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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
ショートショート集
42/43

三途の川にいた【SS】

 俺は河内芳行。

 俺は今、変な所にいる。

 それは、広い川が流れていて、地面はすべて砂利が撒かれていた。

 さらに、その川では、何人かが乗った小舟が流れていた。

 俺はその川に近づく。

 すると、俺はとある者に呼び止められた。

 「おい、アンタ」

 「なんだ?年寄りにタメ口をきくな!」

 俺はソイツに叫んだ。しかし、ソイツの格好はおかしかった。

 それは、江戸時代の船乗りのような服を着ていたからであった。

 「この川を渡るには、舟に乗らないといけない」

 すると、船乗りのソイツは、近くに止めてあった小舟を指さした。

 「わかったよ…」

 俺はその舟に乗ろうとする。しかし、ソイツは俺の腕を掴んだ。

 「なんだ?」

 「それに乗るには、金を払ってくれ。金額は6円だ」

 「6円?それなら、ポケットに百円玉が…」

 その時、ボケてしまった頭でも気づいてしまった。6という言葉、舟、そして見たこともない川…もしかして、俺は今、三途の川にいるとでも言うのか?

 「あの…」

 「なんだ?」

 「ここは…どこだ?」

 「そりゃあ、ここは三途の川ですよ」

 (はっ…)

 俺は、死んでしまったのか…だから…ここにいるのか?

 「じゃあ、船代を」

 「あ、あぁ…」

 俺は百円玉を渡す。しかし、

 「オイオイ、きっちり6円で払ってくれよ。こんなのもらっても困る。じゃあな」

 すると、ソイツは俺を突き飛ばした。

 「うわぁぁぁぁぁぁ…」




 「お義父さん、お義父さん、もう朝ですよ」

 目の前には、息子の妻、紗友里がいた。

 「なんだ…もう朝なのか(しかし…それにしても頭が痛い。とくに、後頭部が…)」

 「今日はお義父さんの誕生日ですよね。雄介ったら、『今日はおじいちゃんの誕生日だ〜』って、喜んでましたよ」

 「そ、そうか…」

 俺はどうやら、不思議な夢を見た気がする。

 「紗友里さん…俺は、三途の川にいたんだ」

 「そうですか…じゃあ、今日は雄介と買い物に行きますので」

 そういって、紗友里が去ろうとする。

 「ほんとだ!本当なんだ!」

 しかし、紗友里はその言葉を聞かずに、部屋から出た。

 「俺は…本当に…三途の川に…いたのか?」

 俺は静かな部屋で、ボソッと呟いた。

 そして、ポケットに手を突っ込むと、そこには、百円玉と、何故か砂利が入っていた。だが、俺はこの間から砂利のあるような所に行っていない。

 俺が見たのは、本当の三途の川か…それとも、夢なのか…

 当事者である、俺でも分からない。

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