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裏ルートの攻略後、悪役聖女は絶望したようです。  作者: 濃姫
第四章 【悪役聖女】の末路 
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ヒロインの転落

・ 【悪役令嬢視点】です。

 はぁあい♬ 絶賛大険悪ムードの渦中に挟まれ優雅に観戦中だよ〜!って、実際は胃に穴が空きそう…。最初こそ楽しむ気満々でいたけど無理!


 だって周りの野次馬から見れば完全に色恋沙汰だし、ただでさえ視線を集めるのに慣れてない私からすれば胃がキリキリと…、


 

 「俺とエディスは『()()()()』なんだよ。いくら婚約者様でも横から口を挟まれる言われはないぜ」

 「だから最低限ぐらいの礼儀は守れと言っているでしょう。公子がその様ではエディスにも迷惑が被ることを理解できないのか」

 「何だと? 俺は『()()()()』として言ってるだけじゃねぇか」

 「ロイア、これ以上は本気で止めなさい」

 

 徐々にヒートアップし剣気を醸し出す二人に此処で待ったをかけたのは驚くべきかな、ロイシア公子だ。

 滅多にその温厚な人柄を崩さない公子だが、これ以上は公爵家の名誉にも関わると判断したのだおろう。普段とは違う険しい顔立ちにあのロイアでさえも口黙っている。


 

 「重ね重ね申し訳ございません、エディス公爵令嬢。今回愚弟が起こしてしまった件に関しましては後日アグレイブ公爵邸に正式な抗議文をお送り下さい」

 「……いえ、これぐらいの小競り合いに両家を巻きこむ訳にはいきません。ただし、ロイア公子の言動に再度注視して頂きませんと次に問題を起こした時に私は容赦致しません」


 これぐらい言っておけば大丈夫だろう。そもそもこんなまだ自分の立場を理解できてない子供のせいでロイシア公子に負担がかかるのは本位じゃないしね。


 消化不良に終わってしまい不満を表すミシェルには悪いけど公爵家同士の付き合いはこれからも対等なものでなければならないから、今はこれで良かったのだ。



 さて、何か途中から話がそれて目的自体見失いそうになってたけど事態が無事…?解決したところでさっさと本題に移ろう。

 このままじゃまたいつ問題が起きるか分かんないしね。



 「ミシェル…、(わたし)は少し令嬢達の所へ行ってくるから。良い子に待っててね」

 「……あの駄犬が粗相そそうを起こさない限りな」

 こっそり耳打ちしたというのに、あまり意味がなさないぐらいハッキリとロイアを睨みつけちゃって。本人は表情管理が完璧だと自負してるけど、こういうときだけは駄目駄目なんだから。

 さっ、とりあえずその場は任せたところで日頃からご懇意にしている高位貴族の令嬢方の元へ行こーう!



 皆グラニッツ商会のお得意様だから書類上だと深〜い関係にあるけど実際喋ったことなんてないんだよね。だって私つい昨日まで駄目ニートちゃんだったもん。てろぺろ♪


 なんて、アラフォーにもなってな〜に言っちゃってんだか。見た目は美少女、中身はおばさん! いやー、キツイわー。


 って、今世で同年代の女性と喋るの初めてだから緊張し過ぎて変な思考回路になってるし! いけ! 女は勇気、ド根性!!!


 

 「お初にお目にかかります。エディス公爵令嬢」

 『お初にお目にかかります』

 私が彼女達三人の前でピタリと立ち止まると、違和感なく洗練されたカーテシーが披露される。

 中心に立った真っ赤なバラを連想させる髪を持つ令嬢が先頭を切り、それに隙なく両脇のいたこれまた容姿に優れた令嬢二人が付き従う。


 この三人だけでも絵になるというのに、その身に放たれる気品と気迫は本物で内心とても居心地が悪いです。はい。

 いや、なんて言うかね。そう、あれだ。クラスで四軍のすみっコだった私が一軍のグループメンバーに敬意を称される、そういう既視感というか、そういうやつね。


 

 「リジェネ公爵令嬢、ユーグリア侯爵令嬢、フェリネ伯爵令嬢、今宵は私のパーティーにご参加頂きありがとうございます」

 「此方こそ、このような栄誉(えいよ)な場にご招待頂き感謝申し上げたいぐらいですわ」

 「今や帝国の経済を支える御仁のデビューパーティーですもの。いくらきんを釣り上げたところでこの場の価値は推量(おしはか)れません」

 「私達のサロンには招待状が届いたか否かで大変議論になるほどでしたもの。エディス公爵令嬢が積極的に貴婦人達に招待状を送ってくださったことでその配慮も素晴らしいと話題になっておりますし」


 な、何だろうこれは?! 三人の美少女もとい令嬢から向けられるこれまでにない尊敬と敬意の視線! アラフォーには耐え難い眩しさ! これが若さか?!!

 というか本当に彼女たちは私を尊敬しているようだ。さっきから私は一言も喋っていないのにスラスラと賛辞を述べる。それはもう推しの尊さを語り尽くすオタクに近いだろう。


 

 しかしこれがしばらく続くと気づいてきた。彼女達ちょっとどころではないぐらい、凄い。

 やれ私がココがどうしたことでどう影響しただのどう作用しどのような結果をもたらしただの。下手したら私が管理しているギルドと同レベルの情報収集力には感嘆のため息しか出てこない。

 これが社交界を先陣してきた人達。流石、(あなど)られないや。

 


 「皆様、今宵は無礼講(ぶれいこう)。是非私のデビューと婚約を祝しながら、語り合いませんか?」

 「宜しいのですか?! 私、エディス様と語らうなんてそんな夢見心地な…」

 「リジェネ公爵令嬢は私と同じ四大公爵家の人間ではないですか。そのような敬称(けいしょう)は不要ですよ」


 「いえ、私ずっとエディス様に憧れていましたの! 【剣】を誇る我がアグレイブ公爵家では特にあの『ハンドクリーム』に魅了(みりょう)されたものが後を立たず、その効能はまさしく素晴らしいものでっ」

 なるほど。彼女がここまでの好意を私に向けてくれるのはそれが理由だったのか。

 確かに剣士は日常的に剣を握り剣だこができやすいからその点では『ハンドクリーム』は効果てきめんだっただろう。



 「リジェネ様、エディス公爵令嬢が少々困惑されておりますよ」

 「ぁ…、ごめんなさい私ったら。あの馬鹿弟のようには決してならないと誓っていたのに…」

 その馬鹿弟とは限りなくロイアのことを差すんだろうけど、どれだけ嫌なんだろう。


 あれほど自信に満ちあふれていた令嬢がしゅん…と迷い犬のように方を落としている。

 これがもし意中の男性の前で行われていたらギャップ萌でイチ殺間違いなしだろう。



 「いえ、大丈夫ですよ。ですがそこまで好いていて下さるとは驚きました。ユーグリア嬢もフェリネ嬢も、私のことは構わずエディスとお呼びになって下さい。私ずっと対等なお友達が欲しかったんです」


 「まぁ、噂と違えず何と慎ましやかで寛大な御方でしょう」

 「今後社交界でエディス様が困らぬよう、少し早いけどお掃除してしまいましょうか」

 何やら物騒な会話が聞こえなくもなくもないが聞こえなかった。うん。そういうことにしていよう。



 まぁ令嬢達との距離も繋げれたことだし、本当の意味での本題。ヒロインの現状について調べていこう!





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