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ゾンビ男  作者: 野松 彦秋
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帰郷後の祖父

祖父が東京の病院を退院する時、入院費用を援助してくれた恩人の方が、自分が東京で経営しているタクシー会社への就職も進めてくれたそうだ。

当時既に40代に手が届きそうな歳の祖父にとっては、これ以上の無い好条件であったと私は思う。

しかし、最終的に祖父は故郷に戻り、同じくタクシー会社へ就職した。


家族が待っている故郷へ戻り、闘病生活中支えてくれた親戚の人達へ恩返しをしたいという祖父の気持ちを恩人の方が最終的に酌んでくれて、祖父の故郷のタクシー会社への紹介までしてくれたのである。


祖父の人生は、多くの困難にも晒されたが、その度に多くの人が助けてくれて、人の善意で支えられた幸せな人生だったと思う。


祖父は帰郷し、家族と共に再び暮らす幸せを手にしたのである。この時祖父は38歳だった。

就職した会社の社長さんも、佐藤家の状況を酌んでくれて、一営業所の二階を社宅代わりに使わせてくれたそうだ。


祖父は、家族の為、人から受けた恩を返す為一生懸命働いた。毎月給料が出ると、家族がご飯を食べるテーブルにお金を出し、子供の学費等必要な経費を取り分けていくのが祖父の給料日の行事だったと聞いている。


帰郷後の生活も楽なものでは無かったと思うが、私のおじさんも生まれ、祖父は大きな幸せを感じた事だろうと思う。


高度経済成長期からバブル崩壊まで、祖父の会社も順調に業績を伸ばし、会社の方も祖父を応援してくれた御蔭で昭和50年祖父は念願の家も建てる事ができた。


祖父は75歳まで会社に勤める事ができた。高校3年生になった私へ、「普通の人と同じぐらいの年数を働く事ができた事が本当に嬉しい」と言った時の祖父の顔はとても爽やかだったのを覚えている。


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