第8章、魔法研究会の調査③
お久しぶりです。そして、時間に遅れて申し訳ありません。
今日は「魔女の敵」はお休みです。
「しばらくは図書館での資料調査…のはずだったのですけれど。」
「まさかここまで早く許可が下りるとは…。」
シェラトリスとクレーメンスは、アスカルトからたった今もらった書類を見て呟く。
書類には、〈公的書類保管庫の入室許可〉という堅苦しいフォントの文字が大きく記されている。その下には、入室可能な日時と人数が書かれている。
「僕もびっくりしたよ。」
そう言って苦笑するアスカルト。
「まさか、陛下が後押ししてくださるとはね。」
「「陛下が?!」」
思わず驚きの声を上げる二人。学園ゆえ、他人行儀に呼んだが、クレーメンスは危うく「お父様が?!」と叫ぶところだった。この場には見知った三人しかいないとは言え、気を抜いてはいけない。
「な、なぜ…。」
「陛下は元々、近年酷くなっている白ノ魔女への抑圧を憂いていてね。それで、この状況を打破してくれそうな僕たち…〈白歴史研究会〉に期待しているんだ。」
「まぁ…。」
「嬉しいですね、シェラトリス様!」
「ええ、クレイ…身に余る光栄だわ。」
プレッシャーを感じつつ、期待されていることを喜ぶシェラトリス。
「さて…、他のメンバーにもお知らせしなくてはいけないですね。」
「他学生の方々は私におまかせください。シェラトリス様はルヴァン先生にご連絡を。」
「ええ、お願いね。」
「それではアスカルト様、失礼します。」
「後は任せたよ、二人とも。」
「ありがとうございました!」
そうして三人は解散した。
「先日にご連絡した通り、本日は宮殿へ登城します。皆様、ご準備はよろしいでしょうか?」
研究室に集まったメンバーを見渡し、シェラトリスは号令を掛ける。
「“大丈夫だ。”」
「大丈夫だよ。」
ルヴァンとアスカルトが代表して答える。
「それでは参りましょう。」
皆を率いて図書館へと向かう。
以前と同様に、学園の図書館から宮殿へと入るのだ。
「やぁ、待っていたぞ。」
笑顔で迎えたソフィニアの足元には、猫がいた。
(あら、この猫さんは…。)
「ソフィニア様、そちらの猫は…〈扉の館〉の婦人のでは?」
アスカルトが尋ねると、猫は「ニャー」と鳴いてアスカルトに飛びついた。
「わっ!」
アスカルトは驚いたが、しっかり猫を受け止め、抱きかかえた。
「はっはっはっ!!」
ソフィニアは笑う。
「その猫がお前たちに付いて行きたいそうだ。」
「えっ。」
「連れて行っても大丈夫なのでしょうか…?」
「フルーウが来たと、書類保管庫の番人に伝えればいい。それで通してくれるはずだ。」
「フルーウというのが…この猫のお名前でしょうか。」
「そうだ。大切に扱ってくれよ。婦人の大切な猫様だからな。」
ソフィニアがにやりと笑った。フルーウはすっと背筋を伸ばし、優雅なオーラを醸し出している。
フルーウは人の話を聞いて理解しているようで、ソフィニアの言い方からしても、ただの猫ではないような気がした。
「…かしこまりました。」
アスカルトはフルーウの居心地を考え、抱え直した。
「では、気を付けて行きなさい。」
ソフィニアが宮殿と繋がる〈扉〉を開く。
「行って参ります。」
シェラトリスを先頭に次々とくぐる。
「―――あちらの番人によろしく頼みますよ、フルーウさん。」
「ニャー。」
〈扉〉が閉まった。
「ソフィニア様…、今…、敬語でしたよね。」
閉じた〈扉〉とアスカルトの腕の中の猫を交互に見つめる一同。
「…こちらの猫さん、一体…?」
フルーウは自分を見つめる者たちを見渡し、あざとく首を傾げた。
「ニャー!」
来週は「古の魔法書と白ノ魔女」も「魔女の敵」も更新はありません。
〈追記 2023年11月27日〉
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