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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
24/43

ニートと宇宙人

奇妙な世界へ…

 俺は風間朔斗。親の脛をかじっているニートだ。

 俺は小さい頃から親からスパルタ教育を施されていて、いつもテストでは100点を取っていた。

 そして、大人になり、俺は親の言うとおりにとある企業の面接を応募した。

 だが、面接に落ち、それから親父の紹介でとある会社に入社した。

 しかし、現実は非情だった。今まで不条理な命令しかされなかった為か、自分から何も出来ず、そのまま辞めてしまった。

 そして、そのままニートになり、俺は今、親の脛をかじっている。

 そんなある日の事。この日は両親が居らず、家でゲームをしていた。ゲームを終わらせると同時に、俺は休憩を取ろうとした。

 『ピンポ〜ン。ピンポ〜ン』

 その時、インターホンの音がなったので、俺は仕方なく玄関に向かった。

 玄関に着き、ドアを開けた。そこには、金髪の男がいた。その男の見てくれは、俺と同じくらいの歳の顔をしているが、一つだけ特徴があった。それは、耳が尖っているところだ。直角で、鋭かった。

 「だ、誰だ…アンタ?」

 「…………アンタから見たら、俺は宇宙人だ」

 「は?」

 この男は何を言っているのだろうか。こんな真っ昼間に、しかもシラフでこんな事を言う奴が今までいただろうか。最も、ニートである俺にそんな事をいう資格はないのだが。

 「俺は、地球より1000億光年離れている星、マコ星からやってきた。そうだ、君の名前は?」

 「か、風間朔斗…」

 「『カザマサクト』かぁ…いい名前だね。でも、生憎俺には、名前と言った名前が無い………そうだ!名付けてくれよ!」

 「はぁ!?」

 「あぁ、そのままの意味だ」

 「オイオイ、アンタ親はいるのか?」

 「あぁ、いるさ。でも、名付けてくれのは、『L2589』だから…」

 「え…L2589…?」

 「あぁ、だから名前を付けてほしいのさ」

 「わかったよって。じゃあ、少し時間をくれ」

 俺は急いで部屋に戻り、何を思ったのか、今の事をSNSに言った。

 『俺今宇宙人見つけた』

 無論、このことを信じてくれるはずもなく、皆が俺を叩き始めた。

 『何言ってんだよ 嘘乙』

 『本当の四月馬鹿ってこういうことか…』

 『もしもワイが親だったらお前のことを心配するわ』

 俺のことを袋叩きをしている奴の中に、一人のユーザーネームが目に入った。

 『叩くのが好きなアキモト』

 俺はすぐに例の宇宙人の元に戻った。

 「決まったよ…」

 「ん?何だい?」

 「アキモトだ…」

 「アキモトか!いい名前だな!」

 宇宙人、いやアキモトはおもちゃを与えられた子供のように感激した。

 「それで、お前ってなんのために地球に来たんだよ」

 「それはね……その前に上がっていいかい?」

 「へ?………まぁ、別にいいが」

 「ありがとう!」

 アキモトは、スニーカーを脱ぐと、そのウネウネの足を見せた。

 「うっ…」

 「どうしたの?」

 「ご、ごめん、こういうの苦手なんだよ」

 「いやいや、すまない。やっぱ、『クツシタ』というものを履いてくればよかった」

 そして、俺はアキモトをリビングに招き入れた。

 「なぁなぁ、カザマ」

 「なんだよ?」

 「テレビというものを見てもいいかい?」

 「ん?別にいいが…」

 俺はリモコンを手に取り、電源ボタンを押した。ちょうどテレビではニュースが放送されていた。

 「次のニュースです。鶴見大政さんを殺し、死体を遺棄したとして、鶴見潤三容疑者とその妻、鶴見百合香容疑者、被害者の弟である鶴見哲弥容疑者が逮捕されました」

 画面が切り替わり、そこには手錠を付けられ、警察によって歩かされている、鶴見潤三がいた。

 「鶴見潤三容疑者は、『ニートの息子を手放したかった』と言っており、犯行を認めています」

 すると、ニュースをジッと見ていたアキモトが横を向き、俺に行った。

 「ねぇ、ニートって何?」

 「に、ニートねぇ…」

 アキモトの何気ない質問が俺の心を抉った。

 「そ、それは……それは、俺のように働かない、堕落な人間だ…」

 下を向き、静かに言う俺に、アキモトは言った。

 「ねぇ、なんでカザマは働かないの?」

 「そ、それは…取り敢えず、俺の半生を聞けば分かる」

 俺はアキモトに語り始めた。




 29年前、俺は、父親である風間剛の息子に生まれた。俺の下の名前である朔斗には、朔と同じ意味である新月のように美しく生きてほしいためらしい。

 小学一年生の頃、初のテストで、俺は百点を取った。無論、それに両親は驚いた。そのためか、両親は俺のことを、『神の子』と言い始めた。

 その後、両親は俺にいつも百点を取らせるために、スパルタ教育を施した。

 両親は俺には友達を作ることを許さず、趣味も作らせなかった。両親はいつも、『百点を取れ!』とだけ、俺に言っていた。

 それから数年後、俺は有名な大学を出て、両親のいった通り、有名な大企業の面接を応募した。しかし、面接の時、面接官の質問にうまく答えられず、俺に不採用の手紙が届けられた。

 最終的に、俺は親父の知り合いが社長をしている中小企業の社員になった。

 しかし、今まで親の奴隷だったやつがいざ会社で働こうとすると、簡単に働けるわけではない。そして、自分から会社を辞め、俺はニートとなった。



 「という訳だ」

 「へぇ…でもさ、それって、働かなくていい訳なの?」

 「……」

 「この地球には有り余るほど沢山の仕事がある。サラリーマンや作家、スポーツ選手に、頑張れば弁護士や教師等、いろんなものがある。最初から諦めてちゃ、人生終了だよ」

 「………そうだよな、ありがとう。アキモト。俺さ、実は昔は弁護士になりたかったんだよね。俺、何があっても頑張ってみるよ」

 「わかった。じゃあ、頑張ってね!」

 アキモトがそこを去ろうとすると、俺は一つだけ気になることを言った。

 「そういえばさ。なんでお前はここに来たんだ?」

 「それはね…………」

 すると、アキモトの足の一本がみぞおちに直撃し、俺はそのまま気絶した。





 「ここは…何処だ?」

 目が覚めると、俺は知らない場所で寝ていた。

 目の前には、アキモトが立っていた。

 「着いたよ!」

 「は?」

 俺はアキモトと共に外に出ると、そこにはまるで中世の城の様な建物がそびえ立っていた。

 中に入ると、甲冑を着た兵士が立ち塞がった。

 「名は?」

 「L2589」

 「風間朔斗です………」

 「………入れ」

 俺達は奥へ行った。

 そこには、冠を頭に乗せた、王らしき姿があった。

 「よくぞ帰ってきた。L2589!そこの横の男は、新しく入る兵士か?」

 「はい。そうです」

 「は?」

 俺は二人の言っていることが頭に入らなかった。

 「取り敢えず、まずは専用の部屋に連れて行け」

 「わかりました」

 アキモト、いや、L2589は俺を担ぎ上げると、そのまま別の部屋に行った。

 そして、専用の椅子に座らされ、固定された。

 「な、何だよ!」

 「これだけ言っておくよ。この星は、他の惑星から兵士を強制的に集めているんだ。だから、さっきの兵士二人も、昔に他の惑星から連れてこられたやつなんだ。なぁに。君には少し映像を一人で見てもらうよ」

 そして、目を強制的に開けられさせ、映像が始まった。

 「ぐぅぅぅ!ぐぅぅぅ!」

 口には猿轡をさせられているため、喋ることもできず、どうしようも出来なかった。

 (なんで…なんでだぁ…少しばかり親の脛をかじっていただけじゃないか!なんで俺はこんな目にぃ……)

 俺は素直に働けばよかったということを、生き地獄の中、そう思った。

読んでいただきありがとうございました………………

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