真実
士燕が王国を出た頃・・・
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〈カグライ王国SIDE〉
「お父様、あの男の処遇はどういたすのですか?」
「ルビーか・・・。分かっておる。ステータス自体は低いが頭は良いみたいじゃからな。あの小僧が何処まで真実を知っているのか分からんが勇者共に知られるのはまずい」
「では・・・」
「うむ。宰相よ、あの小僧に追っ手を放ち人気の無い場所で始末させよ」
「かしこまりました。あの男に付いていった女共はどういたしますか?」
「小僧から真実を教えられているかもしれん。殺すなり犯すなり好きにさせろ。ただし、与えてやった力は回収しなけらばならん。死体でも何でも良いから持って帰らせろ」
「分かりました。では私はこれで」
宰相は部下に指示を出すために部屋を出て行く。
「全く、全てが上手くいくもんじゃ無いの。しかしルビー、何故あの小僧にだけ力を与えなかった?何か理由があるのか?」
「いえ、確かに私は全員に力を与えたはずです」
「ふむ、まあ良い。あの小僧はこれで終わりじゃ。ルビーお主も疲れただろう。部屋に戻って休むが良い」
ルビーが部屋え戻ろうとした時扉の外から
「王よ勇者様が話があるとおっしゃておりますがいががいたしますか?」
「勇者?輝殿か?分かった入って貰え」
「は!!ではどうぞ勇者様」
扉が開き輝が部屋に入ってくる。輝は頭を下げながら
「いきなり来て申し訳ありません。シリウス王」
「構わん、頭を上げてくれ輝殿。それよりどうしたのだ?」
輝は頭を上げ焦るように要件を言う
「実は沙耶と琥珀が部屋に・・・いえ、城の何処にも居ないのです。何か知りませんか?」
「沙耶殿と琥珀殿か、実は儂等もその事で頭を悩ませていたのだ」
「ど、どうゆうことですか!?」
シリウスの言葉に輝は気が気じゃ無い。
「騎士の報告によると、どうやら2人は羽菜殿と3人であの無能者に付いていったらしい」
「な!!何であんな奴に!?まさか何か弱みを握られて?クソ!!なんて奴だ!!あの2人は僕と居るべきなのに!!」
(随分自分勝手な勇者だな。まぁよい、その方がコントロールしやすいしのぅ)
「安心するが良い輝殿。少し前に騎士に命じて迎えに行かせている。直ぐに連れて帰ってくるだろう」
その後シリウスは輝を自分の部屋に戻らせ
「全く勇者とは思えない性格ですわね」
「だが問題なかろう」
「そうですね。所詮使い捨ての操り人形ですもの。それよりお父様。連れて帰るなどと言って問題ないのですか?」
「大丈夫だ、問題ない。誰も生かしてとは一言も言っておらんしな」
「まぁ。悪い人ですね。お父様」
「クックック。あの勇者共を使い我等の悲願を叶えさせて貰うとするかのぅ」
士燕の予想は全てが当たっていた。シリウスとルビーがネルを殺した事、ネルを殺しその力を奪った事、2つの国を潰すまでは輝達は問題ない事まで全ての読みが合っていた。
シリウスとルビーは自分達の志願、そして士燕の抹殺この2つに失敗は無く全てが上手くいくと思っていた。だがシリウス達はまだ何も知らない。自らが言っていた「全てが全て上手くいくもんじゃ無い」この台詞がまだ続くことを・・・
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〈士燕SIDE〉
士燕の目の前には両足、両肩にナイフの刺さった1人の男が座っていた。だかその顔は涙と恐怖でぐちゃぐちゃだ。士燕の周りには10体の男の死体が転がっている。全てが士燕に差し向けられた騎士達だ。騎士達は3人が一瞬で殺され混乱状態になっていた。その隙を逃す士燕では無く一瞬で2人の首を刎ねる。此処で残りの5人は正気を取り戻し士燕に斬りかかる。だが5人は死にたくない一心でがむしゃらに剣を振って連携も何も無い。そんな状態で士燕に剣が届くはずも無く剣を避けながら男達首を切り裂く。そして残り2人になった時士燕は懐からナイフを4本取り出し2人とは違う森林の方にに投げ
「ギャアーーー!!」
男の悲鳴が聞こえ2人は驚愕の表情で悲鳴の聞こえた方向を振り向こうとした。が、士燕はさらにナイフを2本懐から取り出し2人の眉間に投げ2人の命も奪った。そして2人の眉間に刺さったナイフを回収し悲鳴が響いた方角に向かって歩き出した。そして士燕の目の前には両足、両肩にナイフの刺さった男が倒れていた。
男は士燕に向かって命乞いをし始める。が、士燕は
「下らねぇな・・・。俺を殺そうとしたんだろ?なら死ぬ覚悟くらい持っとけよ。殺すって言葉は本気で殺す覚悟と死ぬ覚悟・・・その2つを持った奴だけが発せられる言葉なんだよ」
命乞いを切り捨てるように言葉を放ち最後の男の首を刎ねる。そして持っている小刀に付いた血を払い沙耶達の元に向かい歩き出す。3人は羽菜が死体を見て気分を悪くし沙耶と琥珀が少し離れた場所に連れて行っていた。そして3人の元にたどり着いた士燕に羽菜は
「ま、真上君。・・・どうして・・・どうして殺したんですか?」
「相手に殺意が有るからだ」
「そ、そんな・・・。真上君が行ったことは殺人なんですよ!!」
「だから何だ?」
「だ、だからって・・・人を殺しといてそれだけなんですか?」
「なら、黙って殺されろってか?」
「ち、違います!そうではなく・・・」
「先生・・・俺が何を言ったところであんたは納得しねぇよ。もし俺のやり方が気に入らないなら今すぐ城に戻るんだな。あんたが何を言おうと俺は俺のやり方を変えるつもりは無い。相手にほんの少しでも本気の殺意が有るなら殺す。それが俺の・・・殺し屋としての矜持だ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。どうゆうことですか?殺し屋って?何で?え?何がどうなってるのですか?」
士燕が殺し屋と聞いてテンパる羽菜さん。テンパりすぎて何を言っているのか自分でも分かっていない状況だ。
「吉野先生落ち着いて下さい」
「そうだよ先生~深呼吸しよ、深呼吸」
琥珀と沙耶が羽菜を落ち着かせようと声を掛けるが
「いやいやいや!!何で2人はそんなに落ち着いていられるのですか!?もしかして2人もグルでこれまでのはドッキリなんですか!?」
落ち着かせることは出来ずさらにテンパる羽菜さん。頭から煙りが出てきそうな勢いだ。
「何でって私と琥珀ちゃんは知ってたし・・・」
「何をですか!?」
沙耶の言葉でテンパり度がまだまだ上がる羽菜さん。
「沙耶の言うとうり私達は知ってました。真上君が殺し屋だって事を」
琥珀の言葉でまだまだ、まだまだテンパり言葉を発しようとしたがそれは叶わなかった。なぜなら
「・・・どうゆうことだ?何でテメェ等が知っていた?」
沙耶と琥珀の後ろに一瞬で回り込んだ士燕が2人の首にナイフを押し当てていたからだった・・・