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世界最強の殺し屋異世界で無双し英雄になる  作者: おにゃんこ様
一章 冒険者登録
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赤(ルージュ)

魔法の練習を始めて一週間がたったその日の午後、訓練場には士燕の姿は無く琥珀と羽菜がリリィの指示のもと魔法の練習をしていた。沙耶はアリスについてもらい怪我をした冒険者の治療をしていた。治療をしてもらっている冒険者は何故模擬戦をしていないのか気になったので


「沙耶ちゃん、士燕さんは?どうして模擬戦を今日はしないんだ?」


と聞き


「士燕君は朝からリンさんとユウさんと一緒に、外に魔物退治に出かけたよ。だから今日は居ないの」


と答えた。それを聞き冒険者達は一同にガッカリし落胆するが


「でも明日はしっかり模擬戦するって言ってたから元気出して。はい!治療終わり」


沙耶の言葉で冒険者達は元気を取り戻す。そして治療してもらった冒険者は沙耶に「ありがとう。士燕さんに宜しく言っといて」と言い去って行きまた別の怪我をした冒険者が沙耶に治療してもらう。


特に何も起きない平和な1日・・・かと思われたがそうそう上手くいかないのが世の常である。


治療を開始して1時間ほどたった時、ギルドに二人組が入ってくる。


「いやぁ兄貴。やっと帰ってこれたっすね」

「全くだぜ。ん?なんだあの行列は?』


ギルドに入ってきた2人は沙耶の治療の行列に気づき近づいていく。そして


「兄貴見て下さいよ。この女かなりの上玉っすよ」

「全くだぜ。おい嬢ちゃん、こんな雑魚共ほっといて俺達と良いことしようぜ~」


と、下心満載の気持ち悪い視線で沙耶に話しかける。だが


「えっ?私好きな人居るから嫌だよ」


バッサリ切り捨て、それを見た周りの冒険者達は大爆笑し始める。その事に腹を立て


「な、テメェ!!俺らBランク『鬼の角』だぞ!!分かってんのか!?」

「え?知らないよ。誰?」


沙耶の言葉に


「このガキ!!良いからテメェは俺等と一緒に来りゃ良いんだよ!!」


そう叫び沙耶の腕を取ろうとするが


「止めて下さい!!彼女は嫌だと言っているんです!!」


アリスに咎められる。2人はアリスの方を向き


「あ゛あ゛!?テメェは確か蒼穹の光の僧侶か?何だ?ならテメェが相手してくれんのか?俺等はそれでも良いぜ?」

「兄貴、面倒だから2人共連れてっちまいましょうよ?」

「それもそうだな。オラ来い!!」


そして2人は沙耶とアリスの腕を掴み連れ去ろうとする。だが周りに居るのは、士燕に師事した冒険者達だ。そんな横暴を許すはずも無い。


「おい!!姐さん達を離せよ!!」

「そうだそうだ!!テメェ等ランクBだからった調子のんな!!」

「沙耶ちゃん達嫌がってんでしょ!!この最低の屑野郎!!そんなんだからあ

んた達はモテないのよ!!」


周りの言葉に二人組は顔に青筋を浮かべ


「うるせんだよ!!テメェ等ランクの低い雑魚共は俺等のやる事を黙ってみてりゃ良いんだよ!!」

「兄貴に刃向かうんじゃねぇよ!!テメェ等死にてえのか!?」


と叫び背に背負った槍に手を当てる。だが冒険者達も


「テメェ等、兄貴(士燕)に恩を返すチャンスだ!!ビビるんじゃねぇぞ!!」

「「「「おお!!」」」」


気合い十分で武器に手を当てる。最早、一触即発の空気だ。

その時


「沙耶、アリスさんどうしたの!?」

「沙耶さん、アリスさん大丈夫ですか!?」

「2人共騒がしいけど何があったの!?」


ギルド内が騒がしくなった事に2人が心配になった、琥珀・羽菜・リリィが訓練場から戻ってきた。鬼の角の2人はその3人に気持ち悪い視線を向ける。沙耶とアリスはその隙をついて腕を振り払い琥珀達の方に走っていく。そしてそれを見て


「嬢ちゃん達はこの嬢ちゃんの仲間か?実はよう、この嬢ちゃんが俺達に無礼を働いたんだよ~。悪いが詫びとして着いてきてもらおうか」


と嘘を吐くが


「姐さん達、こいつ等が言ってることは嘘だ!!気にすることは無いですよ!!」


周りの冒険者達があっさり暴露する。


「テメェ等マジで殺すぞ!!」

「やってみろや!!」


また一触即発の空気になる。が、その時


「うるせぇな。何かあったのか?」


そう呟きながらギルドにリンとユウを連れた士燕が入ってきた。ちなみに士燕の格好は前日に買った服では無く冒険者用として買ったもので、下は黒いズボンとブーツ、上は白のシャツにその上から黒のロングコートを羽織った姿だ。何人かの女冒険者が何時もとは違う姿に顔を赤らめながら見とれている。


士燕を見て沙耶達は士燕の方に走っていく。そして沙耶と琥珀がその腕に抱きつき


「お疲れ様。大丈夫だった?」

「お帰り~。怪我はしてない?」


心配するので


「大丈夫だ、何の問題もねぇよ。お前等の方こそ大丈夫だったのか?何か騒がしかったけど?」


と答え何があったのかを聞く。沙耶は何があったのかを説明し「怖かったよ~」と腕から腰に抱きつき、琥珀はそれを羨ましそうに見る。それを聞いた士燕は「また面倒ごとかよ・・・」と壮大にため息を吐く。そして周りに居た冒険者達も士燕の方に近づき


「お疲れ様です兄貴!!スイマセン!!俺等が居ながらこんなことになってしまって・・・」


と、頭を下げながら挨拶をする。


「おう。つーかお前等に責任はねぇだろ、気にすんな」


と言い、近づいてくる鬼の角の2人を見る。近づく2人に周りの冒険者達は飛びかかりそうな雰囲気を出すが士燕に「落ち着け」と肩を叩かれ止められる。そしてある程度近づいてきて2人が


「おいクソガキ、その女共をこっちに寄越しな。痛い目にあいたくねぇだろ?」

「俺等のことぐらい知ってんだろ?兄貴と俺に恥をかかされたいのか?」


士燕を睨みながら脅すが、そんなのでビビる士燕でもなく


「いや、誰だよ?ただのチンピラ(笑)じゃねぇの?」


士燕の言葉に周りの冒険者達は沙耶の発言の時以上に大爆笑し、鬼の角の2人は


「このガキ!!許さねえ、殺す!!」


背に背負った槍を手に持ち士燕に向ける。士燕はつまらなそうにそれを見て沙耶達を後ろに下げる。そして戦いが始まると思われたその時


「何をしている!!」


ギルド内に声が響き渡る。全員がその声の方を向くと1人の女が立っていた。女は身長は士燕より少し高いぐらいだ。引き締まっているが出るところはしっかり出ている。そしてその体に赤いロングスカートに赤いビキニ型のアーマーを付け背に両手持ちのグレートソードを背負っている。だがそれ以上に目を引くのが燃えるような赤い髪だ。その赤い髪をミドルヘアにしている。


そして女は鬼の角お前に立ち


「またお前達か!何時も騒ぎを起こして恥ずかしくないのか!?それとも・・・また痛い目にあわないと分からないのか?」

「チッ。おい!!行くぞ!!」

「あ、兄貴!!待ってください!!」


女に凄まれ2人は去って行く。そして士燕と士燕に抱きついている沙耶・琥珀、その近くに居る羽菜・蒼穹の光のメンバーを見て顔をしかめる。そして今度は士燕に近づき


「おい、貴様。今すぐ彼女達を解放しろ」

「「「「は?」」」」


士燕達は何を言ってるか分からない。周りに居る冒険者達は全員が「ああ、またか・・・」とため息を吐く。女はそんな空気に気づかず


「おい、さっさと解放しろ!!お前は彼女達と一緒に居て良い存在じゃない」


この言葉に沙耶・琥珀は、士燕を侮辱されたことに怒り女を睨みつける。羽菜も自分の生徒が侮辱されたことにムッとする。そして何故か蒼穹の光のメンバー全員もムッとする。


「解放しろもクソも、そんなんコイツらに言えよ。俺は別に強制してるわけじゃねぇんだ」


士燕の言葉に


「ぜ~ったい、離れないよ。何処までも付いていくもん!!」

「付いてくるなと言われても付いていくわ」

「そもそも、別行動なんて私は許しません」


と、答える。それを聞いた女は士燕を睨み


「そうか分かった。貴様、彼女達を洗脳しているな!!」

「「「「はぁ?」」」」

「なら貴様を倒し彼女達の洗脳を解いて解放してやる!!」


士燕は段々面倒くさくなり


「いや意味が分からねぇよ。てか、お前誰だよ?」


投げやりに答える。その言葉に女は驚きの顔をし


「この私を知らないだと!?ふぅ。まあ男なんてゴブリン以下の知能しか持たない低脳な生き物だからな。良いだろう、なら一度だけ名乗ってやる」


と、上から目線で答える。そして自分の胸に手を当て目を瞑りながら名乗り始めた。


「良いか?私は世界中の女性を貴様等低脳な男共から守る・・・」


名乗る前に前置きが始まった。士燕はほんの少し残っていた興味を完全に無くし、女を無視してギルドのカウンターに向かって歩き始めた。それに沙耶達、蒼穹の光は付いていく。周りの冒険者達は女の事より士燕が倒した魔物の方が興味有るので士燕に付いていく。女は1人でギルドの入り口で喋っている。その姿はもの凄く滑稽だった。


「あの・・・士燕君。彼女を無視して良いんですか?」


カウンターに向かって歩きながら羽菜が聞いてくるので


「前置きが長い・・・つか、面倒くさい。つう訳でお姉さん。魔物は何処に出せば良いんだ?」


と答えながら受付嬢に尋ねる


「討伐部位なら此処に出して頂いて構いません。まだ、解体が済んでいないのなら職員を呼んできますが?」


解体は済んでいるので宝物庫から出そうとしたら


「ちょっと!!何で無視してんのよ!!」


どうやら誰も聞いてないことに気付き士燕に怒りをぶつける。


「ん?ああ、終わったのか?」


「『終わったのか?』じゃないわよ!!何で聞いてないのよ!!」

「前置きが長くて面倒くさいから。で、誰なんだテメェは?」


士燕の言葉に女は怒りで顔を赤らめる。周りの冒険者達は笑いを堪えて顔を

赤らめる。


「なら今度はちゃんと聞きなさいよ。私は世界中・・・」


また前置きから語り出したので士燕は無視して受付嬢の方を向く。


「だから何で無視するのよ!?」


今度は直ぐに気づき声を荒げる。

あまりにも女が哀れなためリリィが士燕に説明し始めた。


「この人はランクA冒険者のローズよ。この街で1番強いと言われて(ルージュ)の異名を持っているわ。冒険者としては真っ当なんだけど極度の男嫌いでも有名なのよ。そのせいで男女混合パーティーを見ると、女の人が無理矢理パーティーを組まされていると思い込んで解散させようとするらしいわ。それに自分のやってることが正しいと思い込んでるから文句を言っても聞かないらしいの」


リリィの説明を聞いて


「たちが悪いな。つうかただの馬鹿だろ」


と呟きローズの方を見る。

ローズは


「ふふん。分かったかしら。あんたじゃAランクの私に勝てないわ。分かったら痛い目を見る前に彼女達の洗脳を解いてさっさと解放しなさい」


士燕に再度命令するが


「はいはい、凄いな。俺は忙しいから帰ってくれ」


と、あっさり流す。あまりの適当さに


「ちょっと!!適当過ぎない!?私はAランクだって言ってるのよ!!あんたランクいくつなのよ!?」

「ランクなんかねぇよ。そもそも俺は冒険者じゃねぇし」

「はぁ?あんた何言ってんの?」


士燕の言葉にローズは聞き返すが


「ローズ。その坊主の言ってることは本当だ」


受付の奥からギルドマスターが出てくる。それを見てローズは衝撃の発言をする。


「パパ!!」


ギルド内がシーンと静まる。そして


「「「「「パ、パパーーーー!!!!????」」」」」


とギルドにいた全員が叫ぶのだった。

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