2話
どうも、俺です。
早いことにあれから15年が経ちました。旅立ちの日です。
飛ばしすぎィ、あと誰だよお前、ですって?
仕方ありませんねぇ、ざっくり15年間を振り返りましょう。
◇◇◇◇◇◇
「おぎゃー」
と、爆誕俺。
名前はレイと名付けられた。
レオじゃ無くて良かった。もしレオだったら龍人なのにレオとはこれ如何に(笑)、になる所だった。
名前は直ぐに分かった。
言葉も分かってたのでもしや言語系スキルあるか?と思ったけどステータスがそもそも無かった。
まああるいは、人族とかなら見れる道具なんかあるのかもしれないけどここは龍人の里だ。
人口200〜300人位。
秘境って感じの場所にこじんまりとした村があるだけ。
畑なんて無い。
獲物を狩ってその肉を食らうだけ。
栄養バランスとかどうなんよ?って思ったけどまあ異世界ですし?龍ですし。
龍人さいこー。鍛えれば鍛えるほど強くなる。めっちゃ楽しい。
それにどんだけ鍛えてもゴリゴリにならないのが良い。
鍛えれば鍛えるほど筋肉密度や骨密度が増すだけで、外見は細マッチョだ。
まあ、体重は増えるんだけどね。
5歳頃から狩りに出たり、魔法を習ったりした。
この世界ではあまねく全ての人が何らかの神の加護を持っている。
人族なら人神の、龍人なら龍神の加護をって感じだ。
人族の魔法適正はランダムらしいのだけど、龍人の魔法適正は龍神の加護によって決まる。
俺は風龍神の加護を持つ風龍だ。因みに龍神は火、水、風、土、光、闇がいる。魔法適正も同じだ。
俺の場合風龍なので風の魔法適正がダントツで高い。次点で相性の良い火だ。水も一応ある。
ただ、土は致命的に相性が悪いので使えない。これはどの風龍でも同じだ。
光と闇は、光龍と闇龍しか使えないので無理。
まあそんなこんなで狩りしつつ身体と魔法を鍛えている内に15歳を迎えた訳だ。
◇◇◇◇◇◇
うむ、さてこれからどうしましょう。
鱗、羽根、尻尾は出し入れ自由だし外見は人族と対して変わらない。
田舎から出てきたとでも言うかね?無一文なんだけど。
広大な森の中に今いる訳なんだが割と庭って感じだ。
実力的に入れない場所いっぱい有るけど、森を出るのであれば出口に近づく程に獣は弱くなる。
風でブーストしながら走り抜ける。時速100キロは超えてるんじゃなかろうか。
丸一日走れば出口も目前まで来た。
1日は24時間なんだけど、丸一日時速100キロ超で走らないと出口目前にならないとかどんだけ広いんだよと思わないでも無い。
「キャーーーーー!!」
どこから悲鳴が聴こえた。
ハイハイお約束ですねわかります。
助けなかったら見殺しだし、助けたらどっかの偉い人で目を付けられるパターン。
究極の2択だよね。まあ助けるんだけど。
風を操り音を集めどこにいるか把握してから急いで向かう。
1台の馬車とそれを取り囲む盗賊と思しき人間が10数人、騎士っぽい人が3人に地面に撃沈してる御者1人。
権力者の娘パターンだこれ。
騎士全員女だし。
とりあえず膠着状態にある様なので盗賊に向かって石を投げる。
頭に当たる。
相手は死ぬ。
ソフトボール大の石が時速200キロを超えるスピードで頭に当たればそら死ぬわな。
龍人の膂力凄まじい。
3人程やった所で俺の居場所が割れたので投げるのを止める。
慌てふためく盗賊を見て勝機を見出した騎士は一斉に斬りかかりものの数分で鎮圧された。南無。
「助かりました。私達だけでは少々厳しい人数でしたのでどうしようかと思っていた所だったのです」
騎士の1人が代表して話かけてきた。
「いえ、無事であるならば幸いです」
当たり障りの無い答えを返す。
「不躾で申し訳ないのだが、貴方はそんな格好でここで何をしていたんだ?」
「ああ、田舎から出てきたのですがどうも道に迷ったらしく、途方にくれていた所悲鳴が聞こえたので」
武器も持たずに森の中にいる俺に不信感を抱いているのだろう。さっき盗賊に襲われたばかりだしな。
「ふむ、そうか。ここからほど近くに街がある。私達もそこに帰る途中なのでそこで良ければ案内しよう」
「それは助かります。ではお願いします」
道案内ゲットだぜ。
森抜けてから考えてなかったからラッキーだ。まあテンプレ的にこれを期待して無かったかと問われるとガッツリ期待していた訳なんだが。