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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
12/43

兄貴の描いた絵

奇妙な世界へ……………

 俺は倉持憲人。奇妙な兄貴を持つ中学二年生だ。

 うちの兄貴の名は雅司。高校三年生の男。実は、兄貴は高校でいじめられていた。

 いつも帰ってくる兄貴の姿はボロボロ。内出血する肌、汚れている衣服、無くなっている教科書。いつも心配している父さんと母さんだったが、兄貴は『大丈夫、少しヤンキーと喧嘩しただけだから』とだけ言っていた。

 しかし、唯一俺にだけ、その見た目の理由を教えてくれた。

 どうやら、クラス全員でいじめをしてきて、そのいじめの主犯格は、まさかの政財界の大物を父に持つ男だ。更には教師も見放すもんだから呆れて物が言えなかった。

 兄貴は泣いていた。何故なら、『親に迷惑を掛けられないから言えない…』と言っていたのだから。

 そんなある日の事、兄貴は帰ってきた。その時、兄貴は俺にだけ小声でこう言った。

 「皆を見返すような絵を描く」

 それだけ言って、部屋に入った。夕飯を食べずに。

 その日から、兄貴は部屋から出ることはなかった。部屋をノックしてもなんにも言わず、両親に言われても兄貴は部屋から出てこなかった。

 ドアは内側から鍵がかかっていて、開けることが出来ない。どうすることも出来なかった。無論、両親も困った。

 俺は、兄貴に何があったのか知りたかった。




 それから数年後、俺も中学を卒業し、高校を卒業した後、大学一年生になっていた。兄貴の年齢はもう23くらいだらう。

 そんなある日の事、朝食を摂っていると、兄貴の部屋からドアを開ける音がした。そして、兄貴はリビングに来た。

 「皆!絵が出来たよ!」

 兄貴の顔はもう、ソレを決めてるような顔になっていて、体はガリガリ、髪はボサボサで長くなっていた。兄貴の手には一枚の絵を持っていた。その絵には、暗い色が多く、そこに薄く、『魔佐』と『死』と書かれていた。

 そして、両親は喜びの声をあげるのではなく怒りの声をあげた。

 「雅司!何だこの絵は!?数年間無駄にして、こんなちっぽけな絵を描いたのか!?それを渡せ!」

 兄貴が父さんに絵を渡すと、その絵を父さんは破った。

 「……………」

 「父さんの紹介で、会社を紹介するから、スーツやらなんやらを準備しなさい」

 そこまで言うと、父さんは黙々と食事をした。

 「…………………………」

 兄貴は残念そうに部屋に戻った。




 ある日の事、兄貴宛に手紙がきた。

 「兄ちゃん、手紙!」

 「……………」

 兄貴は父さんに厳しく言われた後、部屋に引き籠っている。

 「じゃあ、読むね」

 「……………」

 「七月三日、市ノ瀬町 居酒屋はるさわにて、同窓会を実施します」

 「………!?」

 「どうしたの?」

 「ありがとう」

 兄貴はそれだけ言うと、そのまま黙った。

 その時、母さんの悲鳴が響いた。

 「キャーーーー!」

 「どうしたの母さん!?」

 俺は悲鳴の元に向かうと、そこには意識が無く倒れていた父さんがいた。

 「父さん!」

 「きゅ、急に倒れて…」

 「母さん、救急車!」

 「わっ、わかった!」

 母さんに救急車を呼ばせ、俺は人工呼吸をした。

 「生きててくれよ…父さん!」

 そして、父さんは救急搬送されたが、命に別状はなかった。どうやら、貧血を起こしたんだとか。

 それから、一家に不幸が起こった。

 母さんが火傷したり、皿が割れたり、提出するはずのノートが失くなったり、小さな不幸から大きな不幸が降り注いだ。

 そして、きたる七月三日、兄貴は、髪を切り、短髪になっていた。

 「じゃあ、行って来るよ」

 そして、兄貴は家を出た。

 俺は一つだけ不可解に思った。

 (何故、母さんと父さんと俺にだけ不幸が起こって、兄貴だけ不幸がおこらなかったんだろうか?)

 俺は兄貴の部屋に入ることにした。

 そして、俺は目を疑った。

 そこには、大量の絵が飾られていたのだ。

 その絵を見た瞬間、俺は意識を失った。





 俺は倉持雅司。俺を虐めてきた奴らに復讐する鬼だ。

 俺は高校に入り、虐められていた。理由は『ウザかったから』と言われた。納得が行かなかった。

 そして、ある日、俺は黒魔術なる本を見つけた。そして、その中に呪いの絵を描く方法なる物があった。絵を描くために、その日から俺は家に引き籠もった。憲人に『皆を見返すような絵を描く』とだけ言って。

 何枚も絵を描き、その中の一枚を家族に見せた。一応、練習台にするためだ。しかし、父さんは怒った。

 それからまた、俺に機会が訪れた。それは同窓会だ。

 そして、同窓会の日。髪を切り、例の絵を持っていき、同窓会の場所へと向かった。

 そこに着き、扉を開けると、そこには憎き奴らが待っていた。

 すると、主犯格の男、足立啓悟が来た。

 「おっ!アホが一名いらっしゃいました〜」

 どうやら、あの性格は大人になっても変わらないようだ。まぁ、そのお陰で絵も出しやすい。

 そして、俺は足立に絵を見せた。すると、足立は皆を呼び、笑いあった。

 「オイオイ!何だよこのダサい絵!?キモッ!破いてやるよ!」

 そして、足立はビリビリに破った。

 それからして、俺はそこを出た。

 帰る途中、銃を持った男がはるさわ方面に行ってた気がするが、そんなのどうでもいい。

 家に帰ると、家には誰もいなかった。

 それを気にすることはなく、俺はリビングのテレビを付けた。すると、ニュース速報が流れてきた。

 「そっ、速報です!市ノ瀬町の居酒屋はるさわにて、銃撃事件が発生しました!中にいるのは、犯人の男のみであり、中にいた人は全員惨殺されました!」

 俺の口には笑みがあった。

読んでいただきありがとうございました……………

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