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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
11/43

お前はスパイか?

奇妙な世界へ……………

 俺は伊賀恭一。部下の一人を疑っている男だ。

 事の発端は、この間、浅本社長に呼び出されたのだ。

 「社長、ご要件は」

 「伊賀くん、実は、言いにくいことなのだが…良いか?」

 「はい。何なりと」

 「実は、会社内にスパイがいる気がしてね」

 「へ!?」

 俺は耳を疑った。しかし、社長は続ける。

 「怪しいのが、今年、中途採用で来た綾瀬くんだ」

 「綾瀬…ですか…」

 綾瀬隆介。新しく中途採用で入ってきた、若手の男。確かに、中途採用にしては優秀過ぎるのだ。

 「だから、これを使って、スパイかどうか、探ってみてくれ」

 すると、社長は机の上に楕円形の小さな機械を取り出した。

 「これは?」

 「これは、嘘発見器だ。これは光ると、言っていることが嘘だとわかる。よろしく頼んだ」

 俺はそれを貰い、部屋を出た。

 俺は綾瀬を見つけると、声をかけた。

 「綾瀬」

 「ん?何でしょうか、部長」

 「仕事が終わったら、会議室に来てくれないか?」

 「わかりました」




 その夜、俺は綾瀬を会議室に呼んだ。全員帰ったことを確認すると、綾瀬が質問した。

 「部長?何の用で呼んだんですか?」

 「あぁ、それはだな…」

 俺はポケットから嘘発見器を机の上に取り出した。

 「それは?」

 「いや、気にしないでくれ」

 「?」

 綾瀬は顔に?を浮かべているようだが、そんな事は露知らず、俺は質問を始めた。

 「じゃあ、質問する」

 「わかりました」

 「なぜ、この会社に入ろうと思った?」

 「えっと……母親に早く会社に入れと言われて」

 すると、嘘発見器が光った。

 「あぁ、そうか。じゃあ次だ。お前は以前、別の会社に勤めていたか?」

 「はい」

 嘘発見器は光らなかった。

 「じゃあ、最後の質問だ。お前はスパイか?」

 「はい」

 嘘発見器は光った。

 「(何だ…綾瀬はスパイじゃないのか)わかった。じゃあ、今日はこれだけだ。すまない」

 「いやいや、謝ることじゃないですよ」

 俺はすぐに綾瀬を帰らせた。




 それからすると、電話がきた。相手は社長だ。

 「はい。伊賀です」

 「いや、私との間では、正岡でいいよ」

 「いや、すいません、村澤社長」

 「んで、どうだ。浅本社に入社して」

 「はい。浅本の野郎が、スパイを疑っていて」

 「そうか。じゃあ、ヒットマンを向かわせておくよ」

 「わかりました」

 そして、電話を切った。

 俺の本当の名は正岡徹。

 村澤商会のスパイとして働いている。




 一方その頃、浅本社の社長、浅本順次は、伊賀、いや、正岡に渡した嘘発見器に似た物を家で持っていた。これは、嘘発見器と盗聴器を合わせたようなものである。

 「まさか、伊賀がスパイだなんてな。しかも、偽名を使うとは。どうやら、村澤商会がスパイを使うとは、奴も落ちぶれたものだ。さて、ヒットマンが送られてくるかもしれないから、取り敢えず、警察に通報するとしよう。フフフ、まさにアイツは、狩人、罠にかかる状態だな」

読んでいただきありがとうございました……………

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