お前はスパイか?
奇妙な世界へ……………
俺は伊賀恭一。部下の一人を疑っている男だ。
事の発端は、この間、浅本社長に呼び出されたのだ。
「社長、ご要件は」
「伊賀くん、実は、言いにくいことなのだが…良いか?」
「はい。何なりと」
「実は、会社内にスパイがいる気がしてね」
「へ!?」
俺は耳を疑った。しかし、社長は続ける。
「怪しいのが、今年、中途採用で来た綾瀬くんだ」
「綾瀬…ですか…」
綾瀬隆介。新しく中途採用で入ってきた、若手の男。確かに、中途採用にしては優秀過ぎるのだ。
「だから、これを使って、スパイかどうか、探ってみてくれ」
すると、社長は机の上に楕円形の小さな機械を取り出した。
「これは?」
「これは、嘘発見器だ。これは光ると、言っていることが嘘だとわかる。よろしく頼んだ」
俺はそれを貰い、部屋を出た。
俺は綾瀬を見つけると、声をかけた。
「綾瀬」
「ん?何でしょうか、部長」
「仕事が終わったら、会議室に来てくれないか?」
「わかりました」
その夜、俺は綾瀬を会議室に呼んだ。全員帰ったことを確認すると、綾瀬が質問した。
「部長?何の用で呼んだんですか?」
「あぁ、それはだな…」
俺はポケットから嘘発見器を机の上に取り出した。
「それは?」
「いや、気にしないでくれ」
「?」
綾瀬は顔に?を浮かべているようだが、そんな事は露知らず、俺は質問を始めた。
「じゃあ、質問する」
「わかりました」
「なぜ、この会社に入ろうと思った?」
「えっと……母親に早く会社に入れと言われて」
すると、嘘発見器が光った。
「あぁ、そうか。じゃあ次だ。お前は以前、別の会社に勤めていたか?」
「はい」
嘘発見器は光らなかった。
「じゃあ、最後の質問だ。お前はスパイか?」
「はい」
嘘発見器は光った。
「(何だ…綾瀬はスパイじゃないのか)わかった。じゃあ、今日はこれだけだ。すまない」
「いやいや、謝ることじゃないですよ」
俺はすぐに綾瀬を帰らせた。
それからすると、電話がきた。相手は社長だ。
「はい。伊賀です」
「いや、私との間では、正岡でいいよ」
「いや、すいません、村澤社長」
「んで、どうだ。浅本社に入社して」
「はい。浅本の野郎が、スパイを疑っていて」
「そうか。じゃあ、ヒットマンを向かわせておくよ」
「わかりました」
そして、電話を切った。
俺の本当の名は正岡徹。
村澤商会のスパイとして働いている。
一方その頃、浅本社の社長、浅本順次は、伊賀、いや、正岡に渡した嘘発見器に似た物を家で持っていた。これは、嘘発見器と盗聴器を合わせたようなものである。
「まさか、伊賀がスパイだなんてな。しかも、偽名を使うとは。どうやら、村澤商会がスパイを使うとは、奴も落ちぶれたものだ。さて、ヒットマンが送られてくるかもしれないから、取り敢えず、警察に通報するとしよう。フフフ、まさにアイツは、狩人、罠にかかる状態だな」
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