表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古の魔法書と白ノ魔女  作者: 紀ノ貴 ユウア
6/60

第2章、おかしな休日①

「「「行ってまいります!」」」

「三人とも楽しんでらっしゃい。」


 シェラトリスは、馬の上から手を()った。ナルフェーリヤも、笑顔で三人に手を()った。

 馬を走らせたアスカルトの後ろを、シェラトリスとクレーメンス、三人のお付きの者たちが続く。

 向かう先は〈月の林〉である。空から見た時、月の形に木々が(しげ)り、その中心を通るように長い川が存在(そんざい)することから、その名が付いた。この時期(じき)(あたた)かな日差(ひざ)しと様々(さまざま)な花の(にお)いが最高(さいこう)心地良(ここちい)いのだ。



 数十分走らせ林に着いたところで、川に沿()って歩き出した。


「見て、あそこ。魚がたくさんいるみたい!」

 少し開けた場所に馬を木に(つな)いでいる最中(さいちゅう)で、シェラトリスが声を上げた。

「よし、ここで魚()りをしよう。」

勝負(ゲーム)をしましょう!」

 アスカルトは(うで)まくりをし、クレーメンスは帽子(ぼうし)()いだ。

制限(ルール)は?」

「そうだな…。(ぼく)とシェラトリスは水魔法(まほう)と風魔法(まほう)の二つのみ、クレーメンスはその二つに加えて土魔法(まほう)もあり、と言うのはどうかな?」

 魔法(まほう)で魚()りの勝負(しょうぶ)を始めるにあたってルールを決め、それぞれ(はな)れた位置(いち)移動(いどう)した。

(だれ)か、時間を(はか)ってくれ。」

 アスカルトはお付きの者に声を()けた。

「分かりました。十分()ちましたら、お知らせいたします。」

 アスカルトの護衛(ごえい)に付いてきた騎士(きし)の一人が、名乗(なの)りを上げた。


「それでは…スタート!」

 クレーメンスの合図(あいず)で三人は一斉(いっせい)に魚を()り始めた。



「シェラトリス様、頑張(がんば)ってください!」

「ええ、ララノア。…だけど、場所が悪かったみたい。魔法(まほう)を使いやすい所になかなか魚が来ないわ。」

「大きいのを(ねら)いましょう、総重量(そうじゅうりょう)勝敗(しょうはい)を決めるのですから!」

「そうね!」

 シェラトリスの(そば)で、付いてきたララノアが邪魔(じゃま)にならない程度(ていど)応援(おうえん)をしている。

 シェラトリスは、大きな魚を引き()せるように水魔法(まほう)(あやつ)り始めた。



 一方(いっぽう)、クレーメンスは。


「う~ん…一つ魔法(まほう)を使うと、もう一つがおろそかになってしまう…。」

 思うように魔法(まほう)を使えず、苦戦(くせん)していた。

「クレーメンス様、(ねら)う魚によって、同時に使う魔法(まほう)(かず)()らしても良いと思います。ほら、先程(さきほど)の魚は(たい)した大きさも強さもないので、水魔法(まほう)だけで()れますよ。」

「あ、あの魚は見かけによらず、なかなか手強(てごわ)いですよ。始めに土魔法(まほう)()げ場をなくしてから、水魔法(まほう)か風魔法(まほう)一気(いっき)に地上に上げてしまった方が良いですね。」

 (となり)から、クレーメンスの騎士(きし)二人がそれぞれアドバイスをした。

「なるほど…。」

 クレーメンスはシェラトリスとアスカルトの(ほう)をそれぞれ見た。二人は(たく)みに魔法(まほう)を使いこなしているようだ。

「私はまだまだだね…。」

 クレーメンス付きの使用人(メイド)近寄(ちかよ)り、会話に()ざった。

「今までは全魔法(まほう)を使用して良いことになっていたではありませんか。制限(ルール)(もう)けたということは、クレーメンス様の魔法(まほう)上達(じょうたつ)なさったとアスカルト殿下(でんか)がお思いになったに(ちが)いありません。見込(みこ)みがあると考えなければ、選択肢(せんたくし)()らすようなことはしませんよ。」

 そもそもクレーメンスの魔法(まほう)(うで)は、決して悪くない。むしろ魔法(まほう)上達(じょうたつ)は早く、同年代の他の子と比べて、習得(しゅうとく)(いきお)いが(すさ)まじい。

 しかし、クレーメンスのすぐ(そば)に、さらに上をいく者がいるせいで、(とう)の本人は(おのれ)(うで)の良さを理解(りかい)できていなかった。

(お兄様は、私に期待(きたい)してくださっているのかな…。)

「そうだね、私もお二人に()いつけるよう頑張(がんば)るよ…!」

 そう意気込(いきご)んで土魔法(まほう)(はな)った。

「今です、風魔法(まほう)を!」

 クレーメンスは、周りの者たちの知恵(ちから)()りて、順調(じゅんちょう)に魚を()り続ける。



 また、アスカルトは。


「魚が()れすぎて、面白(おもしろ)みがなくなるな…。」

 (だれ)よりも魚を()っていた。一匹一匹(いっぴきいっぴき)はそれほど大きくないが、(かず)尋常(じんじょう)じゃない。

「場所が良かったのでしょう。クレーメンス殿下(でんか)とシェラトリス(じょう)は少し手こずっているご様子(ようす)……大人気(おとなげ)ないですよ、アスカルト様。」

 クレーメンスとシェラトリスに残り時間が半分であることを(つた)えに行っていたアスカルトの騎士(きし)が、(もど)ってくるなり口を(はさ)んだ。

「一人は(おな)い年だ…。まあ(たし)かに、こんなハイスピードで()れていたら、勝負(しょうぶ)面白(おもしろ)みがない。よし、ここからは、種類(しゅるい)限定(げんてい)して()るか。」

余裕(よゆう)ですねぇ?調子(ちょうし)()って負けても、知りませんよ。」

「お前は(だれ)味方(みかた)なんだ…。」

 (こわ)いもの知らずの騎士(きし)軽口(かるくち)邪魔(じゃま)されつつ、アスカルトは魚()りを楽しんでいる。

 現実では、こんなにホイホイ魚は釣れませんね。ダンジョンに湧く魔物モンスターをイメージして書きました。


〈追記 2021年11月7日〉


 「古の魔法書と白ノ魔女」の閲覧人数が、のべ100人を超えました。

 とても嬉しいです。ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ