表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生~絶世の魔術師~  作者: キュウビ(仮)
51/73

~本心2~

「私はここで貴方様から殺してもらうことをお願いしたいんです。」


シルヴィ発せられたその言葉にハヤトはすぐには返事を返せなかった。


「さすがに冗談でいってるんだよな……??」


信じられない思いと共に絞り出せた言葉はそんな言葉だけで……


「こんな冗談言うわけないじゃないですか……それは貴方様も理解してるのではないですか……?」


全くもってその通りで、シルヴィの口調、声色、表情からもそれが本心であり、決して冗談ではないことはわかっていた。


「あぁ……」


だからこそ、信じたくはなかった……


そんな思いが頭のなかを、そして心までも乱していく……


「…貴方様の足枷にだけはなりたくありません……だから…………だからどうかこの場で私をこ……」


「それ以上その言葉を口にするな……っ!!」


『殺してください。』と言おうとしたその時、ハヤトが遮る。


(何でこんなことにはなったんだ……と言いたいところだが、恐らく俺のに落ち度があったんだろうな。


第一俺のことを優先して考えてくれてるシルヴィを責めることなんで出来るわけない……


……俺のために殺してください、か……)


「言うのはやめません……貴方様が私を殺してくれるまで…………絶対にやめません。」


何がそこまでシルヴィに言わせるのか、それは彼女にしかわからない。

しかし、どんな理由であれ死ぬことは誰もが怖いことであるはず。

それなのにここまで言ってくると言うことは、それほどの覚悟があってのものなのはハヤトでもさすがにわかっていた。


わかってはいてもなお、本心でそう思っていることを信じたくなく、そんな覚悟をさせてしまっている自分に嫌気がする。


(はぁ…こっちの世界に来てもまた同じことを繰り返すのか、俺は……いや、違うな…あのとき誓ったはずだ…思い出せ、何を誓ったのか……。


そうだ、俺はあのとき二度と同じ過ちを繰り返さないために心であいつに誓ったんだ……次こそは俺が守りたいと思った奴は絶対に守り通すと……それがどんなに辛い棘の道だろうと関係ない。


にしても情けないな……元々この世界を救ってほしいからって来たはずなんだけどな……女一人まともに守り抜けないような奴が世界なんて救えるわけないのに、イヴニアはいったい何を考えて俺を選んだんだか…………んま、今そんなこと考えたってわからないから仕方ないか。


とりあえず今はシルヴィを救いだしてあげることが最優先だ。)


思考をもとに戻すと、先程まで近づくことを拒まれたことによる躊躇いもなくなっていてゆっくりではあるが着実に距離を詰める。


「ち、近づいて来ないでください!!」


シルヴィは必死に近づいてくることを拒否する。

そうしないと、いま、目の前にいる大切な人を傷つけてしまうような気がしたから……


自分なんかが一緒にいることで、迷惑をかけて、嫌な思いをさせて…そんな未来想像するだけでも、死にたくなるほど嫌だった。


(私が存在するとこで、貴方様に……他の無実な方々に被害を与えてしまうようなことはしたくありません……どのみち何時か亡くしたしまう命です…最後が貴方様との大切だと思えた時間を過ごせてよかったです……)


そんな風に考えている彼女の心は、これから訪れる未来への恐れ、大切な人を傷つけてしまう恐怖、悲しみ……様々な負の感情が入り乱れている。


"こんな感情消えてしまえ"と思った。


だから、そんな心を捨てたときもあった。けど無理だった。

普通なら必要ないそんな心の感情も、大切な人と過ごした大切な時間ではあったから。

捨てると言う選択は彼女には無理な考えだった。


こんな思いがあったからこそ、大切な人に殺してもらうという考えに行き着いたのだが……。


最初彼がまた歩み寄ってきたときは私を殺すことを覚悟して近付いてきたのだと思ったが違った。


彼の目は誰かを守ろうと、救おうとする目立った。


不覚にもそんな目を見て、『あぁ……まだこんな私なんかでも本当に救おうと、守ろうとしてくれる方がいるんですね……』と嬉しい思いになってしまった。


そんな嬉しい感情も、すぐに負の感情によってかきけされる。


シルヴィは、彼が殺しに来てないことがわかると無詠唱で回りに認識阻害結界を張り、片腕だけの竜化を解く。


流石と言うべきだろう、ハヤトは瞬時にシルヴィが自分と彼女を囲むようにして何か壁のような、回りから自分達の存在が分からなくなるような結界が張られたことに気づいた。


その時に咄嗟に回りを見渡してしまったのがいけなかった……


結界にいっていた目を再度シルヴィがいる場所に戻すとそこには……



片腕だけ竜化を解いたシルヴィがいた。



それだけならまだ気にする必要なんてさほどなかっただろう。

彼女が何をするにしても、ハヤトの速度をもってすれば簡単に止めに入れる距離だったから。


でも、ハヤトは彼女が竜化を解いた瞬間を見ていなかった。


いきなり張られた結界に体が反応してそっちに目を奪われていたから。


そんな自分の咄嗟にとってしまった行動に酷く後悔する。



……目の前には竜化を解いた腕を自分の胸に突き立てる彼女の姿があったから。


(いざ死ぬとなると怖くて仕方なかったです……でも、貴方様のことを考えると自然と恐怖なんてなくなりました……この方法の方が早いですし、貴方様のことも傷つけずに済みますよね……??


未来の……これからの貴方様の側にはもう私姿がないということを考えると悲しくなりますけど……きっと、貴方様が独りになるなんてことは一生ないですよね……こんな私なんかでも本当に守ろうとしてくれてたのですから……。


ふふふ……もうあまり時間もないようですし、最後の別れですね。)


急所である心臓に竜化を解いた腕を突き立てたことで急速に奪われていくタイムリミットのなか、こんなことを考える。


そして、最後に……と朦朧としていく意識のなか、あまり声にならない声ではあるが、それでもはっきりと伝える。


「あ………貴方…様の……こと…が……大好き……です……」


涙を流しながら、笑顔でそれだけを伝え終えると彼女はその場に人形のように力なく崩れ落ちた。


「シル……ヴィ…………」


ハヤトは目の前で起きた出来事にただ彼女の名前を呼んだ。


が、彼女から返事が返ってくることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ