~小さな少女~
シア達を呼びに戻ったハヤトは皆に謝り仲直り?すると再度萌衣とシルヴィを待たせている門へと向かっていた。
道中お腹を空かせてまで待っていてくれたミミルとリリアや、シア、リネス、カティア達に屋台でそれぞれが食べたいものを勝手あげた。
(後でシルヴィだけじゃなくて萌衣さんにもなにか考えとかないとな……俺だけの事情で待たせて悪いもんな…ん~、何がいいかは本人に聞いてみるのが一番だな…)
「ん、そろそろ待ち合わせしてた場所につくな。
もう一度聞いておくが、忘れ物とか買い足さなくちゃいけないものはないか?」
これから行く旅先まではどの位掛かるのかが分からないため、忘れ物などはなるべく無くしておきたいので再確認をとる。
途中行商人などが通ってくれれば、金さえ払えばどうにかなることもあるのだが絶対に通っていると言う訳ではないのであまり期待はできない。
「私は大丈夫ですよ。着替えや怪我をしたときのための回復薬などもしっかり持ってきましたから。
もちろん皆さんのことも考えて持ってきてますので、もしもの時はお任せください♪」
宿屋で見た荷物にそのようなものは見られなかったので恐らくハヤトが渡した魔法のポーチの中に入れているのだろう。
「さすがシア、準備万端だな。」
回りのことまで考えてくれているシア感心する。
(俺だったら自分のことだけでいっぱいになりそうだけどな……)
「いえ、ハヤトさんにしていただいた事に比べれば些細なことですから。」
「俺そんな大したことしたか?」
そんなことしたっけなぁ。と思い出そうにもあまり大したことをしたような記憶はなかった。
「ハヤトさんがそう思われてなくても…私や、リネスさん達はハヤトさんがどれだけの事をしてくれたか分かっていますから♪」
「そうだね。
それにしても、ハヤトくんは自分がどれだけの事をしているのかもうちょっと理解した方がいいと思うんだけど……皆はそこの所どう思うかな?」
シアとハヤトの会話を聞いていたリネスが思ったことを皆に問いかける。
「み、ミミルもそう思うです…ご主人様はミミルやリリアちゃんのことを助けてくれたです……」
「う~…リリアもそう思う~!!だって、リリアたちだけじゃなくて、リネスお姉ちゃんのこともシアお姉ちゃんのことも助けたんでしょ~?」
「私も一応助けられた…なのです??
だから、もう少し意識?してもいいと思うなのです……?」
本当にそう思っているミミルと、半分以上話を理解していないリリアと所々に疑問符がついているカティアもリネスの意見に賛同して。
「そうは言われてもな…出来たからやったてのもあるし、目の前で誰かが殺されたりするのも勘弁だからな…。
後は、助けられる命があるのに助けようとしないってのが一番嫌だからそうしてきただけなんだけどな?」
『それに』とシア達になにかを言われる前に続ける。
「誰かを助けること、守ってやることに理由なんて必要ないだろ?
それこそ助けようとしてる奴がよっぽどの悪人じゃない限りはな。」
一切躊躇することなく言い切るハヤトの言葉には少しの嘘など無いことはこの場にいる五人もよくわかっている。
シアを助けたときも…リネス、ミミルとリリアを助けたときも決してハヤトの為になるようなことではなかった。
自らの力を試すためと言うこともあったが、それでも一番の理由はそこに助けられる命があったから。
それとは別にシアとリネスはその前に知り合っていたからと言う理由も含まれている。
「あの時はそういう理由で助けたが、今ではみんな俺にとって大切な存在だ。
だから、失ってしまうことが無いように…全力で守ってやるんだ…と、この話は終わりにするか。」
少し先の方に待機しているシルヴィと萌衣の姿が目視できたため、無理矢理ではあるが話を断つ。
「ふふ♪……ハヤトさんらしいですね♪」
シアが一言、聞こえないような声でポツリと呟く。
「ご主人~!もしかしてあそこにいる人たちがご主人のことを待ってる人~?」
リリアも先の方に誰かを待っているシルヴィと萌衣のことを見つけたみたいで指を指して聞いてくる。
「あぁ、合ってるんだが……人に向かって指を指したらダメだろ?
それをされて不快に思う人だっているんだからな?」
まだ子供であるので何をしたらダメなのか等わからないことはまだまだあるかもしれないが、だからと言ってしたらいけないことをしたら怒るのは当然のことで。
「あうっ…ごめんなさい…。」
何か言い訳をすることもなく素直に謝った。
「分かればいいんだからな。」
ハヤトは怒られて落ち込みそうになっているリリアと目線の高さを同じにする。
「リリアはまだ小さいから知らないことがたくさんあっても仕方ないんだ。
けどな、知らないことを知らないままに、分からないことを分からないまま何もしないで終わらせてはダメなんだ。…何でか分かるか?」
決して怒るのではなく、そっと優しく問いかける。
「……な、なんで……?」
うつむいていた顔を上げ、ハヤトの目をまっすぐ見て一言一句聞き逃すことがないように聞いてたリリアが質問の答えを考えるがまだ難しかったのか、少しの間の後に首をかしげて聞き返した。
(やっぱりまだリリアには難しかったか……まぁ、しょうがないよな。
リリアにでも分かる言葉で説明するのはちょっと難しいな……あ、これなら……)
「…そうだな…もし、リリアがそのまま何もしないでいると何が悪いことなのか分からないままで、いつのまにか誰かを傷つけてしまうことになるかも知れんだ。
その相手は初めて話す相手かもしれないし、普段からこうやって話す俺やミミル、シア達かも知れない。
自分の言葉や行動で大切な人たちが傷ついたらリリアはどう思う?」
「…………嫌だ……。」
ハヤトが言った事が現実になってしまったときのことを考えてしまったらしく、今にも泣きそうな声でポツリと答える。
(言葉の理解はまだまだだけど、想像力に関してはずば抜けていいんだな……何か可哀想に思えてきたな……)
「だろ?だからそのままで終わらせずに、何をしたらダメなのかを考えるんだ。
自分で考えても答えが分からなかったら、回りに聞いてみることも大切なことだ。」
『分かったか?』とリリアの頭を撫でながら問う。
「うん…ちゃんとする…だから、嫌いになっちゃ嫌……」
撫でていた手をリリアが小さな手が握り返してくる。
その手は小さくだが震えていて。
(怖がらせるつもりはなかったんだが……結果的には怖がらせてしまったか。
リリアは後で甘やかそう……。)
リリアを怖がらせてしまったことを反省しつつ、後々甘やかすことを心の中で誓った。
……とりあえず、すぐには動けなさそうなのでリリアを抱っこして連れていく事にした。




