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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
35/43

恨み日記 後編

この話は後編です。恨み日記の前編を読んでからお読みください。



 奇妙な世界へ……………

 俺は加納芳宏。学校である男にいじめを受けている学生だ。

 俺はある男を恨んでいる。それは、九条敬輔だ。

 九条はボンボンだ。父親が有限会社クジョウの社長であり、金ですべてを解決している。

 そして、派手派手しいアイツにとって、おとなしい俺はいじめのターゲットに好都合だろう。

 九条は急に俺のことをいじめだした。

 荷物を捨て、机に落書きをして、花瓶を置き、ましてや暴行だ。

 いつも目立たない所にしてくるため、他の人に見られることが無い。体育着に着替えるときに一応傷は出るものの、皆はスルーをする。先生でさえスルーだ。

 なぜなら、アイツは、ボンボンだからだ。

 俺は家族に迷惑を掛けたくない。



 そんなある日の事、帰りに俺はある人と肩がぶつかった。

 「す、すいません……」

 「いや、いいんだよ。坊や。どうやら、君には悩みがあるだろう。話してごらん」

 話しても無駄だろうと思いつつ、俺はすべてを語った。

 「そうかい。じゃあ、君にこれをやろう」

 男はノートを差し出した。

 「これは?」

 「これは恨み日記。ページの最初に恨む対象の名前を書いて、毎日書く。そして、復讐しようと思うとき、最後の文に、恨む対象と天罰を、と書け」

 それだけ言うと、男はそこを去った。

 「何だったんだ、今の……」

 不思議に思いつつ、俺はそれを持って、家に帰った。

 「ただいま」

 「お帰り!」

 両親の顔を見ると、自分が悔しく思う。

 そして、自室に向かい、例の日記のページを開き、恨む対象の欄に、『九条敬輔』と書いた。

 それから、俺は、奴にされた事をこの日記に書いた。

 日記を書いていくうちに、俺の中の怒りは、風船のように膨らんでいった。

 (なんでアイツは天罰を受けないのか!あんな男は、大人になってから、苦しみを受けるべきだ)

 俺は、悪魔になっていた。




 数年後、俺は高校を卒業後、有名大学に入り、有名な企業に入った。

 俺は働いている内に、アイツへの恨みは薄々と消えていった。

 そして、俺宛に、手紙が届いた。

 それは、高校の同窓会だった。俺は奴がどんな面をしているか見たかったので、すぐに行くことにした。

 数日後、同窓会の会場に行くと、そこには、高そうなスーツを着て、偉そうにしている、奴の姿があった。

 「お、バカの芳宏が来ましたよ」

 「九条……」

 「あぁそうだ。そういえば俺、取締役になったんだよ。まぁ受け継ぎだがな」

 九条はハッハッハと笑うと、言葉を続けた。

 「そういえば、実は俺さ、武勇伝として部下にお前にやったことを話してるんだよ。まぁ、俺様のことだ、誇りな」

 その時、体の中の何がプツンと切れた。

 俺は誰にも会わずに、家に帰った。

 そして、社会人になって何も書いていなかった日記を久々に綴った。

 『今日は芝実高校の同窓会だった。憎きアイツに会うと、奴は謝らなかった。というより、笑って自分の武勇伝にしていた。社長にもなっていて、何故神様は天罰を悪い人間に与えないのだろうか』

 その途端、心がスッキリとした。

 次の日の夜、家に帰ると、後ろから殴られた。

 「うわっ」

 振り向くと、そこには笑顔の張り付いた九条がいた。

 「お前、ウザいんだよ」

 それだけ言うと、九条は俺に馬乗りになり、殴り続けた。

 「死ね!死ね!死ね!くたばれ!」

 その表情はおもちゃに喜ぶ幼児のようだった。

 「ふぅ……スッキリした」

 九条がそこを去るのを見計らうと、俺はすぐに家に帰り、例のノートに最後の力を振り絞って書いた。

 『夜、後ろから九条に会った。そしたら、ぶん殴られた。理由はうざいからと言っていた。そして、馬乗りされて、何発も何発も何発も何発も。もう苦しい。あぁ、神様、憎き男、九条敬輔に天罰を』

 その途端、意識が落ちるのを感じた。




 「次のニュースです。有限会社クジョウの取締役である九条敬輔氏がお亡くならりになれました。九条氏は、村高町の河原にて、急に何者かに襲われ、顔が分からなくなるほどの暴力を受けました。病院に運ばれるも、着いたときには、事切れていました」

読んでいただきありがとうございました………………

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