~失ったもの~
「シル……ヴィ…………」
ハヤトは今、目の前で起きた出来事を必死に理解しようとしていた。
けれどそんなこと出来るはずがなかった。
一度守ると決めた者をまた守ることができなかった。
そんな現実を突きつけられたことで、何を考えてもすぐに消え去って行く。
方針状態のままその場に立ち尽くすことしか出来ない。
(俺はまた守ると決めた奴を守ることができなかった……。
次は絶対に守り抜くと誓ったはずなのに……俺の目の前にいるたった一人の少女すら守れないで……クソッ……。
ほんと……こんなんでよく世界なんて救いに来たもんだ……)
ハヤトはやっとの思いで体を動かし、シルヴィの側へと寄り添いそっと抱き上げる。
あんなに暖かくて優しかった彼女の手は冷めきっていた。
手だけではなく体全体までもが……。
現実を再度実感したとき、自然と瞳に涙が溜まっていくのがよくわかった。
ただ静かに冷たくなった彼女を優しく抱き締める。
服や肌に血が付くことなんて気にしなかった。この場においてそんなことが気になるはずもなく。
そして、改めて自分の無力さを痛感する。
(俺が弱いからなのか……?俺がまだまともに力を使いこなせないガキだったから……だから、彼女を苦しませて…死なせてしまったのか……?
…違う……弱かったのは俺の"心"だ……あのとき俺がちゃんと答えていればこんなことにはならなかった…素直に受け入れればよかったのに…いまだに昔のことを引きずって、回りの人たちを悲しませて、傷つけて……力だけあったとしても……)
最後"力"という単語が頭のなかを過った時、まだ諦めるのが早いことに気づかされる。
(…………そうだ、まだ諦めるには早過ぎるな……まだ何か出来ることがあるはずだ……考えろ…後悔するのは、出来る限りのことをしてからでもできる…)
それでも最後に確認したときの自分のステータスを思い出しても適した能力がなかった。
そう、最後に確認したときは……
その時から考えれば、幾らか戦闘をこなしており、初心者専用のクエストであるコブリンと討伐でも多少なりには成長はするもの。
ハヤトの場合はそれに加えて、カティアやシルヴィといった上位種との戦闘をしたことで急成長を果たしていた。
そして、今自分が求めている力が開花していないかを確かめるためにステータスを開く。
名前・神咲ハヤト
年齢・19
種族・??
ーレベル122ー
HP・3002800/3002800
MP・3601340/3631340
STR・462530
VIT・399750
INT・802890
MND・776590
AGI・568820
LUK・198280
【固有】
・全属性魔術(この世界で使われる、火、水、風、土、聖、闇、全ての属性魔術が使うことができるようになる。)
・無属性魔術(属性に位置されない魔術を使うことができる。雷、結界など……)
・付与士(全てのステータス、属性において上昇効果を付与することができ、10段階に分類される。)
・精霊魔法(精霊を通して強力な魔法を使うことができる。)
・錬金術(世の断りを極めし者は有象無象、森羅万象、全てのものを造り出す。)
・幻術(攻撃、現象等様々な方法で相手の目を欺くことができる。)
・神剣(剣術における全ての技を使うことができる。ただし、自分のステータスに見合わない強力な技を使うほど反動が大きくなって返ってくる。)
・起死回生【gradeup↑】(どんなに危機的状況であっても諦めないその心はどんな状況をも打破し、自らが望む道を切り開く。
そして、自らが望む命なき者を一部を除いて生き返らせる。
ただし、それ相応の代償と心から大切だと思える者のみ生き返らせることが可能である。
※処理能力強化・死者蘇生・対価の犠牲)
・限界突破(彼の者に限界は存在しない。
限界を越えたその先へと進みし者はどんな困難をも打ち砕き進む。
※上限突破・ステータス大幅強化。)
・生命分離(自らの寿命を半分削ることにより、死者蘇生の代償、人造人間等の魂錬成などに用いることが出来る。
※種族によっては寿命を削らずに使用が可能。)
・模倣(ある一定の者に与えられる固有スキル。
※獲得条件は不明。
※一度見たものを模倣することが出来る。
ただし、同じ効果を得ることは不可能、模倣したスキルの劣化版の効果を使用可能。)
【戦術】
・剣術LV10(剣技における空気抵抗をなくし、剣速が上がる。
※上限Lv10…?)
・槍術LV3(突きの速度と貫通力を増強させる。
※上限Lv10)
・拳術LV6(拳による攻撃時の自らへの衝撃を軽減し、その分威力を増加させる。
※上限Lv10)
・魔術LV10(MPの消費量を軽減し、魔術効果を強化する。
※上限Lv10…?)
・体術LV8(肉体の体力、硬度を強化する。レベルが上がる事にダメージを軽減する。
※上限Lv10…?)
・策敵LV??(限界を越えたそれは、彼の者に凄まじい処理能力、情報収集能力を与える。
ターゲットにされればまず逃げ切れることはないであろう……。
※上限Lv??)
【恩惠】
・状態異常無効(対象における全ての悪影響を与える状態異常を無効化する。)
・全属性耐性(全ての属性に対する耐性を大幅に強化する。)
・転生神の加護(転生神イヴニアの加護。これを得るにはかなりの信頼が必要である。
※全ステータス大幅強化。)
・魔素吸収(半径30キロ以内の生み出される魔素を吸収し、自らの糧とする。
※自動経験値増加。)
・竜神の加護(竜神に関係する者、もしくは慕われている者が得ることの出来る加護。
※ステータス大幅上昇。)
・コブリンキラー(一定数コブリンを倒したことにより得ることが出来る。
※ステータス極少上昇・コブリンに対するダメージ増加。)
「諦める必要なんてそもそもなかったな……それにシルヴィのためなら迷う理由もない……『生命分離』」
そのスキルは使ったことがないはずなのに、体はなぜかその使い方を知っていた。
固く握った拳を胸へと当てて目を瞑る。
時間が経過すると共に脱力感が出てくる。
(これが生命分離か……そう何度もしたいとは思えない感覚だな……けど、大切な人達を救うためなら何度だってやってやる……)
そうして出来上がった拳サイズほどの『生命球』を代償として死者蘇生を実行しす。
その最中に『起死回生』の詳細に「一部を除いて生き返らせる。」と書いてあったことを思い出す。
(恐らく、体のどこか一部が治らないとかそういう意味なのか……?腕や脚とかなら簡単ではないだろうが直せるのは可能なはずだ……それより今はシルヴィを生き返らせることが最優先だ……)
横にしているシルヴィのもとへと『生命球』が近づいていき、吸い込まれていくような形で少しずつ形を変えていき、最後には消えてなくなった。
同時にシルヴィの指がピクリと動いた。
「シルヴィっ!!」
その些細な変化を見逃さないでいたハヤトは指が動いたことに気づき顔を近づけた。
彼女はゆっくりと目を開けてこちらを見てきて……
「ここは何処ですか……?」
ハヤトと目があったあと上半身を起こすと回りを一通り見渡し、再度こちらを見て問いかける。
「何処って…冒険者ギルドの近くだろ……??……まさかシルヴィ覚えてないのか……?」
シルヴィの言葉を聞いて一瞬思考が停止するが、多分一度死んでしまった影響で一時的に飛んでしまっているのだろうと考えた。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
「その……申し訳無いのですが……
貴方様が呼ばれているシルヴィとは、私のことなのでしょうか……?」
彼女の口から続けて放たれた言葉に頭のなかが真っ白になった。




