第12章、綱渡り④
日があいてしまったので、どうしても今日出したいという思いから、中途半端なものをいつもの時間に出してしまいました。すみません。
後から文章を追加させてもらいました。
「“皆、クロノタトンに避難したと聞いた時は驚いたが、無事で何よりだ。”」
ララノアに案内されながらクロノタトン邸の廊下を歩く中、ルヴァンは生徒三人に言葉をかけた。
「はい。最初はアスカルト殿下に付いて王宮に行こうとしていたのですが、侵入者に阻まれましたので、急遽、こちらに…。」
「“そうか。”」
ルヴァンの反応から見るに、すでにそのことを知っていたようだ。大方、自分の獣魔かフィルから連絡を受けていたのだろう。
「“…先ほど私が部屋に入った時、何やら皆、真剣な表情で話していたようだが…今回の襲撃について話していたのか?”」
ルヴァンの問いに、メロディが慌てて答えた。
「い、いえ、部活を…していました。その、ワタシが…この間の、宮殿での調査に参加できなかったため、その際の出来事や新情報などを教えて頂いていました…。」
「ルヴァン先生。先生は、シェラトリス様のご先祖様に”あの魔女”がいたことを…、”あの魔女”が悪ではなかった可能性を、いつからご存じだったのでしょうか。」
メロディが大まかに説明した後、レイベルがルヴァンに質問した。
「“…。”」
ルヴァンが答える前に、クロノタトン邸の〈扉〉に着いた。
「こちらが〈扉〉になります。」
ララノアを先頭に進むと、学校の〈扉の館〉へと戻った。
「私はこちらでお待ちしております、ルヴァン様。」
部屋に留まる様子のララノアに礼を返し、ルヴァンは廊下に出る。
廊下は激しい争いの跡が残っていたが、危険は去ったと言わんばかりに清々しい空気を纏っていた。
ルヴァンは重々しく口を開く。
「“…シェラトリス・クロノタトンが入学するより前だ。”」
沈黙の長さに、ルヴァンが質問に答える気がないものだと思っていた三人は、はっとルヴァンを見た。
「“シェラトリス・クロノタトンが入学するずっと前に、全て、知っていた。”」
何を話すか厳選するように、言葉を選ぶように、ゆっくりと語り出すルヴァン。
「“…私は、とある事情から…他の者より〈書〉を手にする時期が早かった。そして、〈古書〉を使いこなすことも私には容易かった。…ゆえに、〈古書〉から以前の持ち主の記憶を読み取り、歴史の真実を知ったのだ。”」
ルヴァンの感情を読み取れぬまま、三人は黙って聞いている。
「“また、〈古書〉の内容と現在の情報を照らし合わせ、クロノタトンが”あの魔女”の親族にあたることを知った。”」
「先生も…公表しようとは思わなかったのですか? せめて…クロノタトン家の方々(かたがた)にお教えするとか…。」
エルルフの問いに、ルヴァンはピクリと頭を動かした。
「“……できなかった。私は、世の中にもクロノタトンの方々にも、余計な混乱を招きたくなかったのだ。…だが、シェラトリス・クロノタトンが自ら歴史を知りたいと思うのなら、それを叶えるべきだと思い、王立研究院の方々とも相談して秘密を明かすことにしたのだ。”」
そこで、他生徒の登場によって話は終わった。どうやら三人の他にも、学校の安全が確認されたことで帰宅している生徒がいるらしい。
「“…さあ、帰りなさい。”」
ルヴァンの声がけによって、クロノタトンの隣の〈扉〉、エルルフは帰って行った。
その後、レイベル、メロディと続いて各〈扉〉まで送り届けたルヴァンは、シェラトリスの〈扉〉まで戻った。
「“待たせて申し訳ない。”」
「いいえ。では、元のお部屋までご案内します。」
ルヴァンはララノアに再び案内され、シェラトリスらがいるティールームに戻る。
「失礼。」
ノックの後、一言 断って入室する。
「ルヴァン先生。」
「先生、お疲れ様です。」
「お疲れでしょう、どうぞこちらへ。」
シェラトリスとアスカルト、クレイがルヴァンに声をかけ、席を勧める。フィルは黙ったまま見つめている。口を閉ざしてはいるものの、その目にいつもの反発の色はない。
「ルヴァン~、メア~、おかえり~。」
シェラトリスの膝の上ですっかりくつろぐヴァイルが尻尾を揺らす。
「お疲れ様!ルヴァン!メア!」
チーナがシェラトリスとフィルの間で跳ねた。
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