犯罪の理由
奇妙な世界へ………
俺は後藤哲司。殺しという重い罪を被った、哀れな男だ。
俺は数日前、人を殺した。理由は恋人を守るためだった。最初は正当防衛だと思っていたが、後に過剰防衛になり、俺は殺人罪の汚名を被った。
そして、俺は裁判でこう言われた。
「主文、被告人を有罪とする」
親父がつけてくれた弁護士は『守れなくてすいません…出来る限りのことなら尽くしました』と言っていた。その弁護士の顔は何か、悲しかった。
そして、俺は今、移送車に乗り、刑務所に向かっている。
それから数時間後、車は刑務所についた。どうやら、俺の番号は『2113』だそうだ。
そして、言い渡された部屋に入ると、そこには3人の男がいた。1人は中年の帽子をつけた男、もう1人は眼鏡を掛けた若い男、そして、ひげを生やした男、これら全員の共通点は坊主なところだ。
「ど、どうも、これから、よろしくお願いします」
「おっ、新入りか、よろしく。俺は生瀬知康。生瀬さんって呼んでくれや」
生瀬さんは挨拶代わりに帽子をずらした。
「どうも、よろしく、名前は高林耕次。高林でいいよ」
高林はメガネをクイッとずらした。
「ははは、新人かい!よろしくなぁ、わしは加山一郎。イッチーって呼んでもいいぞい」
加山さんはひげを触りながら笑った。
「どうも…後藤哲司といいます…」
「おっ、後藤哲司かぁ〜いい名前だなぁ〜」
生瀬さんが大きく笑いながら、俺の背中を叩いた。
「おい、生瀬、わしはもうジジイなんだから、あまり大きい声を出すんじゃねぇや」
「いやいや、すいません、加山さん」
どうやら、この三人組は面白そうだ。
次の日の自由時間、俺達は暇潰しに喋っていた。すると、唐突に生瀬さんが言った。
「そういえばさ、後藤って、なんの罪を犯したんだよ」
「えっ、それは…」
すると、高林が1つの提案を出した。
「そうだ、皆、何の罪を犯したのか、語りましょうよ」
「おっ、それはいいな。どうします、加山さん」
「ははっ、ええよ、ええよ」
加山さんは笑顔で了承した。
「じゃあ、俺からな」
そして、生瀬さんが語りだした。
「それは数年前の事だが、俺は教師をしていた。とある高校の教師だったんだが、その高校にヤンキーがいたんだよ。俺はヤンキーを懲らしめるために、夜の校庭に呼んだんだ。そして、そのヤンキー全員をボコしてやった。まぁ、その結果、懲戒免職かつ、傷害罪で逮捕ってわけだ」
「は、はぁ…」
「じゃあ、次、俺で」
次は高林が語りだした。
「実は俺、結構なギャンブル好きで、色んなカジノとかに行ってたんですよ。でも、表のカジノじゃスリルが足りなくて、裏カジノに行ってしまったんですよ。その結果、裏カジノにハマりにハマって、その時に金が無くなっちゃたんです。そのため、人からお金を奪って、奪い続けた結果、捕まっちゃったんです」
「す、凄いなぁ…」
「じゃあ、次わしで」
次は加山さんが語りだした。
「わしは、昔殺し屋だったんじゃよ」
「こ、殺し屋!?」
俺達は驚愕した。しかし、加山さんは語り続ける。
「あぁ、大金を積まれて、色んな奴らを殺していったものさ。殺した人数は…ひぃ…ふぅ…みぃ…………忘れちまった」
すると、高林が疑問を投げる。
「でも、本来、貴方は死刑になるはずなのに、ここにいるという事は…」
「あぁ、賄賂を払って、罪を軽減してもらったんじゃ」
「ゲッ、ドス黒っ!?」
「ホホホ、なんとでも言え、わしはもう反省しておるわい」
「じゃ、最後は後藤だな」
「じゃ、じゃあ、では」
「就寝時間だ!」
刑務所内で刑務官の声が鳴り響いた。
「あ〜あ、タイミング悪っ」
「まぁ、仕方ねぇや」
「じゃあ、先寝るね」
「おやすみ〜」
「おやすみ」
「おやすみ」
次の日の自由時間、俺はまた、皆を集めて、自分の犯した罪を話すことにした。
「じゃあ、話すよ。それは…数日前の事…」
俺は当時付き合っていた人がいた。その名は相馬麗美さん。当時はラブラブで皆が羨むようなカップルだった。しかし、そのカップルは崩れることになった。
その日はデートの帰り、暗い公園で一休みしていた。
「哲司さん、私、貴方のことが好きよ」
「あぁ、俺もだよ」
俺は心の中でプロポーズしようと思っていた。そう思っていたその瞬間、目の前には仮面を被った男が現れた。
「おう!オメェら!金だせや!」
「キャァ!」
「な、何だお前は!」
「へっ!見たらわかるだろ!さぁ、金を出せ」
男の手にはナイフがあった。
しかし、俺は麗美の前でカッコつけようと、習っていた空手で奴を圧倒した。
「うわっ!」
男は弱った。しかし、まだ諦めていなかった。なんと、男は麗美を人質に取ったのだ。
「テメェ!それ以上動くな!動いたら、この女を殺す!」
「くっ!」
俺は考えた。考えに考えた。そして、俺は思いついた。それは、隙を見つけて倒すということを思いついた。そして、男はそっぽを向いた。その瞬間、俺は男のみぞおちを殴った。
「ぐへっ…」
男は倒れた。しかし、俺の怒りは収まらなかった。なんせ、自分の彼女を人質に取ったのだ。
俺は男の急所を狙い続けた。その結果、苦しみながら男は死んだ。
「はぁ…はぁ…俺が…殺した…」
そして、いつの間にか麗美はいなくなっていて、俺は警察を呼んでいた。
「という、話です」
「ははぁ、にしても、辛い話だったなぁ…」
「そうですね、何で被害者が捕まらなくちゃいけないんでしょうかね」
「あぁ、悲しい話じゃ」
「いやいや、俺は過剰防衛だったんですし、仕方ないですよ」
俺は笑いあった。こう話したことによって、自分が羽のように軽くなったような気持ちになった。
まぁ、俺達のやった事は許されるべき事ではない。しかし、悪人にも悪人なりの事情があるのだ。
ある部屋に男が入ってきた。その男は窃盗を繰り返してきた男だった。
「ど、どうも、自分、長谷川謙也と申します…」
「どうも、俺、後藤哲司っていうからよろしく」
「俺は生瀬知康」
「俺は高林耕次」
「わしは加山一郎」
彼らはまた、自分の犯した罪について話すだろう。
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