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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
17/43

金と銀の…

奇妙な世界へ……………

 俺は大野章一郎。ちょっとした趣味を持つ男だ。

 俺には先程言った通り、趣味がある。それは、あの不思議な湖、金銀湖(きんぎん湖)に行くことだ。

 何故俺がこんな趣味を持つようになったのか?それは数ヶ月前の事だ。

 俺は金銀湖の付近に住む、兼田さんに用があった。

 俺の親と兼田さんは、昔からの友人で、月一で飲み合う仲でもあった。俺は兼田さんからいつも物を貰う係だった。

 そしてその日も兼田さんからリンゴを沢山貰い、家に帰ろうと、兼田さんの家を出たときだった。その時、袋に入っていた一つのリンゴが飛び出してしまい、金銀湖に入ってしまったのだ。俺はリンゴの後を追いかけ、湖に入ろうとした瞬間、後ろから兼田さんに声を掛けられた。

 「章一郎!その湖に入っちゃいかん!」

 「えっ!?ですが、リンゴが…」

 その時だった。なんと湖から一人の女性が出てきた。その姿はまるで女神のようだった。

 それを見た俺は腰を抜かして驚いてしまった。

 「な、なんだ?」

 「あなたが落としたのは、金のリンゴですか?それとも、銀のリンゴですか?」

 「は?」

 俺はこの女性に正直に答えることにした。

 「え、えっと…どちらでもありません」

 「そうですか。では、正直なあなたには、金のリンゴと銀のリンゴを差し上げましょう」

 すると女性は二つのリンゴを俺にあげると、そのまま湖に戻ってしまった。

 「章一郎!大丈夫か!?」

 「い、今のは…」

 「今のは、所謂、湖の女神だ。物をそこに落とせば、今のように質問をしてくる。そういやぁ、金と銀の斧って知ってるか?」

 「あぁ、はい。知ってますが…」

 「その話のように、正直に答えると、金と銀になった物が貰えて、嘘を付くと、物は貰えない。まさに不思議な湖だ」

 「は、はぁ…にしても、なんで、こんな事が?」

 「いや、私にもさっぱり分からん。どんな仕組みでこうなっているのか、意味不明だ」

 その瞬間、俺はある悪巧みを思いついてしまった。

 次の日、俺は家からゴミを持っていくと、それを金銀湖に投げ入れた。そして、女神が出てきた。

 「あなたが落としたのは、金のゴミですか?それとも、銀のゴミですか?」

 「いや、どっちでもないよ」

 「そうですか。では、正直なあなたには、金のゴミと銀のゴミを差し上げましょう」

 そして、金と銀と化したゴミが俺の目の前に落ちた。

 俺はこれらを家に持って帰ると、俺はこれらを溶かして、金と銀の板を大量に作った。そして、これらを質屋に売り、俺は物凄く儲けてしまった。

 「ウッヒョー!金の山だー!」

 欲という物は実に不思議だ。なんせ、こんな簡単に満たせることができるのだから。

 それからは俺は、家のゴミを金銀湖に捨て、それらを金や銀に変え、それらを溶かし、板にした。そして、俺は大金持ちになった。

 「やったー!これで俺は金神だー!」

 そして、俺は両親の為に車や家を買った。無論、これは親孝行だ。やっている事は悪じゃない。




 それから数カ月後、父さんと母さんが突然倒れてしまった。

 「と、父さん!か、母さん!どうしたんだ!」

 俺は二人の心臓の音を聞いてみても、音はしなかった。俺は一瞬、救急車を呼ぼうとした。しかし、それと同時にとある事を思いついた。

 「そうだ…この死体を金と銀にすれば、年金も貰えるし、それと同時にガッポガッポ儲かる!」

 俺は早速、二人の死体を金銀湖に持っていくことにした。

 金銀湖に着くと、俺は二人の死体を金銀湖に捨てた。そして、女神が現れた。

 「あなたが落としたのは…」

 「どっちでもない!」

 「……………では、正直なあなたには、金の死体と、銀の死体を差し上げましょう」

 そして、目の前に金と銀と化した二人をいつものように家に持って帰って、それらを溶かして、板にした。

 「グヒヒヒヒ、これで、俺は日本一の金持ちだぁ…………」

 それから数日後、俺はとある用で、兼田さんの家を訪れた。すると、何やら兼田さんと業者が何か話し合っていた。

 「ん?兼田さん、どうしたの?」

 「あぁ、章一郎か。実は、ここを埋めようと思っているんだ」

 「えっ、なんで!?」

 「最近、この湖にポイ捨てをする輩が現れてな。ここを埋めようと思っているんだ」

 「そ、そうですか…」

 寝耳に水だった。まさか、ここを埋めるなんて、思ってもいなかった。そしたら、俺はどうやって暮せばいい?金が無くなってしまったら、どうしたらいい?そして、俺は一つの考えに至った。

 その夜、俺は兼田さんの家に向かい、インターホンを押した。数秒後、兼田さんがやってきた。

 「ん?何だこんな時間に…」

 「ハァッ!」

 俺はトンカチで兼田さんの頭を叩くと、兼田さんは倒れた。そして、俺は兼田さんを持ち上げ、金銀湖に兼田さんと凶器のトンカチを捨てた。そして、女神は現れた。

 「あなたが落とし…」

 「どっちでもない」

 「……………」

 そして、無言で、金と銀と化した兼田さんとトンカチが出てきた。

 「良し…これで…ここは埋められずに済む…」

 そして、帰ろうとしたその時、急に倒れてしまった。

 「なっ、何だ!?」

 俺は後ろを振り向くと、なんとアキレス腱を切られていたのだ。

 「ひっ、ヒィィィ!」

 すると、斧を持った女神が現れた。

 「あなたは、この湖を汚した。なので、相応の罰を与える」

 女神は足首を掴むと、俺を湖に引きずり込もうとした。

 「いっ、嫌だ!止めて!止めてくれぇ!お母さん!お母さ〜ん!お母さ〜ん!」

 俺は間抜けな断末魔を上げると、湖に引きずり込まれてしまった。

 そして俺は、金と銀の大野章一郎になってしまった。

読んでいただきありがとうございました……………

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