想いと行動
(さてと・・・ネルの奴は自分の所に来いと言っていたが何処に行けばいいか分からねぇ。まぁ色々廻りながら探すか)
士燕は城から出て門をくぐろうとしていた。だかその後ろから
「真上君待って~」
「ちょっと待って真上君」
「待って下さい真上君」
と掛け声とともに3人が後ろから追いかけてきた。士燕は立ち止まり後ろを振り返る。そこに居たのは沙耶、琥珀、羽菜の3人だった。
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〈沙耶、琥珀SIDE〉
士燕が門をくぐろうとする少し前、沙耶と琥珀は同じ部屋に案内され2人っきりで今後の話をしようとしていた。
「琥珀ちゃん、真上君の事だけど・・・」
「沙耶、真上君の事で話が・・・」
2人同時に同じ話題を話そうとしたため2人何処に言い淀んでしまう。そして互いに話を促し合い話が全く進まなくなった。だかこのままでは話が始まらないと思ったのが琥珀が話を進めることにした。
「沙耶、真上君の事だけどどうしたい?私は付いていきたいと思うわ」
「やっぱり琥珀ちゃんもそう思ってたんだ。私も一緒に行きたいと思ってたの」
琥珀の言葉に沙耶は笑顔を浮かべながら返事を返す。
「なら急ぎましょう。真上君が城から出る前に追いつかないと」
「うん!!でもどうする?このまま出て行って、私達が居なくなったのに気づいたら皆がパニックにならないかな?輝君か先生に一言言っとく?」
「言わない方が良いと思うわ。言ったところで絶対に止められる。そしたら間に合わなくなる」
そんな会話をしながら2人の方針が決まり2人は士燕に追い付くために門に向かって走り始めた。
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〈羽菜SIDE〉
沙耶と琥珀が方針を決めている頃羽菜は一と士燕の事を話していた。
「堀江先生!!良いんですか真上君を1人で行かせて!?」
「吉野先生落ち着いて下さい。真上が自分で勝手に起こした行動ですよ。責任は全部あの馬鹿にあるんです。もう子供じゃないんですから自己責任でやらせれば良いんですよ」
羽菜は士燕の心配をして話をしているが、一は元々士燕が気に入らない為この結果に満足し、士燕を見捨てる発言をする。此処に生徒が居ればまた全員の心が1つになっただろう。
(こいつくそ野郎だな)
と。
「そんな!!他の子供達は面倒見て真上君を見捨てるって言うんですか!?」
「他の者達は元の世界に帰るために一致団結して戦うことを選んだんですよ。ですがあの馬鹿は、元々協調性が無かったとはいえこんな場面でも協調性が無いなんて・・・まあ苦労はするでしょうがあいつには良い薬です。むしろあいつの為にほっといた方が良いんですよ」
「確かにあの子には協調性があまり見られません。ですがもう高校生だろうとそれを教えるのが私達教師ではないのですか!?やっぱり私には納得できません!!真上君を止めてきます!!」
その言葉を最後に羽菜は一に背中を見せて城の門に向かって走り始める。
(どうせ無理だろうけどな・・・まぁ、そしたら俺が羽菜を慰めてやれば良い。あの馬鹿も最後の最後に俺の役にたってくれるとはな。)
など、あくまで自分のことしか考えずその場で気持ち悪い笑顔を浮かべる一がその場に1人残った。
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〈沙耶、琥珀、羽菜SIDE〉
沙耶と琥珀、羽菜は士燕を追って城を走る。そして城の出口近くで3人が会う。
「立花さんと森海さん?どうして此処に?」
「先生もどうして?私と琥珀ちゃんは真上君に付いてい・・」
羽菜の質問に沙耶が答えようとするがそれを琥珀が慌てて止め琥珀が質問に答える。
「私達は真上君に話があるので真上君を追ってきたのです」
「何で止めるの琥珀ちゃん(ヒソヒソ)」
「部屋で言ったでしょう!此処で真上君に付いていくって言ったら間違いなく止められるわよ!(ヒソヒソ)」
「あっ!!そうだった・・・ゴメンね琥珀ちゃん(ヒソヒソ)」
2人は羽菜に聞こえないようにこそこそ話すが
「どうしたのですか?」
こそこそ話したせいで不思議がられた。
「な、何でも無いですよ先生!!」
「う、うん!!何でも無いよ!!そ、そんなことより先生もどうして此処に!?」
何とか誤魔化すために話を進めようとする。
「本当ですか?何か先生に隠してないですか?」
誤魔化し切れてはいなかった・・・。2人は焦りながら打開策を探すが何も思い浮かばない。だがちょうどその時沙耶が窓の外を見たときだった。そして
「あー!!琥珀ちゃん、あれ!!真上君が門から出ちゃう!!急がないと!!」
士燕が門に向かって歩いている姿が見えた。沙耶と琥珀が門に向かって走り始める。羽菜は2人の態度に疑問を持ちつつも、士燕が門を出た後会える可能性が有るか分からないので2人の事は一先ず置いておき羽菜も門に走り始めた。
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「何してんだ?あんたらはこの国の為に戦うんだろ?なら俺に関わってる暇なんか無いんじゃねぇか?」
この3人は元々士燕に対して元々好意的だったので士燕としても其処まで邪険にしたくないのか面倒くさがりながら対応した。
「真上君!!1人で行動するなんて危険すぎます!!先生が皆を説得するので皆の元に戻りましょう」
士燕の言葉に羽菜が答えるが士燕は頭を押さえながら
「ハァ・・・あのな先生。俺は元々この城から出るつもりだったんだよ。言っただろ、あの王とあの王女は嘘をついてるって。何が悲しくて騙されながら戦わなけりゃいけないんだよ」
「ですがそれは真上君の予想ですよね?まだそうと決まったわけでは無いはずです」
「先生あんたもかよ・・・悪いが此処で説明する訳にもいかねぇから説明はしないぜ。それで立花さんと森海さんも俺を止めに来たのか?だとしたら諦めろ」
そう言いって歩き始めようとしたが予想外の言葉が返ってきて士燕は動きを止めた。
「違うよ。私と琥珀ちゃんは真上君に付いていきたいの」
「は?」
沙耶に何を言われたか分からず士燕は沙耶と琥珀を見る。
「沙耶の言ったとおりよ。私達も一緒に連れて行って欲しいの」
意味が分からなかった。士燕にしてみれば只のクラスメイト1人に何故優位性を捨てて付いていきたいのか。それは羽菜も同じだった。
「ちょ、ちょっと待って下さい!!何で2人も一緒に行こうとしているんですか!?真上君を止めるために追っていたのではないのですか?」
「ごめんなさい先生・・・。それ、嘘です。あそこで付いていくと言うと止められると思ったので嘘つきました」
「あ、当たり前です。そもそも・・・」
琥珀と羽菜が話し合いをしている間に沙耶が士燕に話しかける。
「真上君お願い。私と琥珀ちゃんも一緒に連れて行ってくれないかな?」
「いや、意味が分からん。何で2人は付いてきたい?心配だって言うなら余計なお世話だ」
士燕は少し厳しく言い放つ・・・がこの言葉で沙耶と羽菜と琥珀の顔が一気に赤くなる。羽菜はそれだけで何故付いてきたいか分かったらしく「あらあら、まあまあ」みたいな近所の噂好きのオバチャンみたいになる。
「・・・」「・・・」
「あ?聞こえねぇからもっとハッキリ喋ってくれ」
2人は顔が赤いまま俯きながら喋るが士燕には聞こえない。羽菜は理由が分かるので少し楽しそうだ。
「・・・なの」
「え?」
「真上君のことが好きなの!!」
沙耶が少し大きめの声で自分の想いを暴露する。そして士燕は完全にフリーズする。
「私も沙耶も真上君のことが好きなの・・・。だから私達も連れて行って・・・ううん。真上君に断られても絶対に付いていくわ!!こればかりは先生にも邪魔はさせないわ」
琥珀も自分の想いを暴露する。士燕はますます困惑しフリーズ現象が加速する。羽菜は沙耶と琥珀の想いと覚悟を聞き止めるのは無理だと判断し、そして
「分かりました。なら先生はもう止めません。その代わり!!私も付いていきます!!この状況で生徒だけで行動させるわけにはいきません!!それが先生の出来る最大の譲歩です!!」
仕舞いには羽菜まで付いてくると言い出した。
「分かりました。先生にも付いて頂けると心強いです」
「よかった~許可が出たよ。ありがと~先生。真上君これから宜しくね」
士燕を無視して話が続いていく。その時士燕は急な展開に完全に思考停止状態に追い込まれ何も考えられず何も言えなかった。そして3人の勢いに押されそのまま4人で城を出ることになった。