レベル20
「は?」
士燕が素っ頓狂な声をあげる。
その声を聞いてローズは「あー、やっぱり」と呟き、他の3人は士燕に如何したのか問いただす。士燕は説明するより見た方が早いと思い紙を取り出して今見たステータスを書きそれぞれに渡した。
「「「えっ?ええっ!!?」」」
3人も驚きのあまり声を上げる。
それもそのはずだろう。何故なら・・・
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レベル:3→21
職業:僧侶
力:76→368
体力:103→609
物防:80→769
魔力:240→1678
魔防:240→1400
敏捷:79→401
スキル:魔法(水)レベル3→レベル18
(治癒)レベル7→レベル24
NEW│(氷) レベル1
魔力高速回復 魔力消費減少
成長上昇率UP
棒術レベル2→24
称号:異世界人 恋する乙女
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レベル:3→21
職業:剣士
力:150→895
体力:163→1036
物防:126→621
魔力:103→304
魔防:90→270
敏捷:226→1862
スキル:魔法(風)レベル2→10 剣撃速度上昇
剣撃威力上昇 縮地 NEW│飛斬
刀術レベル7→36
成長上昇率UP
称号:異世界人 恋する乙女
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レベル:3→21
職業:魔道士
力:76→295
体力:95→509
物防:72→609
魔力:260→1795
魔防:260→1650
敏捷:80→395
スキル:魔法(火)レベル5→16
(土)レベル2→10
(雷)レベル3→14
(風)レベル2→11
魔力高速回復 魔力消費減少
成長上昇率UP NEW│転移魔法
棒術レベル2→21
称号:異世界人
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自らのステータスが爆上がりしていた。それだけではなく新たな魔法とスキルも会得までしていたのだ。驚くのは無理もないだろう。
「士燕君、このステータスは本当なのですか?
先生にはとても信じられないのですけど・・・」
「信じられないのは俺も一緒だが・・・これはマジだ。
ローズには、何でこんなにも上がってるか分かるのか?」
ローズの先程の呟きを聞いていた士燕はローズに答えを求めローズがそれに答える。
「勿論知ってる。
普通レベルが1上がっても大してステータスは変わらない。
けど20上がる毎にステータスは大きく上がるの。運がよければ皆のように新しい魔法やスキルを覚えることも有るわ。
きっと士燕がオークを倒した時にちょうどレベル20を越えたのよ」
初耳の事実に士燕達は驚愕する。
それと同時にステータスの急上昇に納得する。
「はぁー、なら40、60に成ったときも一気に上がるのか?
全く・・・どうなってんだよ、この世界は?」
「そう言えば士燕君はどうなの?
元々凄いステータスだったからとんでもないことになってるんじゃないかしら?」
「ちょっと待て。今紙に書く」
琥珀にステータスを聞かれ紙に書いていく士燕。
そして書き終わり、それを4人に見せる。
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レベル:5→22
職業:暗殺者
力:5019
体力:10053
物防:9981
魔力:1132→2570
魔防:1080→2400
敏捷:13425
スキル:魔法(無)レベル2→24
宝物庫・神 鑑定・神 ステータス隠蔽・神
限界超越? 高速思考 並列思考 夜目
闘気法 殺気法 気配感知 気配遮断
先読み 瞬間記憶 直感 毒耐性 麻痺耐性
成長上昇率UP NEW│転移魔法
短剣術レベル99 投擲レベル99
刀術レベル99 槍術レベル73
鎌術レベル43 弓術レベル30 体術レベル99
大剣術レベル86 棒術レベル56
称号:異世界人 異世界人の暗殺者 極めし者 神を知る者
真名を隠す者 裏に生きる者 殺人鬼 全てを失いし者
最強 最凶 神速 NEW│鈍感野郎
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「あれ?
20を越えても魔力と魔防意外が上がってないよ?
ねえ、ローズちゃんどうして?」
沙耶の言うとうり士燕のステータスは魔力と魔防意外が上がっていなかった。
「さあ?分からないわ。
そもそもこのレベルでこのステータスなんて初めて見るし聞いたことも無いからなぁ。
まぁ、士燕だから・・・」
「うん。士燕君だからね」
「そうね。士燕君だものね」
「そうですね。士燕君ですものね」
「おい・・・どういう事だよ」
沙耶の問にローズも分からないのか首をかしげながら答えるが、最終的には士燕だからで片付けてしまった。他の3人も納得しその事に士燕は不服そうに反論する・・・反論するがその瞬間全員が目をそらし始め士燕は顔に青筋を浮かべイラッとするが何とか押さえる。
そして士燕としてはそれよりも気になることがあった。
「なぁ、俺って鈍感なのか?」
称号に新しく『鈍感野郎』が追加されていた。その事が士燕としては不服があった。
しかし、士燕の言葉に
「え、えっと・・・私はそんなこと無いと思います・・・よ?」
羽菜がかなり動揺しながら否定する。
「鈍感だよ~!だって私達が頑張ってアピールしたのに気付いてくれなかったんだもん!」
「そうね、あれだけ眼張ったのに気付いてくれないのは鈍感ね」
「確かに。私も一緒に旅に出てからアピールしてたが、私が好きだって言うまで気付いてなかったみたいだしな」
沙耶・琥珀・ローズは士燕の鈍感ぶりを強調しながら肯定した。
羽菜はともかく士燕の事を好きだと宣言している3人に鈍感だと言われては士燕も認めるしか無く
「そっかぁ、俺・・・鈍感だったのか・・・。
何か・・・ごめんな。気付けない鈍感で・・・」
ショックを受け落ち込みながら謝る士燕だった。
初めて見る士燕の落ち込む姿に驚きながらも、少し言い過ぎたと思い
「大丈夫だよ。私達は気にしてないよ」
「そうよ。それを含めて士燕君の魅力よ」
「だから落ち込まないでくれ。私達がもっと頑張れば良いんだから」
そうフォローする。
更に沙耶は真っ正面から、琥珀は背後から抱きつき自分の胸を士燕の体に押し付ける。ローズは士燕の頭を自分の胸に抱き寄せ更にその頭を撫で始める。
″恥ずかしがっている場合では無い。士燕が鈍感なら自分がもっと積極的に成らねばならない″と3人の意思は同じ方向に向かっていた。
だが当の士燕は鈍感と言われ、その本人達に慰められている事に情けなく思い益々落ち込んでしまうのだった。
その後3人の行動に顔を赤らめて見ていた羽菜だったが、3人が全く士燕を解放しそうにも無かったので
「あの~、そろそろ士燕君を解放して出発しませんか?」
と、3人に声を掛けた。
羽菜に声を掛けられ3人は先程までの大胆な行動に顔を赤らめながら、そっと士燕から体を離し
「そ、そうだね!士燕君!」
「わ、分かったわ!士燕君!」
「そ、そろそろ行くとするか!士燕!」
「「「続きは後で!!」」」
3人はまるで合わせたかの様に士燕に士燕に叫ぶ。
最早3人に自重する気はゼロである。
そしてそんな3人を止めるのはやはり・・・
「続きって何ですか!?
いい加減にしてくださーい!!」
羽菜は大きな声で3人を嗜め自重を促すが3人は全く聞き耳持たず、それどころか羽菜に逆に説教をかまし始めた。
「羽菜ちゃん!これは引くに引けない戦いなんだよ!」
「言ってる意味が全然分かりません!」
「この戦いを止めると言うのなら覚悟してもらうわよ!羽菜ちゃん!」
「何を言ってるのですか!?」
「これは士燕の心を射止める重要な戦いなのだ!」
「もう何をツッコめば良いのか分かりません!
そもそもこの世界は一夫多妻制なんですよね?
なら皆さんで士燕君のお嫁さんになれるんですから良いじゃないですか」
「「「愛されてる実感が欲しいの!!!」」」
「あ、はい。そうですか・・・。
ですが、過激なことは控えて下さい!」
3人の勢いに飲まれそうになるが1番の年上として、大人として言うことはビシッと言い切った。
だが、3人は
「む~、『そうですか』って適当すぎない?」
「え?」
「そうだな。羽菜も士燕を好きになれば私達の気持ちが分かるんじゃないか?」
「えっ?ええっ!?」
「そうね・・・。なら羽菜ちゃんに士燕君の魅力をしっかりと教えて上げましょう」
「ええっ!!!?何でそうなるんですか!!!?」
羽菜が反論するが3人は全く聞かず怪しい笑みを浮かべながら近づいていく。
羽菜がジリ、ジリと後退すればジリ、ジリと迫ってくる。
羽菜は士燕の方を向き目で助けを求める。
士燕はそれを正しく理解して羽菜の前に立ち
「取りあえず落ち着け。
悪いのは鈍感な俺なんだから。
・・・な?」
「「「はーい」」」
3人は士燕の言葉に素直に従い迫るのを止める。
そして羽菜は目に涙を浮かべながら
「ありがとうございます士燕くん!!
本っ当に助かりました!!
やっぱり士燕君は鈍感なんかじゃありませんよ!!」
士燕の手を握り上下に振る。
士燕としてはこんな事で鈍感じゃ無いと言われても微妙なところだが・・・。
その後、羽菜は士燕の手を握ってしまった事に、顔を赤らめて急いで手を離す。羽菜は沙耶・琥珀・ローズの3人の方を向く。
3人は羽菜をニヤニヤしながら見ていた。
羽菜は何とか取り繕うとするが、3人を代表して沙耶が羽菜に
「照れなくて良いんだよ~。
ほらほら、正直になろうよ~。
そして羽菜ちゃんも一緒にお嫁さんになろ~よ~」
「なっ!!!な、な、な!!!何言ってるんですかー!!!」
沙耶の言葉に羽菜がテンパり始める。
そしてそれが原因で出発するのが遅れることになるのだった・・・




