三途の川にいた【SS】
俺は河内芳行。
俺は今、変な所にいる。
それは、広い川が流れていて、地面はすべて砂利が撒かれていた。
さらに、その川では、何人かが乗った小舟が流れていた。
俺はその川に近づく。
すると、俺はとある者に呼び止められた。
「おい、アンタ」
「なんだ?年寄りにタメ口をきくな!」
俺はソイツに叫んだ。しかし、ソイツの格好はおかしかった。
それは、江戸時代の船乗りのような服を着ていたからであった。
「この川を渡るには、舟に乗らないといけない」
すると、船乗りのソイツは、近くに止めてあった小舟を指さした。
「わかったよ…」
俺はその舟に乗ろうとする。しかし、ソイツは俺の腕を掴んだ。
「なんだ?」
「それに乗るには、金を払ってくれ。金額は6円だ」
「6円?それなら、ポケットに百円玉が…」
その時、ボケてしまった頭でも気づいてしまった。6という言葉、舟、そして見たこともない川…もしかして、俺は今、三途の川にいるとでも言うのか?
「あの…」
「なんだ?」
「ここは…どこだ?」
「そりゃあ、ここは三途の川ですよ」
(はっ…)
俺は、死んでしまったのか…だから…ここにいるのか?
「じゃあ、船代を」
「あ、あぁ…」
俺は百円玉を渡す。しかし、
「オイオイ、きっちり6円で払ってくれよ。こんなのもらっても困る。じゃあな」
すると、ソイツは俺を突き飛ばした。
「うわぁぁぁぁぁぁ…」
「お義父さん、お義父さん、もう朝ですよ」
目の前には、息子の妻、紗友里がいた。
「なんだ…もう朝なのか(しかし…それにしても頭が痛い。とくに、後頭部が…)」
「今日はお義父さんの誕生日ですよね。雄介ったら、『今日はおじいちゃんの誕生日だ〜』って、喜んでましたよ」
「そ、そうか…」
俺はどうやら、不思議な夢を見た気がする。
「紗友里さん…俺は、三途の川にいたんだ」
「そうですか…じゃあ、今日は雄介と買い物に行きますので」
そういって、紗友里が去ろうとする。
「ほんとだ!本当なんだ!」
しかし、紗友里はその言葉を聞かずに、部屋から出た。
「俺は…本当に…三途の川に…いたのか?」
俺は静かな部屋で、ボソッと呟いた。
そして、ポケットに手を突っ込むと、そこには、百円玉と、何故か砂利が入っていた。だが、俺はこの間から砂利のあるような所に行っていない。
俺が見たのは、本当の三途の川か…それとも、夢なのか…
当事者である、俺でも分からない。




