興した家長が好きに名乗っちゃって良いのです。
ファーストネームだろうがファミリーネームだろうが、
どれを家名にしようと家長のお好み次第。
もちろん、ミドルネーム持ちの人なら、それでも可。
だから、我が家は"シジマ家"
異論は認めない。
「誰に説明してるの?」
いえいえ、あくまでひとりごとです。
モルガナさんがファミリーネームを教えてくれたら、
我が家でそれを名乗っても良いのですよ。
「絶対イヤ!」
以上、
"シジマ家"からのお知らせでした。