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蔵品怪談奇談  作者: 蔵品大樹
普通のお話
10/43

ヒッチハイク

奇妙な世界へ……………

 俺は柳尾清。ヒッチハイクをしている大学生だ。

 俺は夏休みを利用してヒッチハイクで日本縦断をしている。理由としては、東京から北海道まで、ヒッチハイクのみの移動手段を使って行ってみたいのだ。

 そして、今は、三日目。現在地は栃木の方にいる。

 正直言って、ヒッチハイクは、車を止めるのに運が必要な為、結構時間がかかるが、楽しいものだ。




 午前十時、俺は道端で東北地方と書かれた紙を掲げて車を待つことにした。

 それから数分後、黒のバンが止まった。運転席の窓が開くと、運転手が妖しい笑顔で話しかけてきた。

 「宮城県までだけどいい?」

 「えぇ、東北ならどこでもいいですよ」

 俺はバンに乗り、バンは動き始めた。

 中に入っているのは俺を除き、中年の男の運転手のみだ。

 「兄さん、もしかして、ヒッチハイクってやつかい?」

 「えぇ、はい。北海道まで行きたくて」

 「へぇ〜若いっていいなぁ!」

 男はガハハと笑いながら運転する。

 「俺もね、大学生の頃、ヒッチハイクをしてたのよ」

 「へぇ〜そうなんですか」

 「まぁ、楽しかったよ。まぁ、兄ちゃんと違ってアメリカでやってたがね」

 「ほぉ!凄いっすね」

 それから、男は名前を名乗った。

 「そういや、名前は言ってなかったな。俺は矢沢浩一。兄ちゃんは?」

 「えっと、柳尾清です」

 「清かぁ…いい名前だなぁ…」

 矢沢さんが一旦黙ると、また語りだした。

 「実は、俺の息子も清っていうんだよ」

 「へぇ…すごいミラクルですね」

 「あぁ、かわいいかわいい子だったよ…」

 「だったよ…?」

 「いや、何でもない。思い出したくもない話だ」

 「……………すいません…」

 車内は重い空気になったが、矢沢さんがまた笑った。

 「いやいや、ええよ。それよりも、兄ちゃん、どこ出身だ?」

 「えっと、東京ですけど」

 「東京か…息子も、東京に上京したよ」

 「へぇ…」

 「兄ちゃんって、大学生かい?」

 「はい。帝光大学に通ってます」

 「はぁ〜息子もそこに行ってたなぁ…」

 「そうなんですね」

 気付いたら、もうバンは宮城県付近についていた。

 「そういやぁ、兄ちゃん、宮城県のどこに止めてもらいたい?」

 「えっと、宮城県内なら、どこでもいいですよ」

 「そっかぁ…優しいなぁ」

 そして、バンは高速道路を出た。





 「じゃあ、ここで良いか?」

 「はい。ありがとうございました」

 「じゃあ、またな」

 そして、矢沢さんはそこを去った。

 「良い人だったなぁ…」

 俺は近くにあった飲食店で遅めの昼食を済ませ、今度は、青森県と書かれた紙を上げると、すぐに車は止まった。

 車に乗り、青森まで走り出した。

 車に乗られて数分後、運転手が語りだした。

 「そういや、兄ちゃん、ヒッチハイクに関する都市伝説を知ってるかい?」

 「ヒッチハイクに関する都市伝説?」

 「あぁ、それはな、死者の車って言ってなぁ。どうやら、ヒッチハイクをする者のみを乗せる車でな。まぁ、乗ったやつには害が無いんだが、実は、運転手が、死者っていうんだよ」

 「へぇ…不気味ですね」

 「その死者は、過去にヒッチハイクに紛れた殺人鬼に殺されてな。今もヒッチハイクをする者を乗せてるんだってよ」

 「……………あの…」

 「なんだ?」

 「死んでくれませんか?」

 「へ?」

 俺は持っていたサバイバルナイフで運転手の首を切ると、車を止め、金品を奪うと、そこを出た。

 俺は殺人鬼だ。去年、矢沢浩一という男とその息子をヒッチハイクのついでに殺した。俺は年一回に来る殺したい衝動を止められないのだ。なので、大学生になったとき、ヒッチハイクに扮して人を殺しているのだ。あぁ、止められない。この殺人衝動を誰か止めてくれないのだろうか?

 すると、後ろから声がした。

 「警察ですが。ヒッチハイク殺人事件の犯人を探しているんです。見覚えがありますか?」

 「はい。俺です」

 さて、今度はパトカーにヒッチハイクする事になるな。

読んでいただきありがとうございました……………

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