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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
18/43

裏をかく

奇妙な世界へ……………

 俺は浦山雅臣。今、部下に殺されそうな頭取だ。

 俺は数年前、親の会社である、『浦山ファイナンス』を継いだ。当時の浦山ファイナンスは、小さな金融機関だったが、俺が目まぐるしい努力をして、大きな会社になった。

 勿論、客の中には、返済から逃げようとするやつもいる。そんな客には、それ相応の対応をして返済してもらっている。恐らく、闇金を越える手段をとるだろう。

 こうして、浦山ファイナンスは、日本一有名な金融機関となった。




 そんなある日の事。頭取室で、債務者のチェックをしていた時だった。

 「入ってもよろしいでしょうか?」

 「いいぞ、入ってくれ」

 「では、失礼します」

 頭取室に入ってきたのは、専務の伊原貴士だった。伊原の手には、ボストンバッグがあった。

 「おぉ、どうした、伊原、何のようだ?」

 「フフフ、じゃあ、逆になんだと思います?」

 「もしかして、辞表を出すのか?なんちゃって」

 「いえ、違いますよ。その代わり、この世の辞表を貴方に出してもらいます」

 伊原は辞表ではなく、バックからピストルのバレッタM92を出した。

 「な………」

 「私はね、貴方を殺して、次期社長になります。そして、私が社長になった暁には、この会社をもっと大きくして、世界一有名な金融機関にしますよ」

 そして、伊原はベレッタの引き金を引いた。そして、なった音は、『パンッ』。しかし、弾丸は出なかった。

 「な、何!?」

 「ふっ、お前がこうすると踏んで、裏をかいたのさ。お前のベレッタの弾丸はすべて空砲にしてある」

 「くっ…」

 「お前が俺を裏切った事、地獄で後悔するが良い…」

 俺は机の裏から、護身用の銃、Nambu Model60を伊原の額に向けた。

 「コイツは警察も使っている銃だ。コレでお前は確実に死ぬ。じゃあな」

 俺は伊原と同じように引き金を引いた。しかし、なった音は、『カチッ』と言っただけだった。

 「何っ!?」

 何度も引き金を引いても『カチッ』と繰り返した。

 「貴様、この銃に何の細工をした?」

 「ふっ、シリンダーを見てみろ」

 俺は伊原の言われた通り、シリンダーを見てみた。そこには、弾丸が無かった。

 「貴様ぁ…」

 「裏の裏をかいたのさ。念の為に、弾丸はすべて抜かせてもらった」

 「……………」

 伊原は次にバックの中からナイフを取り出した。

 「じゃあ、これで、ジ・エンドだ」

 そして、伊原は俺の体にナイフを刺した。しかし、そのナイフを刺しても、血が出ることがなかった。

 「な、何!?」

 「オイオイ、こんなナイフを本物と思っていたのか?」

 「ま、まさか…」

 「そのまさかだよ。本物のナイフとマジックナイフをすり替えておいた。裏の裏の裏をかいたのさ」

 「チッ…」

 「んで、君の持っていたナイフはこれかな?」

 俺は机の下からダガーナイフを取り出した。

 「なっ、それは…」

 「あぁ、君が持っていたはずのナイフだ。では、おさらばといこうか?」

 そして、俺はダガーナイフを振り上げ、伊原の胴体に斬りつけようとした。しかし、その瞬間、ダガーナイフの刃は折れてしまった。

 「な、何故だ…」

 「フフフ…これを見てみろ」

 伊原がスーツを脱ぐと、そこには鉄板があった。

 「て、鉄板?」

 「あぁ、裏の裏の裏の裏をかいたのさ」

 「くっ、また嵌められた」

 「じゃあ、アンタはゲームオーバーだ。後ろを見てみろ」

 「何?」

 しかし、後ろを見てみても、何もいなかった。ただただ、ビル群があるだけだった。

 「まぁ、肉眼じゃぁ、見れない。コイツを使え」

 伊原が双眼鏡を渡し、俺はそれを使って見てみた。そこには、スナイパーがいた。

 「な、何!?スナイパーだと!?」

 「こうする事態を読んで、スナイパーを呼んでおいたのさ。俺がスマホで、奴のスマホに指示を送れば、イチコロさ」

 「くっ……………」

 「じゃあな…」

 そして、伊原はスマホで、奴のスマホに指示を送った。そして、弾丸が飛んできた。しかし、奴は思っていなかった。自分が指示したスナイパーに撃たれるなんて。

 「グハッ!」

 「ハハハ、裏の裏の裏の裏の裏をかいたのさ。あのスナイパーを買収したんだ。確か、奴の使う狙撃銃の弾丸は鉄をも貫くだなんて言わているからなぁ」

 「そんな…馬鹿な……………」

 そして、伊原は倒れた。

 「俺を殺そうしたバチが当たったんだよ」

 すると、ドアの開く音がした。

 「誰だ…なっ」

 「どうも…社長」

 なんとそこには、死んだはずの伊原がいた。

 「な、なんで、なんで、お前がいる!?」

 「その男は私の外見に整形した部下だ。声も似ていたから、分からなかっただろう、裏の裏の裏の裏の裏の裏をかいたんだ」

 「くっ……」

 「じゃあ、また…」

 そして、伊原は私を撃った。しかし、俺は死ななかった。

 「何っ!?」

 「フフフ、お前が鉄板なら、俺は防弾チョッキだ」

 俺はスーツを脱いでやると、伊原に防弾チョッキを見せてやった。

 「そんな…こんな初歩的な防具で…」

 「あぁ、裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかいた。お前もまだまだだな」

 「くっ……」

 「じゃあ、改めて、トドメを刺そうか」

 俺は偽伊原のスマホから、スナイパーのスマホに指示を出した。

 「うっ……………」

 「じゃあ、お前が死ぬまで、五秒数えてやろう。五…四…三…二…一…ゼ」

 その瞬間、俺の背中に痛みが走った。

 「ガァッッッ!」

 俺は苦しみ悶えた。そして、伊原が笑いながら、こちらに近付いてきた。

 「な、何故だ…奴は俺に買収されたはずなのにぃ…」

 「俺が買収したんだよ」

 「………」

 「今までの事は演技だ。アンタが買収した分の金の二倍の金を払ったんだ。これで、アンタは死んで、俺が三代目社長…」

 その途端、伊原の肩が撃たれた。

 「な、何故…まさか…アンタ、裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏を…」

 「いや、これは俺も予想外だ。ハァ…ハァ…お前が裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかいたんだろう」

 「ち、違う、俺は知らな…」

 そして、伊原は額に撃たれてしまい、それと同時に、俺も意識を失った。




 二人を撃ったスナイパーは、笑顔で浦山ファイナンスを見ていた。

 「ケケケケッ、俺は、裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかいたんだよ。ハッハッハ…」

 その瞬間、スナイパーは倒れた。後ろには別の殺し屋がいた。

 「クククククク、俺は、裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかいたのさ」

 そして、その殺し屋も倒れた。その殺し屋を殺したのは殺人鬼だった。

 とどのつまり、殺人鬼は裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかき、そして、その殺人鬼も裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏の裏をかかれ………

読んでいただきありがとうございました……………

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