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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
23/43

会員制レストラン

奇妙な世界へ………

 俺は千田順次。会員制レストランに入ろうとしているサラリーマンだ。

 事の発端は、とある日の夜だった。部長の関内知宏に呼ばれたのだ。

 「部長、仕事後に何の用ですか?」

 「あぁ、最近、お前がよく頑張っているからな、少しご褒美をやろうかなって思ってよ」

 「はぁ…ご褒美、ですか」

 「まぁ、着いてこい、行けばわかる」

 関内さんは、タクシーを捕まえると、運転手にこう言った。

 「『スペシャリスト・レストラン』の前まで」

 「あいよ」

 (スペシャリスト・レストラン?)

 その名に疑問を覚えながらも、そのままタクシーは走り始めた。

 数分後、タクシーが止まり、俺達は降りた。

 「部長、ここが…」

 「あぁ、会員制レストランのスペシャリスト・レストランだ」

 俺はつばを飲んだ。まさか、俺のような平社員が、こんな金持ちしか行けなさそうなレストランに行けるなんて、思いもしなかったからだ。

 「にしても、部長、さっき会員制って言ってましたけど、俺は大丈夫なんですか?」

 「なあに、紹介ぐらいだったら入ってもいいんだ」

 「そ、そうですか…」

 そして、俺達はレストランに入った。すると、一人の店員が部長に話しかけた。

 「関内さま、会員証はございますでしょうか?」

 「あぁ、これだ」

 部長は財布から黒いカードを取り出した。そのカードには達筆で、『スペシャリスト・レストラン』と書かれていた。

 「わかりました。横の御方は?」

 「あぁ、紹介だ」

 「わかりました。では、お二人共、どうぞ」

 店員が道を開けると、俺達は席に座った。

 「あぁ…」

 周りを見渡すと、スーツを着た中年の男や、ドレスをきた女性もいた。

 「まぁまぁ、そんなそんな緊張すんなって」

 「で、ですが…」

 「なぁ、実はこの店、アノ有名人も行ってるんだってよ」

 「アノ有名人?」

 「あぁ、次期総理大臣とも言われている、官房長官の久慈稔もココの行きつけなんだ」

 「は、はぁ…」

 「まぁ、取り敢えずメニューでも見ようか」

 部長に促され、取り敢えずメニュー表を開いた。そこには、『スペシャリストセット』としか、書いていなかった。飲み物の種類も書かれていなかった。

 「スペシャリストセット?」

 「あぁ、そうだ、この店、メニューが一つしかないんだった」

 「そ、そうなんですか…」

 そして、部長が店員にスペシャリストセットニ人前を頼んだ。

 「にしても、スペシャリストセットだなんて、どんなものなんですか?」

 「まぁ、前情報なしで待ってくれれば、よく楽しめるぜ」

 「そ、そうですか…」

 それから数分後、二つのワイングラスと、なにやら高級そうなワインを持った店員が来た。

 「こちら、搾りたてのワイン、『闘牛』です」

 店員はグラスにワインを入れた。

 「では、お楽しみくださいませ」

 それだけ言うと、店員はそこを去った。

 「では、君の成長に乾杯」

 グラスが、『カンッ』と鳴ると、俺はワインを飲んだ。口当たりはいい、まさに旨いワインだ。

 「旨いワインですね」

 「あぁ、ここのは搾りたてのワインしか使わないからな」

 「へぇ〜」

 それまた数分後、最初に前菜が来た。

 「こちら、トマトとモッツアレラチーズのカプレーゼです」

 テーブルに置かれたのは、くし切りにされたトマトとモッツァレラチーズにオリーブオイルと塩、黒胡椒がかかったものだった。

 「これはカプレーゼですか?」

 「あぁ、そうだ。食べたことあるのか?」

 「はい。親戚にイタリア料理店を経営している人がいまして、そこのカプレーゼを食べたことがあって」

 「そうか、でも、ここのはその親戚がやってるものより美味いだろうよ」

 そんな事を言われつつ、俺はチーズとトマトを一緒に食べた。

 「…………美味い!」

 「あぁ、ここのは一級の物しか使わないからな。美味いのも当然だ」

 そして、二人でカプレーゼを食べ終わる頃には、すでに主菜もやってきた。

 「どうぞ、こちら、ステーキになります」

 テーブルに置かれたのはただのステーキだった。

 (もしかして、これも一級だったりして…)

 俺はそんな淡い期待を寄せながらも、一口、ステーキを頂いた。しかし、今までの料理とは裏腹に、筋っぽく、硬かった。

 「な、なんで……こんな不味いんだ」

 「ん?どうした?」

 俺は腹が立ち、その場を去ろうとした。すると、店員が俺を取り囲んだ。

 「な、なんだよ…」

 「まだ、お客様は料理を全て食べ終えていませんでしょう」

 「そ、それが何だ!?」

 「貴方はまだ会員証を持っていないでしょう。もし、ここを抜けたいのならば、会員証を買ってください」

 「つ、月どれぐらいだ?」

 「月一億でございます」

 「い、一億!?お、俺にそんな金は払えねぇ!」

 「そうですか…」

 すると、急に意識が朦朧とし始めた。

 「な、なんだ……急に眠たく…」

 そして、俺はその場に倒れた。




 次に目を覚ましたのは手術台の上だった。

 「な、なんだよ!ここ!」

 隣には部長がいた。

 「目覚めたかい?千田くん」

 「な、なんで、部長が?」

 「冥土の土産に教えてやろう。お前は生贄になるんだよ」

 「い、生贄!?」

 「実はね、社長は悪魔信仰者でね。悪魔に差し出す為の生贄が必要なんだ。だから、君は今から内臓を抜き取られた血肉と化すんだよ。そのために、今回、あの例のレストランに呼んだんだ。最後の晩餐として旨いワインやカプレーゼを食べてもらったよ」

 「ひっ…」

 「あぁ、大丈夫だ。内臓はそれを欲している者の為に渡してあげるからねぇ」

 「………」

 「あぁ、そうだ!あのレストランのオーナーさん、実は社長と知り合いでねぇ、わざわざ紹介してくれたんだよ!ありがたく思ってくれ」

 そして、部長はその場を去り、メスを持った男達が現れた。

 「い、嫌だ!嫌だ!ママー!ママー!」

 そして、そのまま麻酔を入れられた。

読んでいただきありがとうございました……………

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