~冒険者登録~1部
すいません、予定よりも遅くなってしまいましたm(__)m
また、コピーが消えてしまうという悪夢がぁ……
次からはないように気を付けますのでこれからもよろしくお願いいたします(ノ´∀`*)
「ほぉ、中々でかいし、人も沢山いるんだなぁ?」
街に入ってからの第一感想であり。
「当たり前ですよ~、いくつもある街や都市の中でもエルドマール街は最高峰の技術があることもあって、一番栄えていますから。」
「最高峰の技術か……」
そう言えばここ世界でのそういう関係のもの見たことないな……
「どうかしましたか?」
「あ、いや、何でもない。」
「そうですか?なら良いんですけど。
それで、今からどうするんですか?」
「そうだなぁ、まずは宿屋を探そうと思う。別に野宿でも俺は良いんだけど、シアが嫌だろうしな。」
「私のことまで考えてくれてるんですね♪」
「当たり前だろ?
取り敢えず、宿屋探しもそうだが、先にオーガの核を買い取ってもらいに行かないとな。」
「あ、そうですね。魔物関係のものは冒険者ギルドで必ず買い取ってもらえるはずですが。」
「んじゃ、冒険者ギルドに行かないとな…。」
何処にあるのだろうかと、周りを見渡す。
「えっと、確か……ほかの建物に比べて大きいって聞いてたんですけど……」
「ほかの建物に比べて大きい、か……あ、もしかしてあれか?」
ハヤトが指差す方向にはそこにある建物の中でも大きなもので、外装も他のと比べるとかなり整っており、少し豪華に見えなくもない。
「多分あれっぽいですね。あそこに向かって見ましょうか。」
「そうだな、間違ってたらそこの人に聞けば良いだろうし。」
「そつですね、では向かいましょうか。」
ハヤトとエリシアは、目的地である大きな建物へと歩を進める。
「……近くで見るとこりゃまたでかいな。」
先程離れたところから見て思っていた大きさと、近くで見たのでは大きさがかなり違って見える。
「ここまで大きいとは思いませんでしたね。」
正直なところ大きい聞いていてもここまでの大きさは想像できない。
……誰が城のようなでかさの冒険者ギルドを想像できようか。
「ま、取り敢えずなかに入ってみるか。」
「はい、早く換金して宿も見つけないといけないですからね。」
「そうだな。ちゃっちゃっと済ませるか。」
大きな門構えを潜り、中へと入っていく。
「なかは以外と清楚な感じなんだな。」
「ですね。もう少し装飾とかがあって、豪華な感じかと思ってました。」
「ん~、豪華すぎても落ち着かないし、これぐらいがちょうど良いんじゃないか?」
「それもそうですね。」
「よし、換金してもらいに行くか。受け付けに案内人とかいるはずだから、どこでできるか聞いてみるか。」
「多分あそこじゃないですか?」
エリシアの指差す方向には、看板のようなものに、さほど大きくは無い字で受け付け所とかいてあり。
「お、さすがシアだな。」
と無意識にエリシアの頭を撫でる。
「は、ハヤトしゃん!?////」
「ん?どうした?顔が赤いみたいだが、熱でもあるのか?」
顔が赤くなっているのが気になって、ハヤトは熱があるかどうかを確かめるために、自分のおでこをエリシアのおでこに当てて。
「は、はわわっ!!?///」
「ん~、少し熱いけど、熱があるってほどでもなさそうだな。でも、何時悪くするかわかんないし、無理はするなよ?」
「は、はい…気を付けておきます///」
目の前から離れていくハヤトの顔を見て安堵するが、それとは別に少し寂しい気持ちを覚える。
「あ、そういや俺金銭に関して全く知らないんだが?」
「えっ……?さすがに冗談ですよね?」
「ん?冗談を言った記憶はないんだが。」
エリシアはとても信じられないものを見るようにハヤトを見て。
そこへ一人の女性が近づいてきて
「どうかされましたか?」
水色のショートヘアに、エメラルドのような透き通った綺麗な瞳で、身長は160センチくらいの女性で、制服のようなものを着ている。
「えっと、貴方は?」
「あ、私はクレイル・エリスともうします。」
「俺は、神咲ハヤトです。それと」
「エリシアです。」
「神咲ハヤト様と、エリシア様ですね。なにかお困りのように見えたのでお声をかけさせていただきました。」
「んー、困ってないと言えば嘘になりますね。
実は魔物の核を換金しに来たのですが、何せはじめてくるものでして、何処でしてもらえるのかわからず。」
「それでしたら私が案内させていただきますよ。」
「ありがたいのですが、大丈夫なのですか?」
「ご心配には及びません、元冒険者ですが、今はここで案内人をやっていますので、仕事の一貫として案内させていただきます。」
「では、お願いしても良いですか?」
「わかりました。では、着いてきていただけますか?」
「はい。」
と、案内人のエリスが案内をしてくれることになり、ハヤトとエリシアはその人に着いていく。
奥の方にあった階段を上へと上っていき、少し歩くと換金所とかいてある看板のようなものが見えてきて。
「あちらが換金所になります。」
「すいません、わざわざありがとうございます。」
「いえいえ、これも仕事ですからね。」
「だとしても、礼を言うことは大切ですからね。」
「ふふっ、では、これからも困ったことがあったら私のところに来てくださいね。何でもお教えいたしますよ。
もし、私がいないときは、その時に勤務している人にハヤト様と、エリシア様が来たときは私に通信機器で連絡をいれるように伝えておきますので。」
「それは、嬉しいのですが無理はなさらないでくださいね?」
「これでも、元冒険者ですから、体は丈夫なんですよ。」
「そらでも、エリスさんは女性ですから。もし、体調を崩して、それのせいで怪我でもしたら大変ですから。」
「あら、とてもお優しいお方ですね♪」
「そんなことないですよ。」
「ふふ♪ほんとならもっと話したいんですけど、仕事がありますので、そろそろ持ち場に戻りますね。」
「あ、はい。案内してくれてありがとうございました。」
「はい、それでは……」
エリスは自分の仕事の持ち場へと戻っていく。
「凄くいい人でよかったな?」
「そうですね。でも、少しだけ注意していた方がいいかもしれませんね?」
「ん、何でだ?」
「……何となくですが、嫌な感じがしましたから。」
「んー、考えすぎなんじゃないか?でもまぁ、シアがそう言うんだし、注意はしておくか。」
「すいません、少し心配でしたので……」
エリシアは自分がハヤトの心配事を増やして邪魔になっているかもしれないと思い暗い顔になってしまう。
「ほら、そんな顔すんなって、綺麗な顔が台無しだぞ?」
「で、ですが……」
「第一、シアは俺のことを思って言ってくれたんだろ?なら、それを俺が迷惑だとか邪魔だとか一切思わない。」
多分そんなことを思って、あんな顔をしたんだろうなと、何となくだがハヤトはそう感じていた。
「ほ、本当ですか?」
「あぁ、本当だ。」
「……なら、キスしてください……//」
「えっ?」
一瞬エリシアが何をいっているかが理解できず。
「き、キスしてくれたら、安心できるきがするんです……」
「……でも、回りに人がいるしな……」
「してくれないんですか……?」
不安そうな顔で、ハヤトの顔を見て。
「……今回だけだからな?」
「はい♪」
顔が明るくなり、笑顔になる。
「ほら、目を瞑れ……」
さすがに見られた状態では恥ずかしく。
「ん……」
エリシア静かに目を瞑る。
「……あ~、どうにでもなれっ!んっ……」
と半ばやけくそぎみに、回りに人がいる状態、見られているかもしれないなかでエリシアを抱き寄せてキスをする。
「んんっ!?///」
エリシアは、まさか抱き寄せられてキスをされるとは思っておらず、驚いて目を開けてしまうと、ハヤトと目があってしまう。
「…あ、安心できたか?」
「は、はい♪出来ました///」
「なら、よかった。」
数十秒キスをしてしまっていた二人は、その後そんなやり取りを交わす。
そんな二人を羨ましそうに見るもの、暖かく見守っていた人、空気を読んでみないようにしていたもの様々いた。
「と、とりあえず、換金してもらいにいかないとな。
シア、頼んだぞ?」
「わかりました♪換金に行って来ますから。ハヤトさんは、ここで待っていてくださいね。」
キスをしてもらえたためか、とても笑顔でルンルンしている。そんなテンションで換金所に向かおうとしたエリシアだったがなにかを思い、急にハヤトの方に戻り、頬にキスをする。
「なっ!?//」
「さっきのお礼です♪では、行ってきます♪」
それを告げて、換金所に向かう。
「ちっくしょ……可愛すぎんだろ……」
ハヤトは一人そんな言葉をこぼす。
「えっと、ここで良いんですよね?」
エリシアは、換金所とかかれている窓口のようなものに近づく。
「いらっしゃいませ。どうされましたか?」
そのなかにいる人が話しかけてきて。
「えっと、すいません、魔物の核を換金してもらいたいんですけど。」
「あ、換金ですね。現物を見せてもらってもよろしいですか?」
「は、はい。こちらになります。」
エリシアは腰につけていたポーチから直径50センチほどあるオーガの核をとりだし、換金の人に手渡す。
「これまた大きな魔物の核ですね。どのよう生物を倒されたのですか?」
「えっと、オーガの魔物ですね。普通のオーガよりも大きくて、火の属性を持っていたみたいです。」
「オーガは通常属性を持たないのですが……突然変異種の可能性がありますね。ちょっと査定をして来ますので少々お待ちください。」
「あ、待ってください。もうひとつあるのですが。」
「もうひとつですか?見せてもらってもよろしいですか?」
「え、えっと、かなり大きいのですが大丈夫ですか?」
「はい、この時間帯は人が少ないので大丈夫ですよ。」
「なら、これになります。」
先ほどの核だけとは違い、今度はここに来るまでに倒した熊の魔物を丸々一匹取り出す。
本当はかなり砕けていたのだが、ハヤトが集めて直していた。
「うわぁ、これまた大きな魔物ですね。こちらも一緒に査定をして来ますのでお待ちください。」
そう言って、換金所の人は自分のみにつけていたポーチに一旦熊の魔物をいれて。
「はい。わかりました。」
数分待ち……
「お待たせしました。査定が終わりましたよ。
オーガの核の方はランク7の突然変異種と確認できました。
熊の魔物のほうは、ランク5でした。」
「結構高いですね。」
「はい、こんな魔物を倒せるとは、とてもお強い冒険者様ですね。」
「いえ、倒したのは私でないんですよね。」
「そうなのですか?」
「はい、今あちらに立っている彼が倒したんです。」
「へぇ、そんなにお強い方なんですね。」
「とても強いですよ、彼のサポートなしでは足止め程度しかできませんでしたから。」
「それでも、十分強いと思われますが……」
「それと、腕に自身があるだけで、まだ冒険者ではないんですよ?」
「え?そうなのですか?」
「ええ、今日換金するついでに登録をしに来ましたから。」
「そうでしたか。よろしければ、この後私が担当いたしますよ。」
「よろしいんですか?」
「構いませんよ。もう私の勤務時間も終わりますから。」
「そうですか。なら、お願いします。」
「了解しました。まずは査定の結果をお伝えしますね。
オーガの核が1つで白銀貨1枚と金貨50枚になります。
熊の魔物のほうは、少しですが素材となる部位に損傷が見られますので金貨10枚になります。」
「ふぇ?」
思わず変な声をあげる。
「どうされたんですか?」
「あ、えっと、そんなに値が付くとは思ってなかったもので。」
「あぁ、そう言うことでしたか。確かに普通のオーガでしたら金貨20枚程度ですが、今回のオーガは突然変異種でとても珍しい物でしたので、この値段になりました。」
「へぇ、そんなに珍しいものだったんですね。」
「はい、突然変異種と言われるだけあって、どのような環境で現れるかもわかっていませんから。
それに、何かしらの固有スキルを持っていたりして、とても並大抵の冒険者じゃ敵うものではありませんので、とても貴重なんです。」
「まだまだ、謎って多いんですね。」
「はい、全然知識が足りてませんから、現時点では解明なんてとてもできないみたいですね。
あ、こちら査定の結果のものになります。問題がなければお受け取りください。」
「全然問題ありません。」
小さめの膨らんだ巾着を受け取る。
「それで、冒険者登録の件なのですが、彼も登録をされるのでしょうか?」
「そうです。呼びますので待ってください。ハヤトさーん!」
そう言って大きな声でハヤトに呼び掛ける。
「ん~?どうしたんだ?」
シアたちの方へと近づき聞く。
「えっと、どなたですか?」
近づいてきて、エリシアのとなりにいる人に気づく。
「えっと、この方が換金してくれたんですけど、その終わったついでに冒険者登録の方も担当してくれるみたいで。」
「初めまして、私はリネス・アーネットともうします。よろしくお願いいたしますね。」
リネス・アーネットと名乗る女性は、透き通るような銀色の髪のロングヘアーで、蒼い瞳をしている。
「俺は、神咲ハヤトって言います。」
「私は、エリシアです。」
「ハヤトさんと、エリシアさんですね。それでは、冒険者登録のする場所に向かいましょう。」
「わかりました。」
今度はリネスの後を着いていく。階段を登り他のところと比べて広い空間の場所にはいる。
そこには、小さい個室が複数あり。
「あの個室でも登録できるのですが、ハヤトさんとエリシアさんは、初めてみたいですので奥の方の部屋で行いたいと思うのですが、大丈夫ですか?」
「その部屋と此処でするので何か違いでもあるんですか?」
「そうですね…能力値の表示とかは変わらないのですが、固有スキル、恩恵などの詳細が見れるので、初めての方には奥の部屋の方を進めているのですが。」
「へぇ、詳細がわかるんですか。なら、そちらでお願いします。」
自分でステータスを確認しても、詳細までわかっていなかったのでどんな内容なのかが気になったため確認できる方を選び。
「了解しました。では、こちらにお入りください。」
奥の部屋にはいるためのドアを開けて。
そこには、中央に杖のようなものが刺さっていてその地面には大きな魔方陣が描かれている。
「あの杖の上に手をおいていただければステータス確認と登録をすることができますので、エリシアさんからお願いします。」
「は、はい。」
中央にある杖へと近づき、その上に手をおく。
すると、描かれていた魔方陣が輝き始める。それから少しすると自分の目の前に小さなカードとスクリーンのようなものが現れる。
カードにはエリシアの名前とFランクとかいてあり、スクリーンのようなものにはエリシアのステータスが表示されていた。
名前・エリシア
種族・ハイエルフ
ーレベル52ー
HP・1960/1960
MP・5380/5380
STR・1090
VIT・820
INT・1630
MND・1590
AGI・720
LUK・330
【固有】
・目測(距離や魔物のランク、素材のレア度がある程度みただけでわかるようになる。)
・魔術&魔法補正(魔術・魔法の威力、効果が上昇する。)
・精霊廻廊(精霊を体内に宿すことができ、それによる精霊魔法の威力、効果が上昇する。)
・精霊魔法(精霊魔法が使えるようになる。)
・MP自動回復LV10(一定時間後とにMPが回復する。)
【戦術】
・弓術LV10・短剣術LV4・風魔術LV9・回避術7・索敵LV5
【恩恵】
・森の妖精の加護(森の妖精の加護により、風魔術の威力、効果が上昇する。)
・精霊の加護(精霊の加護により、MP増加、精霊魔法の威力、効果が上昇する。)
「どうだシア?強くなってたか?」
「あ、はい!ハヤトさんのおかげで前より強くなれました!」
自分のステータスをハヤトに見せながら、強くなれたことが嬉しく、笑みを浮かべる。
「あ、あの、よろしければ、私にも見せてもらってもよろしいですか?」
リネスは、冒険者登録もしたことが無かったのにあんな強い魔物を倒した人達のステータスが気になってしまい。
本来なら、そのようなことをギルド職員が冒険者にお願いするのは、御法度なのだが……。
「ん、誰にも言わないって約束してくれるならいいと思うんだが、シアはどう思う?」
「……私も誰にも言わないって約束してくれるなら構いません。」
「だそうですが、リネスさん約束できますか?」
「はい、誓って誰にも言ったりしません。」
「なら、見て構いませんよ。」
とエリシアは少し横にずれて、リネスにも自分のステータスをみることができるようにする。
「ありがとうございます♪」
そう言ってリネスはエリシアのステータスを見て、少しの間だがフリーズしてしまう。
「……え、エリシアさんってこんなに強いんですか!?これならBランク上位の冒険者に匹敵しますよ!
と言うより、エルフだったんですかっ!?」
リネスは、エリシアの強さと種族にかなり驚いてしまっているが、心なしかその顔には喜びの感情が見える。
「リネスさんは、エルフと人間の関係は知ってますよね?」
ハヤトは、リネスがエリシアの種族を確認してから、すかさず質問を始める。
「はい、知っています。……エルフを盾のように扱うもの、鬱憤を晴らすために暴行などを加えるもの、奴隷商に売りさばき金儲けするもの……たまにですが、今でも見かけることがありますから……」
その自分が見てきたこと、知っていることを言うリネスの顔は、とても苦しそうで悲しそうで。
「…リネスさん自身はエルフのことをどう思ってるんですか?」
「え…それは…とってもいい種族だと思っています……」
「どうしてですか?」
「まだ、私が此処で働いていないときの話になるんですけど、元々私はエルドマールではなくて、ガウラ村と言う小さな村で暮らしてました。
そこは回りが自然で囲まれていて、たまにですが魔物が村に来ることもありました。でも、対して強いわけでもなかったので村の大人が追い返すか、退治をしていたのですが……」
「……何故か急に強い魔物が現れたんですか?」
その言葉を聞いてリネスは、無意識に下を向いてしまっていた顔をあげる。
「な、何で知ってるんですか?」
「最近、同じような目に遭った場所を知ってましたから。」
「そうでしたか。
ハヤトさんの言うように、急に強い魔物が現れました。とてもですが冒険者でもない村の大人たちではとてもですが敵うような魔物ではありませんでしたが、皆を逃がすために戦ってくれる人もいました……でも、その魔物はその人たちを無視して先に女性を襲ってきました…大人子供関係なしに……」
そう前に起きたことを話すリネスは、よほど怖い思いをしたのだろう、手と足が僅かだが震えている。
「もしかして、コブリンでしょうか?」
「は、はい。その時は詳しくなくて分からなかったのですが、特徴的にはコブリンだったはずです。」
(コブリンか……確かどの種族とでも繁殖ができる魔物だったよな……そりゃ、誰だって怖いな……)
「ですが、コブリンは男性の大人だったら苦戦はするでしょうが倒せないことはないはずですよ?」
「はい……確かにその日まで村に来ていたコブリンは大人が倒していました。けどその時のコブリンは他のとは違って、力も早さも桁違いだったんです……」
「突然変異種か……」
多分自分が戦ったオーガと同じ分類だろうな。とハヤトは考える。
「私は怖くて、その場から動くことができませんでした……もちろんそんな私を魔物が見逃してくれるわけがなく、見つけた瞬間に私を襲おうと向かってきました。
その魔物の後ろには、肉の塊になった大人や、苗床にされてしまった女性たちが複数見えて……私もあんな風になるんだろうな。って怖くなって目を瞑ったんです……」
先程までは僅かに震えていただけなのだが、今はかなり震えていて、目にも少し涙が滲んでいる。
それをみたハヤトは、思うがより先に行動に移す。
「大丈夫ですよ……ここにそのコブリンはいませんし、例えいたとしても俺がリネスさんを絶対守りますから…安心してください。」
ハヤトはどんな風に声をかけたらいいか悩んだが、とりあえず不安を取り除いてあげようと思いそう声をかけ、優しく抱き締める。
「は、ハヤトさん……?」
リネスは初めは動揺するが、自分が震えていたことと頬を伝う涙を知って、自分がまだその事を忘れられずに、話していくうちにまたそんな目に遭うんじゃないかと、不安になっていたことに気づく。
「怖かった、です……うぅっ……」
ずっと不安と恐怖で縛られていた中、ハヤトという安心感でそれらから解放されてたかが外れたのか、それから少しの間リネスはハヤトの胸のなかで泣いていた。
「す、すいません、お恥ずかしいところをお見せしてしまい……」
泣き止んだ後、ハヤトから離れたリネスは顔を少し赤くして謝っていた。
「大丈夫ですって、誰しも怖かったらああなりますから。な、シア?」
「はい、そうですよ。」
「……あ、ありがとうございます…それで、えっと、どこまで話しましたっけ?」
「襲われそうになったってところまでですけど、無理して話してくれなくてもいいんですよ?」
「大丈夫です。ハヤトさんのおかげでかなり落ち着きましたから♪」
「ならいいんですけど。」
「それで、怖くて目を瞑ったんですけど何時までたっても自分のみに何も起きなくて、気になってゆっくり目を開いたんです。
そしたら、目の前まで来ていた魔物は、脳天を射ぬかれて死んでいたんです。」
「脳天を射ぬかれて……?」
「はい、しばらくボーッとしていたら後ろから『大丈夫か?』って声をかけられたんです。
誰かと思って後ろを振り替えったら、人が立っていたんです。でも、よくみると耳が長くとがっていて片手に弓を持っていましたから、この人が助けてくれたんだって理解できました。」
「へぇ、エルフに助けられたんですか。」
「そうですよ。だから、私自身はエルフのことを酷く思ったりしていません、むしろとっても心が広くて優しい種族なんだなって思っています。
こうして、エルフであるエリシアさんに会えてとっても嬉しいんですよ♪」
「あ、ありがとうございます///」
エリシアは、会えて嬉しいとかそんなことを言われたことがないため、不意に言われたその言葉に少し顔を赤くしてしまう。
(この人なら何があっても大丈夫だろ……)
「リネスさん、お願いがあるんてすけど。」
「はい?なんでしょうか?」
「良かったら、これからもシアと仲良くしてくれませんか?もちろん、ギルド職員と冒険者という関係じゃなくて、友達としてです……」
そう言ってハヤトは、リネスに対して頭を下げる。それは、自分のためにではなく、大切に思っている人のために…楽しくいい思い出をたくさんつくってほしいがため。
「わ、私なんかでよければよろしくお願いしたいんですけど、エリシアさんはいいんですか……?」
「こんな私で良かったらよろしくお願いします。」
ハヤトだけに頭を下げさせてしまうのは間違ってると思い、エリシア自身もリネスに対して頭を下げる。
「わわっ、よ、よろしくお願いいたします!」
エリシアにも頭を下げられたのをみて、思わずリネスも頭を下げてしまう。
それから少しして……
「よかったなシア。いい友達ができて。」
「はい♪とっても嬉しいです♪」
初めて人間の友達ができたエリシアは、子供のように無邪気な笑顔を浮かべている。
「リネスさんも、ありがとうございます。シアの友達になってくれて。」
「いえ、こちらこそ♪それと、友達なんですから敬語は無用ですよ?」
「え?俺も友達に入ってるんですか?」
「え?違うんですか?ハヤトさんはなってくれないんですか……?」
そのハヤトの言葉を聞き、リネスは泣きそうな顔になる。
「い、いや、そういう訳じゃないですけど。いいんですか?」
「いいに決まってるじゃないですか。」
「そう言うことでしたら……改めてよろしくな、リネス。」
「はい♪よろしくお願いしますねハヤトくん♪」
ぱぁ!っと嬉しい感情で心が一杯になり、リネスは笑顔を浮かべる。
そんなやり取りをみていたエリシアは、リネスがハヤトに対して抱いている気持ちに気づいてしまい、思わず
「ふふっ♪」
と小さく嬉しそうに微笑む。
「だいぶ話がそれましたけど、次はハヤトくんが冒険者登録をする番ですよ。」
「あぁ、すっかり忘れてたわ……」
色々な話をしていたため自分が冒険者登録をするためにここに来ていたのをすっかり忘れてしまっていた。
「ハヤトさん、ここに来た目的を忘れたらダメですよ。」
「次からは気を付けるよ。
えっと、この杖の上に自分の手をのせればいいんだっけ?」
「はい、そうすれば後は勝手にすぐ終わりますから。」
「そんな簡単に終わってわかるって、この杖と魔方陣の技術って高いんだな。」
「まぁ、これでも最先端の技術を持っているこの街だから出来ていることなんですけどね。
他のところでは結構時間がかかるようなものしかありませんから。」
「へぇ、そうなのか。」
そんなは会話を交わしつつも、ハヤトは杖の上に手をおく。
エリシアの時と同じように魔方陣が輝き、それが収まるとハヤトの目の前に小さなカードとスクリーンのようなものが現れる。
ハヤトの横にいたエリシアとリネスはたまたまハヤトのステータスが目に入ってしまい、少しフリーズしてから……
「「なんですかこれっ!?」」
と揃えて大きな声をあげていた。