7話
今日も今日とて依頼を受ける。
まだ冒険者3日目だけど。
今日も変わらず薬草採取を受ける。と言っても常設依頼だからわざわざ受ける必要も無いんだけどね。適当に森に入って薬草取って帰ってギルドに出すと依頼を受けたという事になってる。
因みにゴブリンもそうだ。ほっとくとすぐ増えるから間引きが必要。一定の区域全滅させても他の区域から流れて来るからすぐ増える。
繁殖力・生命力共に異世界のGを名乗るに相応しい生命体だ。進化さえしていなければ一般人でも武器があれば勝てるレベルで弱いので冒険者や騎士の新人の教育に使われる。主に命を奪う練習だ。まあこの世界の人はよく人の生死に触れ合うし魔物なんて身内の仇である事などざらであるから最初から抵抗感はほぼ無い。寧ろ嬉嬉として殺しに行くレベルだ。
因みにゴブリンは常設依頼として1匹銅貨1枚。魔石は銅貨5枚になる。600円だ。薬草より遥かに効率は良いが命を奪い合い得る報酬としては低いの一言に尽きる。
Fランクの新人等は殺されないようにパーティを組む。大体人数は3人か4人だ。1人の一日の生活費が銀貨2枚だとすると1人でゴブリンを4匹狩る必要がある。パーティだと12匹ないしは16匹必要になるのだ。いくらゴブリンの数が多いと言っても毎日狩れる数では無い。ゴブリンを狩りつつ薬草を採取したとしても難しいだろう。
Fランクは基本的に冒険者見習いみたいな立ち位置だ。赤字覚悟。Eランクにもなれないようなやつはマジで冒険者の才能が無いから手持ちの金が尽きる前に故郷に帰れと言っているランクなのだ。
ゴブリンも5匹狩れば1つの依頼が達成した事になる。なので才能のある人は結構早くにFランクを卒業する。因みにEランクは武器を新調すれば赤字になるが普通に生活する分には赤字にならない程度だ。
本当に1人前の冒険者と言われるのはDランクからになる。まあ今はそんな事どうだっていい。とりあえず薬草取りつつゴブリンが出れば狩るという形になる。
街を抜け森に行き約3時間薬草採取。暇なものである。ちょっとゴブリン少なくね?と思い始めた。毎日他の低ランク冒険者が狩ってるにしても少ない。まあ今俺がいる所が浅すぎるという可能性も否めない。もう少し奥まで進んでみるか。
と、思い200メートル程進むと半径100メートルの風の結界にようやくそれらしき反応があった。奥に進むだけで会えたのならこれは本格的に俺がいた場所が浅すぎたという事になるな。どうでもいいが。
さてさて狩りに行きますか。ゆっくり歩きながら向かう。周りに人間はいなさそうだが超スピードで走れる事がバレるとだるいしゴブリンごときに急ぐ必要も無い。取られたとしても他にいっぱいいるし。
ゴブリンの近くまで来たので忍び寄って近付く。因みに俺隠密も出来る。気配の隠蔽は風の得意分野だ。気配の原因となる物はこの世界には多々あるが中でも大きい要素を占めるのが覇気と音である。覇気に関しては龍の覇気をダダ漏れにすると魔物は一瞬で逃げるし人間は恐れて腰抜かす。なので完璧に隠せる様にしごかれた。
そして音。自分が行動を起こす度になる音の全てを風の魔法でシャットアウトする。すると全然バレなくなるのだ。因みに音をシャットアウトすると臭いもシャットアウトされるらしく鼻のいい動物を狩るとき非常に便利。
まあ同族には通用しないんだけどね。自分より風を上手く操る人多いし、他の属性でも色々感知の仕方あるし、何より龍人は人の魔力見えるから何してもバレる。
因みに火属性の感知方法はサーモグラフィー的な奴。水は霧を使って風と同じように探したり一面を水浸しにして動けばわかる様にする奴。土は動くことで起こる地面の振動をキャッチするらしい。
土だけ使えないので人づてだ。あと土に関しては空飛んでるとわからんらしい。まあそんな事は今どうでもいいか。要は俺は中々に高性能な隠密が出来るという事だ。
ゴブリンにあと一飛びで接触という所まで近付き様子を伺う。バレている気配は無い。弱い奴って中々に臆病で気配に敏感な奴が多いのだがゴブリンはそうでも無さそうだ。
一気に飛び付いて首を撥ねる。ゴブリンは何が起きたかわかってない様子だ。憐れな。
ああ、ゴブリンの血が剣に付いた。ばっちい。キモイ色してるわ。あ、解体用のナイフ買うの忘れてた。どないしょ。丸ごと焼くか?そうだなそうしよう。そのあと魔石取ればいいや。という訳で魔法発射。
うっは!くっせぇ。異臭だよ。風でシャットアウト&酸素を送ってさっさと燃やしてしまえ。
終わった。魔石を取り出す。ちっさいクズ魔石だが何に使うのかね?まあどうでもいいんだが。
あ、そうだ。風魔法って酸素みたいな所謂ガスを操る事まで出来るんだよ。生み出す事は出来ないが今ある物を操る事はお茶の子さいさい。酸素無くして真空にしたり、酸素から水素を切り離して一所にまとめ置いて着火とか大爆発ものですよ。どっかの某毎日爆裂娘みたいにハマってる訳でもないし手間掛かるからあんまやんないけど。
因みに水素は水属性の分野なんだけど他の気体を使って一所に纏める事位は出来る。一応水属性も操れるから直接操作出来ない事も無いんだけどね。
まあそんなこんなにでゴブリンを狩りつつ薬草を採取する。風の結界で効率が段違いなせいだろうか。或いは異変が起きてゴブリンが大量発生してるのだろうか。今日だけで15匹程狩ってしまった。出来れば効率が良かったという方であって欲しいね。
ギルドに戻り素材を換金する。ゴブリン15匹で銀貨9枚。
薬草は180枚だったので銀貨1枚と銅貨8枚。めっちゃ黒字だぜ。
宿に帰り調子付いてる俺は酒を頼んだりした。龍人は滅多な事では酔わないがな。多分ドワーフ並かそれよりも強い。どんだけ飲んでも全く酔わないのはちょっと寂しい物があった。あと飲み過ぎて財布も寂しくなってしまった。失敗失敗。