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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
15/43

犯罪の理由

奇妙な世界へ………

 俺は後藤哲司。殺しという重い罪を被った、哀れな男だ。

 俺は数日前、人を殺した。理由は恋人を守るためだった。最初は正当防衛だと思っていたが、後に過剰防衛になり、俺は殺人罪の汚名を被った。

 そして、俺は裁判でこう言われた。

 「主文、被告人を有罪とする」

 親父がつけてくれた弁護士は『守れなくてすいません…出来る限りのことなら尽くしました』と言っていた。その弁護士の顔は何か、悲しかった。

 そして、俺は今、移送車に乗り、刑務所に向かっている。




 それから数時間後、車は刑務所についた。どうやら、俺の番号は『2113』だそうだ。

 そして、言い渡された部屋に入ると、そこには3人の男がいた。1人は中年の帽子をつけた男、もう1人は眼鏡を掛けた若い男、そして、ひげを生やした男、これら全員の共通点は坊主なところだ。

 「ど、どうも、これから、よろしくお願いします」

 「おっ、新入りか、よろしく。俺は生瀬知康。生瀬さんって呼んでくれや」

 生瀬さんは挨拶代わりに帽子をずらした。

 「どうも、よろしく、名前は高林耕次。高林でいいよ」

 高林はメガネをクイッとずらした。

 「ははは、新人かい!よろしくなぁ、わしは加山一郎。イッチーって呼んでもいいぞい」

 加山さんはひげを触りながら笑った。

 「どうも…後藤哲司といいます…」

 「おっ、後藤哲司かぁ〜いい名前だなぁ〜」

 生瀬さんが大きく笑いながら、俺の背中を叩いた。

 「おい、生瀬、わしはもうジジイなんだから、あまり大きい声を出すんじゃねぇや」

 「いやいや、すいません、加山さん」

 どうやら、この三人組は面白そうだ。

 次の日の自由時間、俺達は暇潰しに喋っていた。すると、唐突に生瀬さんが言った。

 「そういえばさ、後藤って、なんの罪を犯したんだよ」

 「えっ、それは…」

 すると、高林が1つの提案を出した。

 「そうだ、皆、何の罪を犯したのか、語りましょうよ」

 「おっ、それはいいな。どうします、加山さん」

 「ははっ、ええよ、ええよ」

 加山さんは笑顔で了承した。

 「じゃあ、俺からな」

 そして、生瀬さんが語りだした。

 「それは数年前の事だが、俺は教師をしていた。とある高校の教師だったんだが、その高校にヤンキーがいたんだよ。俺はヤンキーを懲らしめるために、夜の校庭に呼んだんだ。そして、そのヤンキー全員をボコしてやった。まぁ、その結果、懲戒免職かつ、傷害罪で逮捕ってわけだ」

 「は、はぁ…」

 「じゃあ、次、俺で」

 次は高林が語りだした。

 「実は俺、結構なギャンブル好きで、色んなカジノとかに行ってたんですよ。でも、表のカジノじゃスリルが足りなくて、裏カジノに行ってしまったんですよ。その結果、裏カジノにハマりにハマって、その時に金が無くなっちゃたんです。そのため、人からお金を奪って、奪い続けた結果、捕まっちゃったんです」

 「す、凄いなぁ…」

 「じゃあ、次わしで」

 次は加山さんが語りだした。

 「わしは、昔殺し屋だったんじゃよ」

 「こ、殺し屋!?」

 俺達は驚愕した。しかし、加山さんは語り続ける。

 「あぁ、大金を積まれて、色んな奴らを殺していったものさ。殺した人数は…ひぃ…ふぅ…みぃ…………忘れちまった」

 すると、高林が疑問を投げる。

 「でも、本来、貴方は死刑になるはずなのに、ここにいるという事は…」

 「あぁ、賄賂を払って、罪を軽減してもらったんじゃ」

 「ゲッ、ドス黒っ!?」

 「ホホホ、なんとでも言え、わしはもう反省しておるわい」

 「じゃ、最後は後藤だな」

 「じゃ、じゃあ、では」

 「就寝時間だ!」

 刑務所内で刑務官の声が鳴り響いた。

 「あ〜あ、タイミング悪っ」

 「まぁ、仕方ねぇや」

 「じゃあ、先寝るね」

 「おやすみ〜」

 「おやすみ」

 「おやすみ」




 次の日の自由時間、俺はまた、皆を集めて、自分の犯した罪を話すことにした。

 「じゃあ、話すよ。それは…数日前の事…」




 俺は当時付き合っていた人がいた。その名は相馬麗美さん。当時はラブラブで皆が羨むようなカップルだった。しかし、そのカップルは崩れることになった。

 その日はデートの帰り、暗い公園で一休みしていた。

 「哲司さん、私、貴方のことが好きよ」

 「あぁ、俺もだよ」

 俺は心の中でプロポーズしようと思っていた。そう思っていたその瞬間、目の前には仮面を被った男が現れた。

 「おう!オメェら!金だせや!」

 「キャァ!」

 「な、何だお前は!」

 「へっ!見たらわかるだろ!さぁ、金を出せ」

 男の手にはナイフがあった。

 しかし、俺は麗美の前でカッコつけようと、習っていた空手で奴を圧倒した。

 「うわっ!」

 男は弱った。しかし、まだ諦めていなかった。なんと、男は麗美を人質に取ったのだ。

 「テメェ!それ以上動くな!動いたら、この女を殺す!」

 「くっ!」

 俺は考えた。考えに考えた。そして、俺は思いついた。それは、隙を見つけて倒すということを思いついた。そして、男はそっぽを向いた。その瞬間、俺は男のみぞおちを殴った。

 「ぐへっ…」

 男は倒れた。しかし、俺の怒りは収まらなかった。なんせ、自分の彼女を人質に取ったのだ。

 俺は男の急所を狙い続けた。その結果、苦しみながら男は死んだ。

 「はぁ…はぁ…俺が…殺した…」

 そして、いつの間にか麗美はいなくなっていて、俺は警察を呼んでいた。



 「という、話です」

 「ははぁ、にしても、辛い話だったなぁ…」

 「そうですね、何で被害者が捕まらなくちゃいけないんでしょうかね」

 「あぁ、悲しい話じゃ」

 「いやいや、俺は過剰防衛だったんですし、仕方ないですよ」

 俺は笑いあった。こう話したことによって、自分が羽のように軽くなったような気持ちになった。

 まぁ、俺達のやった事は許されるべき事ではない。しかし、悪人にも悪人なりの事情があるのだ。




 ある部屋に男が入ってきた。その男は窃盗を繰り返してきた男だった。

 「ど、どうも、自分、長谷川謙也と申します…」

 「どうも、俺、後藤哲司っていうからよろしく」

 「俺は生瀬知康」

 「俺は高林耕次」

 「わしは加山一郎」

 彼らはまた、自分の犯した罪について話すだろう。

読んでいただきいただきありがとうございました………

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