表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古の魔法書と白ノ魔女  作者: 紀ノ貴 ユウア
17/65

第4章、王宮にて①

 花粉の時期ですね。アレルギーの方は辛い時期だと思います。自分も目がかゆ過ぎて気が狂いそうですが、何とか生きてます。皆さんも頑張ってください…。

「こちらが、エルルフ様の〈(とびら)〉です。」

 いつもより早い放課後(ほうかご)、エルルフと共にシェラトリスは〈(とびら)(やかた)〉にいた。今は整備の者の案内を受けているところだ。


 どうやらエルルフの〈(とびら)〉は、シェラトリスの(となり)に設置されたようだ。クロノタトンの分家(ぶんけ)であることを考慮(こうりょ)して、そのような注文をノーア家がしたのだろう。でなければ、〈(とびら)〉の数が少ない上流貴族のエリアで、このように近い位置に設置されるはずがない。


「ご相談通り、ノーア家の玄関(げんかん)(つな)がっております。こちらが(かぎ)です。」

 シェラトリスと同じように、白と黒の薔薇(ばら)(かぎ)だ。

黒薔薇(くろばら)はこちらの部屋に入る時に使用し、中で必ず(かぎ)をかけてから、今度は(しろ)薔薇(ばら)を差してください。(かぎ)のかけ忘れにはくれぐれもご注意を。()くすのは(もっ)ての(ほか)です。…何かありましたら、先ほどいらっしゃった窓口(まどぐち)へお()しください。それでは。」

 淡々(たんたん)と説明をして去っていく黒髪(くろかみ)の男性 整備士。その背中(せなか)を見送ってから、シェラトリスは声をかける。

「早く家族にあなたの〈書〉を見せてあげて。」

 ノーア家に帰るエルルフと別れ、シェラトリスは自分の〈(とびら)〉の前に立った。その時、背後(はいご)からコツコツと音が聞こえた。

 振り向くと、メアが窓をくちばしで(つつ)いていた。シェラトリスが窓を開けると、メアはちょこちょこと歩いて入ってきた。

「シェラトリス・クロノタトン侯爵令嬢。我が(あるじ)、ルヴァン・イヴァンシェがお呼びです。〈古書〉の(けん)で、お話があるそうですよ。」

 それだけ告げるとメアは去って行った。シェラトリスは窓を閉め直すと、大急ぎでルヴァンの元へ向かった。



「“来たか、クロノタトン。アンドロとスティルグはすでに来ているぞ。”」


 研究(とう)にあるルヴァンの部屋。優秀な研究者でもある彼の部屋は、(とう)に部屋を持つ者の中でも特に広く豪華(ごうか)だ。簡素(かんそ)ではあるがそれでもインテリアにこだわりがあるようで、研究に関係がなさそうな品々があるのは少し意外だとシェラトリスは感じた。

 整理整頓(せいとん)されたその部屋の中、すでにシェラトリス以外の〈古書持ち〉が集まっている。

「“明日は祝日で休校日だが、お前たちには学校に来てもらわねばならない。宮殿(きゅうでん)に行き、そこの図書館で再び儀式(ぎしき)を受けてもらう。”」

 そう言って、ルヴァンは生徒にプリントを配り始めた。

「“保護者への知らせだ。休みは仕事がある生徒もいるが、それを(ほう)っても登校しなければならない理由があることを理解してもらうためのものだ。”」

 シェラトリスは、プリントの最後に学校の判子(はんこ)が押されているのを確かめた。

「“形式的なものだ。この場合、拒否(きょひ)をする保護者はまずいないからな。…では解散だ。明日、いつも通りの時間に登校しなさい。ただし、教室ではなく、図書館に。―――以上。”」

 ルヴァンはメアを()まりに移し、椅子(いす)に座った。生徒三人は一言(ひとこと)、別れの挨拶(あいさつ)をして退出(たいしゅつ)した。



 生徒がいなくなった静かな部屋の中、ルヴァンはドアを見つめて一言(ひとこと)(つぶや)いた。

 だが、その声は、メアが羽をばたつかせた音にかき消され、(だれ)の耳にも届くことはなかった―――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ