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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
25/43

年貢の納め時

奇妙な世界へ………

 俺は久米幸孝。幸せに過ごしている男だ。

 俺は金持ちだ。大企業の『クメグループ』の会長であり、息子の渉は社長だ。渉はとても優秀であり、初代社長である俺と同じくらいのカリスマ性を持ち、それを求めて、会社には大量の人材がやってくる。無論、他の会社に恨まれる事もある。しかし、俺は『そんな事を心配して何が会長だ!』という信念を元に、毎日を過ごしている。そして、俺のモットーは、『年貢の納め時は訪れない』だ。




 ある日の深夜、俺は目が覚めた。すると、それと同時に驚いた。それは、俺の手と足に縄を結ばれ、口に猿轡をさせられていたのだ。

 「よし…これでどうかな…?」

 目の前には、仕事を終えて一段落したので休んでいるような男がいた。男は覆面をしていた。

 「ん?なんだよ…起きちゃったか…仕方ない…騒がないことを条件に猿轡を外してやるよ」

 すると男は猿轡を外した。

 「き、貴様、俺を誰だと思っている…クメグループ会長、久米幸孝だぞ!」

 「あぁ、それをわかって俺はここに居るんだ。なぁ、久米さんよ。金の入っている金庫の番号はなんだ?」

 「き、金庫だと?お前のような不審者に教えるわけ無かろう!」

 「そうか…じゃあ、アンタの息子さんはどうなるかな?」

 男はポケットからスマホを取り出すと、とある映像を見せた。そこには、椅子に結び付けられた渉がいた。

 「わ、渉!?」

 「あぁ、そうだよ。俺は部下に指示してアンタの息子を誘拐した。アンタが拒否すれば、渉の頭はパーン!となる」

 男は頭を破裂する素振りを見せ、俺を脅した。

 「くっ……」

 「さぁ…早く教えろ!金を失うか、息子を失うか、どっちがいい?」

 俺は考えた。そして、とある事を思いついた。

 「わかった…じゃあ…金をやる」

 「おお!ありがとう!それで、番号は?」

 「その前に、その覆面を外して、名前を教えろ。それが金をやる条件だ。勿論、警察には言わん」

 「う〜ん…外さないという選択肢もあるが、ここは仕方ない。外して、名前を教えよう。サツに言うなよ」

 「あぁ!男に二言はない」

 そして、男は覆面を外した。

 「俺の名は、山形尊」

 それだけ言うと、山形は手に持っていたハンマーで、隣にあった目覚まし時計を壊した。

 「なっ…」

 「最初から分かってたんだよ。その目覚まし時計がカメラ機能と録音機能を持つことをな」

 「くっ…」

 そう、実はさっき、覆面を外して名前を言わせようとしたのは、その機能を持った目ざまし時計を警察に届けようとしたのだ。

 「へっ…一応また覆面を被らせてもらうぜ」

 しかし、名前は覚えた。顔は部屋が暗くて分からなかったが、鼻が高いという特徴だけ分かった。

 「じゃあ、金庫の場所を教えろ。ついでに一緒に来い」

 「わかった…教えるからついてこい」

 そして、俺は地下室に向かい、俺と山形は大きな金庫と対面した。あぁ、何回この金庫と対面したんだろうか?

 「番号は?」

 「2469…」

 「2、4、6、9っと…」

 そして、その次にAIが声を流した。

 「次に、顔認証をしてください」

 「やれ」

 「あぁ…」

 俺は無心で顔を確認した。無論、俺の金庫なので、OKだった。

 そして、金庫の扉が開いた。

 「よし…お宝タイムだ!」

 山形が金庫に入ろうとしたその時、山形の足元の落とし穴が開いた。

 「うわぁぁぁぁ!」

 そして、ドスンという音が聞こえ、その次に山形の声が聞こえた。

 「な、何をするんだ!」

 「見てわからないのか?(トラップ)だよ」

 「お、俺にはこんな事をするという事は、アンタの息子が死ぬという事と同じなんだぞ!」

 「ハハハ!面白い冗談だ」

 「何?」

 「あの映像、偽物だろう?」

 「な、何?」

 「渉には、泣きぼくろなんてない」

 「はっ!」

 「とはいえ、アンタのグループの人間はうまい映像を作る。でも、うちの会社に一歩及ばないな。山形グループさんよ」

 「くっ…」

 「あぁ…これだけ言っておくよ。そこには、人食いライオンが潜んでいる。年貢の納め時だな」

 俺はそれだけいうと、そこを去った。地下室を出ようとしたとき、山形の断末魔が聞こえたような気がしたが、そんなのどうでもよかった。

 さて、これでまたライバル社が一個減った。

 クメグループの終着点は世界を手に収めること。そのため、他の会社には犠牲になってもらい、我社の成長の礎になってもらう。

 無論、その事は渉に反対されている。しかし、俺は会長。会長の命令であれば、渉はそうしなさざるを得ない。

 「さぁ……今度はどの会社を潰そうかな?」

 俺は写真に向かってダーツを投げた。

 「さて…次はこの会社を…」

 「そうは問屋が卸さないな」

 俺の背後に殺気を感じた。この殺気は、殺し屋だろう。

 「俺は貴様が潰した会社の社長から依頼をされた人間だ」

 「へっ…俺に年貢の納め時は来ないだろうなと思っていたが、この時がついに来たか」

 「お前の言葉を借りると、年貢の納め時だな」

 静かな闇夜には一つの轟音が響いた。

読んでいただきありがとうございました…………………

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