ヒッチハイク
奇妙な世界へ……………
俺は柳尾清。ヒッチハイクをしている大学生だ。
俺は夏休みを利用してヒッチハイクで日本縦断をしている。理由としては、東京から北海道まで、ヒッチハイクのみの移動手段を使って行ってみたいのだ。
そして、今は、三日目。現在地は栃木の方にいる。
正直言って、ヒッチハイクは、車を止めるのに運が必要な為、結構時間がかかるが、楽しいものだ。
午前十時、俺は道端で東北地方と書かれた紙を掲げて車を待つことにした。
それから数分後、黒のバンが止まった。運転席の窓が開くと、運転手が妖しい笑顔で話しかけてきた。
「宮城県までだけどいい?」
「えぇ、東北ならどこでもいいですよ」
俺はバンに乗り、バンは動き始めた。
中に入っているのは俺を除き、中年の男の運転手のみだ。
「兄さん、もしかして、ヒッチハイクってやつかい?」
「えぇ、はい。北海道まで行きたくて」
「へぇ〜若いっていいなぁ!」
男はガハハと笑いながら運転する。
「俺もね、大学生の頃、ヒッチハイクをしてたのよ」
「へぇ〜そうなんですか」
「まぁ、楽しかったよ。まぁ、兄ちゃんと違ってアメリカでやってたがね」
「ほぉ!凄いっすね」
それから、男は名前を名乗った。
「そういや、名前は言ってなかったな。俺は矢沢浩一。兄ちゃんは?」
「えっと、柳尾清です」
「清かぁ…いい名前だなぁ…」
矢沢さんが一旦黙ると、また語りだした。
「実は、俺の息子も清っていうんだよ」
「へぇ…すごいミラクルですね」
「あぁ、かわいいかわいい子だったよ…」
「だったよ…?」
「いや、何でもない。思い出したくもない話だ」
「……………すいません…」
車内は重い空気になったが、矢沢さんがまた笑った。
「いやいや、ええよ。それよりも、兄ちゃん、どこ出身だ?」
「えっと、東京ですけど」
「東京か…息子も、東京に上京したよ」
「へぇ…」
「兄ちゃんって、大学生かい?」
「はい。帝光大学に通ってます」
「はぁ〜息子もそこに行ってたなぁ…」
「そうなんですね」
気付いたら、もうバンは宮城県付近についていた。
「そういやぁ、兄ちゃん、宮城県のどこに止めてもらいたい?」
「えっと、宮城県内なら、どこでもいいですよ」
「そっかぁ…優しいなぁ」
そして、バンは高速道路を出た。
「じゃあ、ここで良いか?」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあ、またな」
そして、矢沢さんはそこを去った。
「良い人だったなぁ…」
俺は近くにあった飲食店で遅めの昼食を済ませ、今度は、青森県と書かれた紙を上げると、すぐに車は止まった。
車に乗り、青森まで走り出した。
車に乗られて数分後、運転手が語りだした。
「そういや、兄ちゃん、ヒッチハイクに関する都市伝説を知ってるかい?」
「ヒッチハイクに関する都市伝説?」
「あぁ、それはな、死者の車って言ってなぁ。どうやら、ヒッチハイクをする者のみを乗せる車でな。まぁ、乗ったやつには害が無いんだが、実は、運転手が、死者っていうんだよ」
「へぇ…不気味ですね」
「その死者は、過去にヒッチハイクに紛れた殺人鬼に殺されてな。今もヒッチハイクをする者を乗せてるんだってよ」
「……………あの…」
「なんだ?」
「死んでくれませんか?」
「へ?」
俺は持っていたサバイバルナイフで運転手の首を切ると、車を止め、金品を奪うと、そこを出た。
俺は殺人鬼だ。去年、矢沢浩一という男とその息子をヒッチハイクのついでに殺した。俺は年一回に来る殺したい衝動を止められないのだ。なので、大学生になったとき、ヒッチハイクに扮して人を殺しているのだ。あぁ、止められない。この殺人衝動を誰か止めてくれないのだろうか?
すると、後ろから声がした。
「警察ですが。ヒッチハイク殺人事件の犯人を探しているんです。見覚えがありますか?」
「はい。俺です」
さて、今度はパトカーにヒッチハイクする事になるな。
読んでいただきありがとうございました……………




