~ハプニング……?~
「んで、来たはいいが……萌衣さんは何処に居るんだ……?」
ギルド内へと入った二人は目的の人が辺りに見当たらないかキョロキョロして探している。
ハヤトは萌衣と会ったことがあるので居たら分かるが、シルヴィは会ったこともないから例え見つけたとしてもそれが萌衣かどうかは分かるはずがなく、ただハヤトの真似事をしていただけだった。
「ん~、ギルド長室にでも居るのか……?」
「念のためここの勤められてる方にその方が居るかどうか聞いてみてはどうですか?」
回りを見渡しては目的の人を見つけられずにいるハヤトにそう言葉をかけた。
「それもそうだな……なら、あの人に聞いてみるか。」
仮に勝手にギルド長室に行ったとして、もしそこに居なかった場合にそれを回りから見られでもしていたら、今後変な目で見られることとなるのは確実だ。
それを避けるためにも、偶然近くにいたギルド職員を見つけ声をかけることにした。
「あのすみません……」
制服を身に付けた女性職員に声をかける。
「は、はい?何でしょうか?」
声をかけられた女性職員は何か作業していた手を止めてハヤト達に向き直る。
女性の見た目は肩にかかる位のセミロングに、髪も瞳も同じ色の茶色でパット見た感じからも、雰囲気からしても幼げな感じと言うより妹に接っしているような感覚に近かった。
「えっと、ギルド長の萌衣さんが何処にいらっしゃるか分かりませんか?」
そんな感覚に少し戸惑いつつも探している人が何処にいるのか知っているかを聞き。
「ギルド長なら、ギルド長室に居られるはずですが……よろしければご案内しましょうか?」
「いえ、一度いったことありますので大丈夫ですよ。
ご親切にありがとうございます。」
親切に教えようとしてくれた少女に対し、少し深めに一礼をする。
そして、頭を上げた後に萌衣が居るギルド長室へ行こうとする。
「そうですか……。
あ、失礼ですがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
小さく呟いたかと思えば、ふと何かを思い出したかのように背を向けギルド長室に向かおうとしたハヤトとシルヴィを呼び止めた。
「俺のですか?」
振り向いては聞き直して。
「はい…あ、差し支えなければですので……」
ペコリと頭を下げた。
「そのくらい大丈夫ですよ。
俺は神咲ハヤトって言います。」
「や、やはりそうですか……」
小さくポツリと言葉をこぼして。
「……やはりと言いますと?」
そんな少女にハヤトは首をかしげることしかできないで。
「少し前にギルド長の方からお話をうかがってたんです。
『そう遅くないうちに神咲ハヤト君って男の子が私に用があると此処に来るはずだからその時はギルド長室に来るように伝えててくれ。頼んだからな~!』って言って戻っていかれたんですよ。」
「そんなこと言われてたんですか……」
「はい、だからもしかしてと思って伺ったんです……」
「はぁ…でもそれ自分で待ってた方が早くないですか?」
「それはそうですけど……ギルド長っていつもそんな感じなんですよ。
何もせずに待っているのが嫌いなお方でして……あ、でもやるときはちゃんとしてくれるかたですので……ど、どうかギルド長に対して変な風には思わないでくださいね……?」
また頭を下げてはちらりとこちらの顔色をうかがってきて。
「それだけのことで変な風に思ったりしませんよ。
それに俺も似たようなものですから。一人じっとしてるのが嫌いなんですよ。」
「へぇ、ギルド長と気が合いそうてすね…………あ、そう言えばギルド長に用があったんでしたね……こんなことで引き留めてすみません……。」
今の短時間で何度目になるかわからないがペコリと頭を下げた。
「はは、気にしなくて構いませんから……それではまた機会がありましたら話しましょうね。」
最後にもう一礼だけすれば、ギルド長がある方へと歩いていった。
「はい。また機会がありましたら。」
少女は手を降ってハヤトたちを見送った。
「さてと…此処に居るんだよな。」
それから少しして、ハヤトとシルヴィはギルド長室の前まで来ていた。
「こ、この中に居られるのですよね……な、何だか緊張してきました……。」
よく見れば若干ではあるが震えているが見てとれた。
「はぁ、そんな緊張することでもないから落ち着け。」
そんな状態の彼女を励ますように言葉をかける。
「わ、分かってはいるんですけど…どうしても緊張しちゃいまして……あはは、申し訳ないです……」
『なんかすみません……』と小さな声で謝ってくる彼女にハヤトはまたため息をひとつついて。
「こうすれば少しは落ち着くだろ。」
そう言っていまだに震える彼女の手を包み込むように握った。
「あ、貴方様!?///」
行きなりの出来事に驚いて大きな声をあげそうになるがなんとか抑えた。
「何だ?嫌なのか?」
『嫌なら離すが?』と言ってくるハヤトに全力で首を横に振って否定する。
「ち、違うんです……き、急でしたので驚いただけで……け、決して嫌だなんてことはありません…むしろとても嬉しいくらいです……///」
ハヤトは顔を赤くさせてそう訴えてくる彼女に思わず『可愛いな……』と思ってしまった。
「そうか、ならよかった。
と、そろそろ中に入るとするか。」
「そ、そうですね……」
こんなことでずっと此処にいるわけにもいかないのでギルド長室に入ることにする。
「萌衣さん入るぞー?」
「えっ!?は、ハヤトくんか!?い、今はちょっと……」
普通そう声をかけたならば相手から『入っていい』と変事が返ってきてから入るべきなのだが、ハヤトは中から萌衣の声が聞こえたことで、ちゃんと返事を聞くまでもなくドアノブにてをかけては捻りドアを開けた。
「待ってく……っ!?///」
「さっき受けたクエストの報告をし、に……へっ?」
入るときに下を向き、話ながら入ってきたハヤトはその視線を萌衣が居るであろうところに送った瞬間言葉に詰まり、変な声が出た。
目の前には何故か下着姿で首にタオルをかけただけの萌衣さんが顔を真っ赤にさせて固まっていた。




