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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
27/43

ムキムキボディ

奇妙な世界へ………………

 俺は大園章悟。とある男の取材をしている記者だ。

 俺が記事を書いている本、『いろんな人たち』は、名前の通り、色んな職業や、珍しい特徴、名前等を持つ人を紹介するという、まぁ、ありきたりな本だ。

 しかし、最近、ネタが無くなってきて、今まで週一で本を出していたものの、今では月に一度あるかないかぐらいだ。

 そして、冒頭で言った通り、俺はとある男の取材をしている。なぜ取材が出来ているのか?無論、ネタが出来たからだ。それは、この男の取材から一週間前の事だった。

 俺は知り合いの情報通の男にネタ提供を頼んでいた。

 「なぁ、誰か日本国内で珍しいやつはいるか?」

 「う〜む、実は、一人心当たりがあるんだが、紹介しても良いのかなぁ…?」

 「えっ、いるのか?」

 「………君に覚悟はあるか?」

 「あぁ、あるから記者という仕事を選んだんだよ」

 「わかった。では、この男を紹介しよう」

 情報通は一枚のメモを渡した。

 「これは?」

 「それはその男の電話番号だ。それで電話を掛けて許可を頼め」

 「わかった。協力感謝する」

 俺は家に帰るとすぐにそのメモに書いてあった電話番号で電話を掛けた。

 「……………はい、向井ですが」

 「どうも、麗明社の大園章悟と申します」

 「ご要件は?」

 「はい。実は、あなたに取材をさせていただくて…」

 「取材ですか?」

 「はい。その取材の許可をいただきたいんですが…よろしいでしょうか?」

 「えぇ、良いですけど」

 「了解しました。では、日にちの方、どうでしょうか?」

 「えっと…五日後で良いですかね?」

 「そうですか…了解しました。では、五日後にお伺いいたしますので」

 「はい。わかりました」

 「住所のほうは?」

 「えっと、東京都の丘区の栖川町の2丁目、阿川マンションの503です」

 「了解しました」

 「では…」

 電話が切れた。

 (よし、これでネタが出来る!)

 俺はそう心で思いながら喜んだ。

 それから五日後、俺は栖川町まで足を運んだ。

 そして、男の住むアパートに行き、そこの部屋番号まで着くと、俺はインターホンを押した。

 「はい」

 扉を開けると、そこには、190もありそうな長い体があった。筋肉はムキムキで、マッチョを擬人化したらこんな感じなのかと思わせるような風貌だった。

 「あなたが向井さん?」

 「はい。向井・ミラン・颯太朗です」

 俺はすぐに納得した。

 (ははぁ、こんなにムキムキで身長もこんなに高いなら、外国人のほうが結構ムキムキでかつ、こんなに身長が高いんだな)

 俺は部屋に入ると、客間に入れられた。

 「すこし待ってて下さい。お茶を持ってきます」

 向井がそこを去ると、俺は部屋を見渡した。どうやら、ダンベルや鉄アレイといった、筋肉を作るような道具は無かった。だが、この阿川マンションは防音対策をしているはずだ。もしかして、別の部屋にあるのか、それとも、ジムに通っているのか。

 そう考えているうちに、向井がやってきた。

 「粗茶ですが、どうぞ」

 「ありがとうございます」

 俺は茶を一口飲むと、向井に質問をすることにした。

 「向井さん。貴方はなんでこんなにもムキムキなんですかね?」

 「それは、幼少期から思っていた、親父を超えたいという信念が俺を支えてくれたんだ」

 「父を超えたい…?」

 「あぁ。親父は今の俺と同じように、190もある身長を持ち、俺より凄いムキムキなアメリカ人だったさ」

 「ハーフなんですね」

 「話を戻そう。俺は親父みたいになりたいと思っていた。だから、色んな運動をした。ランニングにダンベルトレーニングにベンチプレスに…両手では数え切れないほどやったよ。でも、結果は散々だった。親父みたいにムキムキになれなかった。しかし、事態は起きた。それは二十歳の時の春。そう、何故か体がムキムキになったんだ。腹筋に大胸筋に背筋に!全ての筋肉がムキムキになって、俺は思った。親父を超えた!とね」

 「それは良かったですね」

 「そうだ。少しばかり付いてきてくれないか?」

 「はい。良いですけど…」

 俺は不思議に思いつつ、向井と共に一階まで降りた。

 向井はタクシーを捕まえると、運転手にこう指示した。

 「小河町までお願いします」

 そして、数分後、タクシーは小河町に着き、俺を案内した。

 着いたのは、誰も近づかなそうな廃工場だった。

 「ここは?」

 「入ればわかる」

 そこに入ると、俺は目を疑った。何故なら、廃工場の中には柵があって、そこには、タンクトップとジーパンを身に付けたムキムキな男達がいたのだ。

 「これは…」

 「あぁ、この人たちはこの町のホームレスの人たちだ。まぁ、元はこんなにムキムキじゃなかったんだ」

 「じゃあ、何故こんなにムキムキなんだ?」

 「まぁ、見てれば分かる」

 向井は首をポリポリと掻いているホームレスを連れてくると、そのホームレスの腕に赤い液体が入っている注射器を刺した。するとその瞬間。そのホームレスは向井みたいにムキムキになったのだ。

 「いっ、一体何が起こったんだ」

 「どうやら、俺の血は人をムキムキにする作用を持つ血のようで、その血を持つ人はムキムキになってしまうという奇妙な現象が起きるんだ。だから、その血をホームレスの人たちに入れているんだ。効果は長く続くし、本当に便利な血だ」

 「な、何故こんな事を…」

 「親父は俺と同じくらいの歳に銀行強盗を行ったんだ。無論、抵抗する輩は殴り飛ばせばいい。なぜなら、ムキムキだから。その結果、銀行強盗は大成功!しかも、親父の体はナイフで切られても、銃で撃たれても無傷。逆にナイフが壊れ、銃弾も破裂するんだ。そして、俺が急にムキムキになったとき、この話を思い出した。そして、俺は銀行強盗計画を思いついたのさ!」

 「くっ…こんな下衆な人間を野放しにしてはいけない。警察を呼ぶよ」

 「そうはさせない」

 スマホを取り出した瞬間、スマホを取られ、そのまま紙のように折られた。

 「そんな!」

 「お前は秘密を知った。お前をここに呼んだのは、銀行強盗の仲間を増やしたかったからな」

 そして、向井はいつの間にか注射器を持っていた。

 「やめろ…やめろ…」

 「なぁに。苦しくない。少しばかりムキムキボディになるだけだからね」

 向井は俺に注射器を刺した。

 その瞬間、体中の筋肉が発達し始めた。




 その後、ムキムキボディの男たちによる銀行強盗は成功した。

 この事件は、後に『ムキムキマッチョマンの銀行強盗事件』として、後世に語り継がれることになる。

読んでいただきありがとうございました…………………

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