アークイデア/カグライ ステータス(1)
「「「真上君!!」」」
士燕が目を覚ますと沙耶と琥珀、羽菜の3人が心配そうに士燕を見ていた。
心配そうに士燕を見ていることが気に入らないのか周りのクラス者は士燕に憎悪の目を送っていた。(特に輝と一は親の敵を見るような目だった)
そんな視線を無視しながら立ち上がろうとした士燕だが
「まだ起きちゃ駄目だよ!」
「そうよ!真上君だけが気を失っていたの。もう少し安静にしてないと」
沙耶が起き上がるのを止め琥珀がそれに同意して大人しくすることを促す。
「大丈夫だ」と言い立ち上がろうとしたが2人が目に涙を溜はじめたので大人しくする事にした。士燕が大人しくしたことが嬉しかったのか2人は笑顔を見せ士燕に膝枕までしようと準備しはじめた。士燕は恥ずかしい・・・とかではなく周りの視線のウザさと、いざというとき動けないので膝枕は断った。断られるとは思っていなかったのか2人はショックを受けていたので羽菜に士燕が起きる前までの事を聞くことにした。
(あの後気付いたら全員が此処に居た。そして俺だけが意識なく倒れていた。まぁそれはネルに意識を呼ばれていたからだが・・・。あの事は夢なのかと思ったが。まぁいい。さっきまでローブを着た奴らがいたが俺達が現れ喜びながらあの扉から出て行った。そのなとこか・・・。だとすれば此処がネルの言っていたアークイデアか)
そこまで考えている時に扉の外から複数の気配を感じ取り士燕は扉に視線を向ける。そしてその扉が開き複数のローブを着た者と鎧を着た者、そして豪華で煌びやかな服を着た2人の男女が入ってきた。
「おお!!この者達が勇者か!?」
豪華な服を着た男が金のローブに問いかける
「そうでございます王よ。我等、魔法騎士団の呼び出しに応じた勇者達です」
そう聞き王と呼ばれた男は満足げに頷きながら士燕達を眺めている。だが床に座り込んでいる士燕を見て眉をしかめる。それに気づいた鎧を着た男が士燕を見て怒りの色を顔に出し
「貴様!!我等が王の御前だぞ!!座り込んで無礼だと思わんのか!!さっさと立たんか無礼者が!!」
そう叫ぶと他のローブや鎧を着た者も士燕を睨みつける。それを見てクラスの女子は恐怖で震え、男子も士燕を睨みつけた。だがそんな中
「待って下さい!!真上君はさっきまで気を失ってたんです!!」
「そうです!!もし真上君に何かあったらどうするんですか!?」
沙耶と琥珀が擁護し始めるが士燕はこのままでは話が進まないと思いさっさと立ち上がることにした。沙耶、琥珀、羽菜の3人は士燕を心配そうに見ていたが王と呼ばれていた男は満足げに頷き話を始めた。
「勇者達よ!!よく我等のよびかけに応じてくれた!!とはいえおぬし達も混乱しているだろう。ちゃんと説明するので安心するがよい」
そう言われクラスメイトは静かに話を聞くことにした。
「この世界はおぬし達のいた世界とは違う世界[アークイデア]。そして此処は3つある国の1つ人間の統べる国[カグライ]であり儂がこの国の王[シリウス・ホーン・カグライ]だ。儂のことはシリウス王と呼ぶがいい」
シリウスは見た目50を越える男で傲慢であることを見ただけで分かる顔つきだ。腹もかなり出ていてかなりの肥満体型だが眼光は鋭く隙の無い印象受ける。
「えっと・・・シリウス王?此処が僕達がいた世界じゃないのは分かりました。けど先程そこのローブを着た人が呼び出したと言っておりましたが何故僕達をこの世界に呼んだんですか?」
クラスを代表として輝がシリウスに問いかける。だが、鎧を着た男が士燕に向かって無礼と言い怒鳴った為だろう。その言葉には恐怖の色があった。
だがシリウスは特に気にした様子もなく輝の言葉に答える。
「うむ。先程この3つ国があると言ったがその国々に神がおりこの国の神は[ネル]と言う。だが我等の神は他の2つの国・・・獣人の国[シシガミ]魔人の国[アラクネ]は我等の神を・・・殺してしまったのだ。・・・元々この2つの国とは争い事など無くよき隣人のようなものだった。恐らくこの2つの国は結託し我等カグライを潰し自らの領土を広げようとしているに違いない。儂はこの国の王として人族を、この領土を守らなければならない!!そこでおぬし達にこの国を守ってほしい!!そして我等を裏切りこのカグライに手を出したことをシシガミとアラクネに後悔させるためにこの2つの国を潰すのを手伝ってほしいのじゃ」
その言葉を聞き士燕以外のクラスメイトが息をのむ。
「待って下さい!!僕達は戦った事の無い只の学生ですよ!!いきなり戦えって言われても無理です!!」
輝の言葉にクラス全員が頷くが
「大丈夫です勇者様。流石に今すぐ戦えと言うわけではありません。取りあえず勇者様達には騎士団と魔法騎士団について貰い戦闘技術とレベルを上げてもらいます。それに勇者様達には神からの祝福を受けているので直強くなれるはずです」
「貴方はいったい?それに神からの祝福とは?」
「申し訳ありません申し遅れました。私は[ルビー・ホーン・カグライ]。この国の第一王女です。そして神の祝福ですが皆様はこの国カグライを救うために来ていただきました。故に神ネルのお力の1部をその身に宿しているはずです」
ルビーと名乗る王女は安心させるように微笑を浮かべながら説明していく。ルビーは見た目は士燕達と同じ10代半ばだろう。銀色の髪を腰まで伸ばしピンクのドレスがよく似合う女の子だ。何より笑顔が可憐でその笑顔は異性はおろか同性さえも引きつけるほどだ。現に輝や沙耶、琥珀をはじめ他のクラスメイトや一と羽菜全員が顔を赤らめている。
「で、ですがその・・・神様からどんな力を貰ったかも分からないのですがどうすれば良いのですか?姫様・・・」
「私の事はルビーとお呼び下さい。そして力の事ですけど皆様にはこの水晶に触ってもらいます。そうすれば皆様のステータスが表示されます」
そしてローブを着た男が水晶を持ってきて士燕達の前に置いた。そして輝がリーダーシップを働かせ一番最初に水晶に触った。そして表示されたステータスは・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レベル:1
職業:勇者
力:200
体力:200
物防:200
魔力:200
魔防:200
敏捷:200
スキル:魔法(光)レベル5(火)レベル5(水)レベル5
(風)レベル5(土)レベル5
魔力高速回復 成長率上昇 剣術:レベル5 限界超越:レベル1.5
称号:異世界人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このステータスを見てルビーは
「素晴らしです勇者様!!普通の一般人のステータスはレベル1でオール50位が普通なのですが勇者様はレベル1でオール200です。魔法も5属性に魔法レベルと剣術レベルが両方5とは。これなら我が騎士団長や魔法騎士団長を直越えることも・・・いえそれどころか獣王や、魔王も越えるかもしれません!!」
ルビーは興奮気味に語りシリウスは満足げに頷く。この2人を見て女子はキャーキャー言いながら輝を見、男子は次は俺の番だと言わんばかりに興奮する。そして順番に水晶に触り輝には届かないもほぼ全員が一般人を越えたステータスを持ち職業も[賢者][騎士][魔道士]など色々な職業が付いていた。そして最後の1人士燕が水晶に触りステータスが表示されるとクラスメイトや王、王女、そして周りの騎士達も全員が絶句した。それも悪い意味で
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レベル:1
職業:無し
力:30
体力:30
物防:30
魔力:0
魔防:0
敏捷:30
スキル:剣術:レベル1
称号:異世界人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー