街に向けて3
街にたどり着き士燕達はこの街の領主の館に向かうことになった。
「エリーゼ嬢、ロイド殿そして騎士の方々ようこそ我が街へ」
「ありがとうございますエリック卿。今日はお世話になります」
この街の領主エリックとエリーゼが挨拶を交わしエリックは士燕の方を向き
「して、この彼らは?」
「実は途中で盗賊の襲撃に遭いまして」
「な!!大丈夫だったのですか?」
「はい。危ない所だったのですがこの方々に助けて頂いたのです」
「そうだったのですか・・・ですがエリーゼ嬢が無事で良かったです」
そしてエリックは士燕の方に体を向け
「私はこの街の領主、エリック・ストライフ子爵だ。お主等の名を聞いても良いか?」
「士燕と申します。私達は貴族の方とはあまり接点がありませんので無礼があったらお許し下さい」
士燕が最初に話全員が挨拶をし士燕が1歩前に出る。ここに来るまでの間に士燕がリーダーとして引っ張ることが決まったからだ。(羽菜はまたやさぐれたが)
「士燕殿に沙耶嬢、琥珀嬢それに羽菜嬢じゃな。歓迎するぞ。エリーゼ嬢、ひとまず館に入るがいい、疲れたであろう。それにそろそろ昼になる。食事の準備をさせるのでその場で話をしよう。士燕殿達も一緒どうかな?」
断る理由も無いのでエリーゼ達と一緒に館に入りご馳走になることになった。
そして昼も終わりエリーゼ・ロイド・騎士達は館に泊まることになり士燕達は街の1番高い宿を紹介され泊まることになった。
「いらっしゃいませ。お泊まりですか?」
「ああ。領主にこの宿に案内されたんだが・・・」
受付は怪訝な表情で問いかける
「失礼ですがお名前を伺ってもよろしいですか?」
「士燕」
士燕の名前を聞き書類を探し始め1枚の紙を見た後表情を笑顔に変え
「士燕様ですね、確認が取れました。お部屋の方に案内いたしますので付いてきて下さい」
確認が取れたことにほっとし、4人は付いていく・・・付いていくが部屋の前に付くと受付が爆弾発言を落とす。
「此方の4人部屋になります」
「「「「はい?」」」」
「ですから此処の4人部屋です」
聞き間違いではなかった
「ちょっと待って下さい!!何で4人部屋何ですか!?」
羽菜が待ったをかける。やはり教師として年頃の男女が同じ部屋で寝泊まりすることには反対のようだ。
「領主様の使いの方も最初は3人部屋と1人部屋と言っていたのですが、今日はこの部屋しか空いてないと言ったらそれで良いと仰りましたので・・・」
そんな理由があるならしょうが無いが羽菜はまだ納得できそうになかった。仕方なく士燕が
「なら此処で良いんじゃねぇの?3人此処に泊まれよ。俺は外で野宿でもしてるから」
「駄目ですよ!!士燕君が1番疲れているはずです!!それに外で野宿なんて危なすぎです!!」
「ならどうすんだよ?他の宿に行くったって俺等金もねぇし領主さんの面を汚すことになるぞ」
「それは・・・」
羽菜は何も言えなくなり士燕が「決まりだな」と言い外に向かおうとした時沙耶と琥珀の2人から待ったがかかった。
「待って士燕君!!私達は大丈夫だから皆で泊まろうよ。ね、琥珀ちゃん」
「そうよ。私達は気にしないわ。むしろその方が・・・ごにょごにょ」
琥珀の最後の言葉は誰にも聞こえなかったが顔を真っ赤に染めていたので全員が大体予想が付いた。
「待って下さい2人共!!男の子と同じ部屋なのですよ?何かあったらどうするのですか!?」
「羽菜ちゃん大丈夫ですよ。士燕君はそんな人じゃないですから」
「そうだよ~それに士燕君なら私達ウエルカムだよ」
「むしろその言葉で2人が信用できなくなりそうなのですが・・・はぁ、分かりました。士燕君も一緒で此処で良いです」
「いや、だから俺は外で・・・」
「駄目です!!士燕君も此処でちゃんと泊まって下さい。その代わり問題を起こしては駄目ですよ」
「・・・はぁ、分かったよ。つうか問題起こしそうなのは沙耶と琥珀だと思うんだが」
沙耶と琥珀は羽菜が折れて士燕も一緒になったことにかなり嬉しそうに喜んでいる。それを見て羽菜は(この2人のストッパーにならなくては)と心にきめた。
「ではお決まりで良いですね?領主様から士燕様達の要望はなるべく答えるように言われておりますが何か要望はありますか?」
「あー、そうだな。今すぐ風呂に入りたいんだが2時間位貸し切る事って出来るか?」
「はい。問題ありません。この時間帯なら他のお客様はほとんど入らないと思われますので」
「んじゃ、頼むわ」
「では案内いたします」
そして宿の従業員に案内され風呂場に着くが此処でさらなる問題が・・・そう風呂場が一つしか無く男湯と女湯が無かったのだ。
「ど、ど、ど、どうする?士燕君が望むのなら私は一緒でも・・・」
「わ、私もそれでもいいわ!!」
「な、何を言ってるのですか沙耶さん琥珀さん!!そんなの駄目に決まってるじゃないですか!!」
顔を真っ赤に染めそんなことを言う2人に羽菜のお怒りが飛ぶ
「俺は後でで良いから先に入ってくれ」
士燕の言葉で琥珀が少し元気を落とすが沙耶が琥珀に耳打ちをして元気を取り戻し3人で風呂に入っていく。士燕はその間部屋に戻り休むことにした。
そして3人が部屋に戻って来たので士燕は1人で風呂場に向かった。
「あ゛~最高だ。やっぱ風呂は正義だ」
湯船につかりながら独り言ちる。この時士燕は完全に油断していた。故に脱衣所に2人の刺客が居ることに気づかなかった。
そして風呂場のドアが開けられ士燕は一瞬にして臨戦態勢をとる・・・が、刺客を見て動きと思考が止まった。なぜなら
「士燕く~ん。背中流しに来たよ」
「失礼するわ」
刺客の正体は沙耶と琥珀だった。しかも体にバスタオルを巻いているだけの格好で。士燕は訳が分からずポカンとしていた
「士燕君そんなにまじまじと見られると流石に恥ずかしいわ・・・」
琥珀の言葉で意識を現実に戻し慌てて2人から視線を体ごと逸らして
「ッ!わ、悪い・・・じゃねぇよ!!何で2人共入ってくんだよ!?」
「さっきも言ったけど背中を流しに来たんだよ。ほらこっちに来て。速く速く」
士燕は殺し屋一筋で生きていたため色恋沙汰が全然分からない。故にこの状況にかなり混乱してどうすれば良いのか分からず
「あ、はい」
と言いつつ気づいたら風呂椅子に座っていた。そして訳が分からないうちに2人に背中と頭を洗われていた
(やばい何か気持ちいい・・・じゃねぇよ!!何なんだこの状況!!)
など考えている内に頭と背中が洗い終わり
「えへへ。洗い終わったよ」
「じゃあ今度は前洗うわね」
爆弾発言どころが核弾頭を落としてきた。
男女の関係に興味が無い士燕だが年頃の男である。反応する所は反応してしまう。
「ちょ、ちっょと待て!!前はいい!!つうか俺はもう上がる!!」
士燕は慌てて風呂場からの脱出をはかるが
「まだ駄目よ。ちゃんと洗い終わってないわ」
「そうだよ~。ほら戻って戻って」
2人に抱きつかれながら止められ
(柔らか!!・・・じゃない!!やばいどうすりゃ良いんだ!?)
と心の中でテンパりまくりどうすればいいか分からなくなっていた。
ちょうどその時、脱衣所に人の気配を感じ士燕は(やばい!!)と思い強引に振りほどこうとした。・・・だがそれがまずかった
「きゃっ!」
「あぅ!」
「うお!」
琥珀が足を滑らせ士燕と沙耶を巻き込み転んでしまった。その時の音を聞き脱衣所から
「士燕君!!大丈夫ですか!?今凄い・・・音が・・・」
士燕が最も恐れていた事態、羽菜が来てしまった。士燕達は裸の状態でもみくちゃ状態で倒れている。せめてもの救いはバスタオルが外れていないことぐらいだ。
だかそんな救いなど教師の羽菜には関係ないらしく
「な、な、な!!何しているのですかーーーーー!!!!!!」
風呂場に羽菜の雷が落ちるのだった。
そしてその後部屋に戻り3人は夕食まで正座の状態で羽菜の説教を受ける事になった。
だか事態はこれで終わらず次の街、さらにその次の街でも沙耶と琥珀は風呂場に特攻を仕掛けその度に3人は正座で説教を受け、その後の話し合いで全員で水着着用で入ることに決まった。
羽菜も一緒に入るのは変なことをしないように監視するためである。・・・士燕ではなく沙耶と琥珀のだが




