1話
人間死ぬ時はあっさり死ぬもんだな。
薄れゆく意識の中で俺はそう思った。
◇◇◇◇◇◇
「来たようじゃの」
どこかで誰かが呟いた。
◇◇◇◇◇◇
・・・こんな所にポツンと独居老人。
なんで?俺、不法侵入した覚えないぞ?
「誰が独居老人じゃ」
貴方では?と思ったが口には出さない。
「言わんかったのはええ事じゃが、顔に出とるぞい」
あ、プライバシー無い感じですか。
「死人のお主に個人情報も糞も無いからのぅ。気にする必要もあるまいて」
それもそうだな、侵害されても訴えられないし。それより話を始めてくれると助かる。
「うむ、では早速。お主は死んだ」
しってるー
「儂は神じゃ」
やっぱり?テンプレ展開キター?
「異世界転生じゃの」
りょうかーい
「随分あっさりしとるのぅ」
決定事項でしょ?逆らえる余地無くない?
「まぁそうじゃの」
だよなー、最近のラノベで主人公が神を脅したりしてるけど実際有り得ないよね。
「まあの、で、転生は強制じゃから拒否する余地は無いが種族と性別は選べるぞい」
性別は男で決定だよなー。種族に関しては何があるんだろう?
「人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、リザードマン、ドラゴニュート、と、まあこんなものかの」
悩む、ダークエルフは居ないんだ。残念。好きなのに。あと獣人族がざっくりしすぎなのとリザードマンとドラゴニュートの違いが分からん。
「ダークエルフはおるぞい、火、土、闇属性の魔法適正を持っとるエルフがダークエルフじゃの。因みに迫害はされとらん。獣人族は親によって決まるのぅ。リザードマンとドラゴニュートは竜人か龍人かの違いじゃの。ドラゴニュートの方が上位種になるのぅ」
なるほど、おすすめは?
「無いのぅ。ただ肉体のスペックだけで言うならばドラゴニュートになるかのぅ」
何その引っ掛かる言い方。
「どれを選んでも多少のデメリットは付き纏うものじゃ、諦めい」
ドラゴニュートの外見ってどんな感じなんだ?
「人族と大差ないぞい」
その一言が聞きたかった。
種族はドラゴニュートにするよ。
「参考までにどうしてドラゴニュートを選んだのか聞いても良いかの?」
その位ならお安い御用だよ。獣人族のランダム要素が怖いのとエルフとドワーフはなるものではなくて愛でる者であるからな、まあ理由としてはそんなとこか。
「決まった事じゃし早速転生を始めるぞい」
そう言うと、突然俺の視界はホワイトアウトした。と、思ったら赤子になっていた。