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裏ルートの攻略後、悪役聖女は絶望したようです。  作者: 濃姫
第二章 【原作】始動
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閑話 とある部下の愚痴

※ 【オルカの部下視点】です。

 …正直言って、勘弁してほしいと思ってる。それは誰に対してか。もちろんそれは、俺の主オルカ様に関してである。


 俺の名はレデ。孤児院上がりの聖騎士だ。と言ってもやってることは正規の聖騎士じゃあり得ない内容の仕事ばかり。自分でもやくやるよと内心呆れてるレベルだ。


 神殿の聖騎士なんてほとんどが貴族上がりで構成されてるんだから当然その輪の中に入れて貰えるはずもないんだけど、まぁ仕草や言葉遣いをいくら取り繕ったところで素が変わるわけでもないしな。


 孤児として死にかけの俺に手を差しのべてくださったオルカ様には一生掛けても返せない恩があるのは確かだけど、やっぱこの仕事だけはどうしたもやりたくない。


 俺の主な任務は聖女様の監視と護衛。監視は毎晩その日に起こった些細な事を一句一語抜かりなしに報告すること。たとえば今日聖女様は幾度ため息を吐いたのかとか、酷いときには瞬きの回数まで報告しなければならず、集中力が半端ではない。


 それにあんまり見すぎると聖女様から軽蔑の目を向けられるのが一番キツイ。俺が言うのもなんだが聖女様マジで天使。めちゃ優しいし気遣い凄いし仕事完璧だし、マジ天使。その天使にまるでゴミでも見るかのような目を向けられる俺って…、とほほ。


 まぁ俺これでも駒の中じゃ首位争うぐらい強いんだよ? けどさぁ、やっぱ上位に入る奴ほど頭ぶっ壊れてる訳よ。この間なんか出会い頭に首チョンパされそうになってガチギレしたわ、マジで。


 で、唯一まともな俺が無事この大役に抜擢されたって訳。正直者が痛い目を見るってマジこのことだわ。あ~ー早く辞めたい。真面目に仕事するほど報われないこんな仕事今すぐ他のやツに押し付けたいぃ!!


 それにさぁ、長いことこの仕事してると見えちゃいけないこと見えてくるわけよ。たとえば聖女様と主の関係とか、うん。ぶっちゃけこれに関しては100%聖女様の味方なんだよな。だって(あるじ)お帰りにられた後の憔悴(しょうすい)酷いし。逆によく精神保ててるなと尊敬すらしてる。


 さらになんかよく分からんヤベェ奴も引っかけてるっぽいし、ホントなんであんな仕事完璧にできてんのって突っ込みたくなるレベルだわ。

 

 あ、でもついに最近なんか世界会議で帝国の第一皇子にも目を掛けられたせいでストレス爆溜まったのか一回派手に暴れたんだよなぁ。あれで逆に安心したわ。やっぱ同じ人間なんだって。だって完璧すぎてもはや主とは別の意味で人間か疑うまで来てたし。


 …その後ちゃんと見張ってたはずなのに一晩見失ったの報告したときは死んだと思ったけどな。あれはこえーよ。我が主ながら魔王ですかと言いたくなった。てかもううちの主の人間説年々薄れてね? 逆にお宅のような人間いたらパワーバランス崩れるわ。


 あー、この仕事もうやだぁ。給料バカ良い代わりに聖女様の蔑んだ眼差しのオプション付きはプラマイでマイナスでしかないし。でもなぁ、元に戻ったとしても今度はキチガイ野郎共の相手だろ? あれ俺詰んでね? 


 今からでもジョブチェンジできないかなー。できないよなー。そもそも仮にも神に身を捧げる大神官と聖女と聖騎士が『コレ』なんだから他どこ行っても救いねぇわ。


 あー、田舎でのんびりスローライフとか…。うん、できませんよね。すんません。え、待って。俺強いよね? ただ主の基準がおかしいだけで俺強いよね?! なーんでそんな強キャラ(仮)wの俺がこんなことで悩んだろう。考えれば考えるほど沼にハマってく気しかしないわ。


 はぁあ……。ま、仕事すっか。暗殺者全員殺し終えてその死体の山の上で休憩していたのを切り上げる。よっこらせと決して重くない身軽ぶりで大の男五人を軽々と引き摺って、夜の影にその身を潜めていった。


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