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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
31/43

ミニ国キット

奇妙な世界へ……………

 俺は田口英幸。友人から勧められた物に驚いている趣味なき男だ。

 俺には吉富真夫という友人であり同僚である男がいる。

 吉富は俺とは反対に多趣味であり、ペットや栽培、ゴルフに読書など、退屈な生き方をしていた俺にとって、吉富は俺の人生のスパイスでもあった。

 そんなある日、その吉富から電話があった。

 「どうした?吉富、急に電話なんか掛けてきて?」

 「ヒデ、実はな新しい趣味が出来たんだ!だから家まで来てくれ!」

 吉富はそれだけ言うと、すぐに電話を切った。

 「何だったんだ?」

 俺は取り敢えず、アイツの家に行くことにした。

 吉富の住む高層マンションに着き、俺はアイツの住む部屋のインターホンを押すと、すぐにドアが開いた。

 「よく来た!いきなりでなんだが、取り敢えずリビングまで来てくれ」

 「お、おう…」

 俺は言われるがままに、リビングに入ると、そこには、大きめのサイズの虫かごがあった。

 「なんだよ…なんか珍しい虫でも飼ったのか?」

 「虫も何も、俺は新しいキットを買ったんだよ」

 「新しいキット?」

 俺は虫かごの中をよく見てみると、俺は目を疑った。

 「何だよ…これ?」

 虫かごの中には、ミニチュアサイズのビルや家、車に、アリくらいのサイズの『人』がいた。

 「吉富…これって……」

 「あぁ、『ミニ国キット』だ」

 「ミニ国キット?」

 「あぁ。話は変わるが、世界で一番小さい国は何だ?」

 「バチカン市国だろ?」

 「あぁ、それよりも小さ〜い、国を作る事が出来るんだよ」

 「へぇ」

 「あぁ、この国の中には警察署や病院が全部詰め込まれているんだ」

 「スゲェな…にしても、どうやって人間が?」

 「それはな、キットを買ったときに、ミニ人間が既に……ざっと5000人ほど付属されているんだ。彼らは2日で10000にも増える」

 「2日で2倍ねぇ…」

 「後、このミニ国キットには、現代版や、近代版、古代版等、色んな種類が出されているんだ」

 「凄いな…俺も買ってみるか?」

 「うぅむ……これに入っている人間は命もある。ぞんざいに扱うなよ」

 「………ペットとか飼ったことないから、俺は遠慮しとくよ」

 「そうか……欲しくなったら俺に電話してくれ業者に言っておくからな」

 「じゃあな」

 俺はマンションを出ると、身震いをした。

 (最近の娯楽は…あんな不気味なものもあるんだな…)

 そんなことを思いながら、俺はマンションをあとにした。





 それから数日後、会社から声を掛けられた。声を掛けたのは課長だった。

 「課長、どうしました?」

 「最近、吉富くん来てないよね」

 「確かに…」

 ここ数日、吉富は会社に来ていなかったのだ。

 「彼は会社内では結構優秀な方だ。そしたら、会社に支障がでる。少し電話を掛けてみるよ」

 課長は吉富に電話を掛けた。

 しかし、電話から吉富の声がかかる聞こえる事は無かった。

 「どうしたんですかね…吉富の奴」

 「ううむ…あいつの家に行くしかないか」

 その夜、俺と課長は吉富の家に行くことにした。

 部屋の前に着き、俺はインターホンを押した。しかし、ただただ音が鳴るだけで、アイツは来なかった。

 「お〜い、吉富!どうした?」

 課長がドアノブに手をかけると、ガチャリと扉が開いた。

 「鍵が開いてある…」

 「警戒心の無い奴だ…お〜い、入るぞ」

 俺達がリビングに入ると、俺達は目を疑った。

 「こ、これは…」

 そこには、恐らくミニ国キットが入っているであろう虫かごを凝視している、ほぼ皮と骨だけの吉富がいた。

 「キヒヒヒ…やれ、やれ、やれ、やっちまぇ………」

 「お、おい、吉富!どうした!?」

 俺は吉富を揺さぶると、急に後ろを向いた。

 「ナンダッ!?」

 「ヒッ!?」

 俺は驚き、課長に関しては、腰を抜かしていた。

 「……………何だ…課長とヒデじゃないか…」

 「なんだよ…お前どうしちまったんだよ!」

 「実はな…俺がミリオタという事もヒデは知ってるだろう」

 「そうだが…」

 「ミリサイズのマシンガンを与えたら、コイツ等、戦争を始めたんだよ」

 「だから…さっきやっちまえって…」

 「クヒヒヒ…でも…その戦争のお陰で、今じゃ残り人数1000まで少なくなってしまってねぇ……」

 「それがどうした…」

 「5000人分のミニ人間は1万もするんだよ……そして、その人間の素は何だと思う?」

 「さぁ…」

 「血だよ!一滴分の血が必要なんだ。こないだ、2日で10000まで増えたって言っただろう。それは、彼らが生殖したのもあるが、俺の血をミニ人間の型に入れたんだよ」

 「だから…こんな見た目に…」

 「あぁ、でもこのままじゃ俺は死んでしまう……だから…君たちの血をくれよ…!」

 その途端、吉富は立つと注射器を持ち、俺達の方にやってきた。

 「来るな…来るなぁ!」

 「や、やめろぉぉぉぉ!」

 その時、吉富は急に倒れた。

 「どうしたんだ?」

 「と、取り敢えず救急車を!」

 そして、吉富は病院に運ばれたが、失血死で亡くなった。

 「吉富氏は、自分の娯楽のために自分の血を抜き続け、それを楽しんでいたんでしょう」

 「そうですか……」

 「あと、そのミニ国キットなる物を制作した会社は今現在倒産していて、どうやら吉富氏は、その廃棄されたものを何かのルートで貰い、型や注射器も貰ったのでしょう」

 「わかりました……では…」

 俺達は暗い気持ちで病院をあとにした。




 俺は吉富からミニ国キットを譲り受けた。何故なら、遺書にそんな事を書いていたからだ。

 (残ったのは灰と化した国、注射器、そして、約一億人分のミニ人間の型。俺がやることはただ一つ)

 俺は痛みを堪えながら、自分の腕に注射器を刺した。

 そう、今からこの『国』のアダムとイヴを作らなければならないのだから。

読んでいただきありがとうございました……………

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