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作者: 南部忠相

文明は大きな木のふもと、そこから始まった。

山と見まごう悠久を生きた大樹。

文明の始まりを記憶し、幾度の滅びを見送ったその木は今日も空を睨む。

木は人のことなどわからぬ。

木は人の営みなど知らぬ。

木は人のことなど気に留めぬ。

人が幹に楔を打とうとも空を突く巨体はびくともしない。

ただひたすら空を睨み、その枝葉を伸ばしていた。

そして伸ばしたその枝が雲を突こうとした時、木は大きく傾き比類なき巨体は地に伏した。

気にも留めていなかった人の営みがその巨体を食い潰していたのだ。

木は酷く怒り、初めて人を意識した。

だが、木の怒りは穴のあいた風船のようにスルスルと萎んでいった。

なぜなら木はなぜ雲を目指して枝葉を伸ばしていたのかも思い出せなかったからだ。

あと少しで届いたであろう雲。しかし、届いたところで日々が変わるかなど木にはわからなかった。


感謝を


届かぬ思いを抱えながら木は穏やかに別れを告げる。

深く張り巡らせた根が死ななければ蘖が別な自分を形成して再び天を目指すだろう。これまで落としてきた種が来春には芽を出し、全く新しい何かが生まれるかもしれない。

そう考えると木は初めて楽しいと感じ始めた。

終わりを迎え、未来を考えることが堪らなくいとおしく感じられた。


願わくば、次は忙しなく生きるものに


木はそんなことを思いながら無意識へと意識を放り込むのであった。



しばらく書いていないのでリハビリのお話です。


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