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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
28/43

新種の花

奇妙な世界へ………………

 俺は駒木良也。変わった友人を持つ男だ。

 俺の友人には、花を研究している研究者がいる。名前は屋敷英夫。

 屋敷は幼き頃から花が好きで、色んな花を標本にしてきたのだとか。さらには恋人に渡すときに、約千束の赤いバラを渡したという事がある(これは噂なのだが)。

 そんな屋敷は、いつも珍しい花の種を見つけたときは送ってくる。正直言って、マンション暮らしの俺にとって、花を育てられる場所はベランダにしかないのに、沢山種を貰っても、それはただのありがた迷惑でしかないのだ。

 そういう事を屋敷に説明したところ、屋敷曰く、『じゃあ、次で送るのをラストにするよ』とだけ言っていた。

 しかし、その言葉を聞いてから早数ヶ月、まだ種は送られていない。

 一体、いつになったら送られるのだろうか。期待と不安でいっぱいだ。




 そんなある日の事。俺に荷物が届いた。宛先は屋敷からだった。

 箱を開けると、そこには種が入っている袋と、手紙が一枚あった。

 『駒木よ。その種は突然俺の研究所に現れたものだ。種は5つしかなかったから、その中の一粒を君にあげよう。もしかしたら新種なのかもしれない。 屋敷研究所 屋敷英夫より』

 「………突然現れたと言っても、意味がわからないなぁ…」

 俺は取り敢えず、その種を土が入ってる花苗に入れた。

 「さて、どんな花になるかな……?」

 俺は不安と裏腹に、なにかウキウキした気持ちを持っていた。

 それから数日後、花苗から芽が出てきた。

 「芽は、意外と通常のものと同じなんだな」

 俺はその芽を見ると、屋敷から貰った絵日記を書いた。屋敷曰く、花を育てるためには日記が必要らしいのだとか。

 それから数週間は、少しばかり芽が伸びるだけで育つことは無かった。

 「屋敷の奴、本当は変なものを掴ませたんじゃないのか?」

 そう考えていると、電話が掛かってきた。相手は屋敷だ。

 「どうした?屋敷?」

 「駒木よ!俺が送った種は育てているか?」

 「あぁ、育ててるけど、まだ芽の状態だよ」

 「うむ…生憎俺もまだ芽の状態なんだよな。何か変化を感じたらまた電話するよ。じゃ!」

 屋敷が明るく言うと、電話は切れた。

 「一応アイツも育ててるんだな」

 頭を掻きながら、俺は芽を見た。

 それから数ヵ月後、芽に変化が出てきた。それは10センチ位まで伸びて、枝を付けてきた事だ。

 「凄いな。急成長にも程があるぞ」

 そして、また屋敷から電話が掛かってきた。

 「駒木よ!俺の方は結構成長してるぞ!」

 「へぇ、それは良かった。実は俺の方も結構成長してるんだよ」

 「はぁ…本当に花というものは面白い!よし、俺はこれからまた例の花を観察してみるよ」

 そうして、電話は切れた。

 俺は花をプランターに移した。

 「よし、後は花を咲かせるだけだな」

 そして、1ヶ月後、ツボミが出来た。

 「ふぅ……ここまで成長するまでどれぐらい長かったか…やっぱり、屋敷のいった通り、花は面白いのかもな…」

 そう関心していると、はたまた屋敷から電話が掛かってきた。

 「どうした?やし…」

 「駒木……今すぐ…花を刈り取るんだ…」

 「ど、どうしたんだよ…屋敷?」

 「こ、この花は危険だ…今すぐ、今すぐ刈り取れ!」

 「な、なんで?」

 俺は花の方に振り向くと、もうすぐ花が咲かれようとしていた。

 「おいおい、折角手塩にかけた花を刈り取れってか?お前らしくない。頭でも打ったんじゃないのか?」

 「いいから…いますぐに…」

 「ナニヲシテイル」

 「なっ、やめ」

 その瞬間、電話が切れた。

 「屋敷のやつ、変なイタズラしやがって」

 「ヨウ」

 声がしたので、後ろを振り向くと、そこには枝で足と手が生えた『花らしきもの』がいた。

 「あぁ………確かにこれは新種の花だわ」

 そして、それは出ていった。同時に、頭に何か生えた気がした。






 「次のニュースです!最近、巷で噂になっている花人間、通称『花人』が、人々を襲う事件が発生しました!被害者の中には、あの花研究家として知られる、屋敷英夫氏もおり、今、機動隊が対処しています」

 「変なニュースもあるもんだなぁ…」

 花人間にされた俺は栄養である土を食いながら、ニュースを見ていた。

 花人間にされて分かった事がある。

 何故花が人と化し、人々を襲うようになったのか?それは、自然を大事にしない人間を滅ぼす為に、自然界の者、特に種が突然変異し、その種が生長した花が人となり、人々を襲っているのだそうだ。

 まぁ、そんなこと、元人間である俺にとって、どうでもよいのだが。

読んでいただきありがとうございました……………

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