~エルドマール街へ~
あわわ、投稿かなり遅れてしまい、待っていてくれた方は申し訳ありませんm(__)m
一度全部消えてしまうと言う事故が…………
次の話は、あまり遅くならないように投稿する予定ですので(>_<)。
なるべくこれからは5日~10日ほどで投稿していきたいと思いますので……もちろん、早く投稿することもありますので御了承くださいm(__)m
「それで、シアはもう準備はできてるのか?」
ハヤトは、隣に居て手を握っているエリシアに問い掛ける。
「はい!準備万端です!いつでも行けますよ!」
エリシアはと言うととても嬉しそうに元気良く返事を返してきて。
「ん~、お別れとかも言ってこなくて良いのか?
次何時帰ってくるか分かんない訳だし。」
「大丈夫ですよ。ここに来る前に済ませておきましたから♪
あ、あと、村長が私のことをよろしくお願いしますって言ってましたよ。」
「あ、そっか、村長公認だったな。なら問題ないか。
それで、冒険者ギルドがあるエルドマールって街はここからどの位かかる所なんだ?」
「そうですね、歩きだと数日ほどでしょうか?」
「うへぇ、そんなかかるのかぁ。」
数日と言う言葉に心底嫌そうな顔をする。
「仕方無いですよ、ここからだとそれでも近い方なんですから。
まだ、馬車とかがあれば楽なんですけどね。」
と、少し困ったような顔をする。
「いや、まてよ…そうか…その手があったな……」
一人でぼそぼそと呟き始めて。
「ハヤトさん、どうしたんですか?」
そんなハヤトの行動にエリシアは首をかしげる。
「あ、えっとな、今から試したいことがあるんだけど、出来れば誰にも言って欲しくないんだ。」
「もちろん、誰にも言ったりはしませんけど、どうしてですか?」
「それは、面倒事は避けたいからな。
まぁ、冒険者としてやっていく予定だから、ばれるのも時間の問題かもしれないけどな。」
「確かに、面倒事は嫌ですね。
私はちゃんと秘密にしときますから♪」
エリシアに笑顔で、「二人だけの秘密です♪」何て言われて、可愛いと、抱き締めたいと思うのはしかたのないことである。
「ああ、二人だけのな。」
ハヤトはそんな気持ちを抑えながらも、言葉を返し。
「それで、今から何をするんですか?」
「ん?あぁ、錬金術で何か早い乗り物を産み出せないかなっと思ったんだけど、この世界で早い乗り物ってなんだ?」
「えっと、私が知る限りでは、ドゥービーと言う鳥型で中型の魔物ですね。」
「そんなのがいるんだな……《錬金・魔【ドゥービー】》」
そう唱えると、地面から全長2、3メートル程あるダチョウのような中型の魔物が生成される。
「え……えっ!?な、なんですかこれ!?」
エリシアはと言うと、絶賛混乱中で。
「あ、言ってなかったな。これは錬金術だな。
何かを対価に生み出す術だな。」
「それは知ってます!そうじゃなくて、何でそんなすごいものが使えるんですかっ!?」
「使えるから?」
「使えるからって………錬金術は伝説で語られるようなすごい術なんですよ……」
少しハヤトを見つめて。
「なんだ、呆れたのか?」
「呆れるわけ無いじゃないですか。
むしろ、私の…だ、旦那様はこんなに強いんですよ!って自慢できます!!//」
ものすごく嬉しげに、照れた感じで言ってくる。
「ん?自慢するのはばらすようなものじゃないのか?」
「あ…そうですね……自慢できません……」
心底残念そうな、悔しそうな表情で。
「それに、さっき二人だけの秘密ってシアがいっただろ?
もし自慢したらそうじゃなくなるだろ?」
「あぅ、確かにそうですね……約束はちゃんと守ります!
二人だけの秘密です♪」
先程とは違って、とても幸せそうに微笑んで。
そんな時……
「グルガアァァ!!」
大木の向こう側から、体長5メートルはあるであろう熊のような魔物がこちら側に迫ってきていて。
「なっ!?く、熊型の魔物ですか!?」
「熊型か、あれは強いやつなのか?」
「はい。特徴としては攻撃力が高く、機動力もかなりあります。
ランクは多分4はあると思いますから、Bランク冒険者じゃないと一人で討伐は厳しいですね。」
「ほぉ。ちなみにシアは戦闘経験はあるのか?」
「えっと、守人になる役目があったので、戦闘とかはさせてもらえませんでした。」
「そうか、なら始めての戦闘だな。」
「え?まさかですが……」
エリシアは、まさかと思い少し強張った顔をして
「そのまさかだな。シアにはちょっと戦ってもらいたいんだ。」
「む、無理ですよっ!?一度も戦ったことないんですよ!
ランク1か2ならわかりますけど、あの魔物は推定ですが4ほどはランクがあるんですよ!?」
「大丈夫。俺がついてるから、いざと言うときは助けに入るから。
それに、守人やってたんだから、身を守るくらいはできるだろ?」
ハヤトは、ランク6のオーガに数発殴られても壊れなかった障壁を思い出す。
「は、ハヤトさんが助けてくれるなら…………ぜ、絶対に危なかったら助けてくださいね!?」
念を押すようにハヤトに言う。
「あぁ、任せとけ。絶対に守ってやるし、傷一つ付けさせねぇから。」
エリシアを勇気づけるように言葉をかけ、微笑みかける。
「じゃ、じゃぁ、頑張りますね?」
ハヤトの強さを実際に見たわけではないが、ランク6のオーガを一人で倒したことに変わりはなく。
そんな人がランク4ほどの魔物に負けるはずもないと。
そう心なかで思っており、それに一部ではあるがハヤトの術を見ている。
エリシアは、これ以上無いくらい安心感を得ていた。
「グガァ!!!」
目の前まで迫ってきていた熊型の魔物は、エリシアに向かって既に鋭い爪が生えた腕を降り下ろしてきており。
「っ!……【風の矢】」
すぐさ背中にしょっていた弓を構えて、弓に風の魔力をのせた鋭い一撃を魔物の腕目掛けて放つ。
「グモオォ……」
エリシアの放った矢は綺麗に魔物の降り下ろされかけていた腕にヒットし、貫くことは出来なかったが、はね除けることには成功する。
「う、流石に硬いですね。」
風の魔力をのせた矢でも貫くことができなかったことに、少しだけ落ち込んだ様子で。
「グガァ!!!」
魔物ははね除けられはしたものの、すぐにもう反対の腕で、エリシアを潰そうと、刻もうとする。
「えっ……っ!?」
自分の放った矢が魔物の腕をはね除けたことにより、少し目を離しても大丈夫だろうと心のどこかで思ってしまい、相手に隙を与えてしまうこととなり、それにより反応が遅れてしまう。
「グルガアァァ!!」
「あ、ぅっ……」
もう目の前まで迫っていた魔物の腕に、何をしても間に合わないと、思わず目を瞑ってしまう。
…だが、何時までたっても衝撃が襲ってくることはなく。
その代わりに誰かの声が聞こえてくる。
「ほら、何時まで目を瞑ってんだよ。
さっきいたっだろ?絶対に守ってやる。傷一つ付けさせねぇからって。」
エリシアは、目を開けると目の前にはこちらに顔を向けて、何事もないかのように魔物の腕を片腕だけで抑えているハヤトがいて。
「は、ハヤトさん……」
「それと、ごめんな。
流石に、一人で戦えってのは無理があったな。怖かっただろ…?」
「そりゃ、怖かったですよ……ハヤトさんが助けてくれるってわかってても、死を覚悟してしまうくらいでした……」
戦闘経験がないエリシアにとっては、熊型の魔物は死神のように見えただろう……そして、それと戦わせたハヤトのことも……
そう思うとハヤトはエリシアに大丈夫だろうと思いさせようとしたことの恐ろしさ、死という恐怖をエリシアに覚悟させてしまったこと。
ただ、自分がエリシアの強さを知りたいがために無謀な戦いを強いてしまった。
きっと、今ここにハヤトが居なければ、エリシアは死んでいた……その事実に気付いたとき、自分がとても愚か過ぎたと思った。
「ほんと、ごめん。エリシアの気持ちを少しも考えてやれなくて。」
「い、いえ、私が油断したのが悪かったんです。ハヤトさんはなにも悪くないですよ!」
「だとしてもだ、戦わせたのは俺だ。エリシアはなにも悪くない。」
「で、ですが……」
申し訳ないと心から思っているからか、今にも泣きそうな顔をして。
「俺が悪い。それで終わりだ。
それでもシアが申し訳ないと思うなら、その分強くならないとな。」
空いている方の手でエリシアの頭を撫でる。
「あぅ///」
撫でられると、顔を紅くしてうつむき静かになる。
「てことで、こいつは俺が止めるから、シアは止めを頼む。」
「え、でも私なんかの攻撃じゃ……」
先程貫くことすらできなかった自分の攻撃を思いだす。
「大丈夫だ。次は俺がちゃんとついてる。
それに、同じことをさせる訳じゃないしな。」
「どういうことですか?」
「こう言うことだ。【攻撃増加LV1】」
「え?な、何をしたんですか??」
エリシアはハヤトが何をしたのか分からず。
「シアの攻撃力を、STRをあげたんだよ。」
「う、嘘!?そんなこともできるんですかっ!?」
「あぁ、自分のステータスを確認してみたらどうだ?」
「あ、はい!ステータス。」
名前・エリシア
種族・ハイエルフ
ーレベル35ー
HP・1020/1020
MP・3530/3680
STR・790+3000(+250)
VIT・640+500
INT・1060
MND・960
AGI・550
LUK・280
【固有】
目測・魔術&魔法補正・精霊廻廊・精霊魔法・MP自動回復LV10
【戦術】
弓術LV10・短剣術LV3・風魔術LV7・回避術6・索敵LV3
【恩恵】
森の妖精の加護・精霊の加護
「え、えっと……こ、これっ…上がりすぎじゃないですかっ!?STR+3000ってなんなんですか!!?」
自分のステータスを見た第一声はそれで。
「へぇ、LV1でそんなに上がるのか……」
「れ、LV1ってことはまだ上があるんですか……?」
「ん?確かLV10まではあったと思うけど。」
「……なんか、ハヤトさんって何でもできますよね……これじゃ、私何のお役に立てないお荷物ですね……」
自分の役立たずさに、かなり落ち込んで。
「なんだ?そんなこと気にしてたのか?」
「気にしますよ!!誰だって、す、好きな人のためにお役に立ちたいって思うんですよ……」
「そんなものなのか。悪いな、俺恋とかしたの初めてだからあまりわからないんだ。
それでも、全部って訳でもないけど少しならその気持ちはわかる気がする。」
「ふぇ…?」
うつむいていた顔を上げ、ハヤトを見つめる。
「俺だって、シアのことを一生守りたいって、最低限それぐらいはしてあげたいって思ってる。
それぐらいシアのことが大好きだし、大切だと思ってるんだ。
それは、シアが思ってることと似てるんじゃないか?」
「……似てるんじゃなくて、同じなんです……私だってハヤトさんのこと大好きですし、とっても大切な人なんです。」
「あぁ。それとなシアは役立たずなんかじゃないさ。
傍に居てくれるだけで、元気がもらえるし、生きる希望になる。
一人だけでは無理でも、二人なら力を合わせてなら出来ることだって沢山あるはずだろ?」
「そうですね……私は役立たずなんかじゃないんでしょうか…?」
「役立たずなんかじゃない。」
「ずっと、ハヤトさんの傍にいてもいいんでしょうか?」
「シアの好きなだけいていればいい。
好きな人の頼みなら断るわけないしな。てか、嫌だって言っても放さないけどな?」
少し悪戯っ子のような、笑みを浮かべる。
「ハヤトさん……ふふふ♪顔赤いですよ?」
エリシアからはハヤトの顔は影になってあまり良く見えなかったが、良く見ると少しだが頬が赤くなっていて。
「あ、赤くないから!//」
(流石に恥ずかしいな……話題をそらすか……)
ハヤトはエリシアの方を向くことをやめ、ずっと片腕で抑えていた熊型の魔物の方を向き。
「と、とりあえずこいつを片付けるぞ!」
「はい♪分かりました♪」
そんなハヤトの反応を見てとても楽しそうに、嬉しそうにしている。
「俺が隙を作るから、シアは止めを頼む。」
「了解です♪」
「よし、やるか。っても、隙を作るだけでいいからなぁ……」
どうしようかと悩んでいると、また前と同じように頭のなかに文字が浮かび上がる。
「【雷ノ豪竜】」
そう紡ぐと、ハヤトの回りに静電気が帯電し始め、ある一定量が溜まると、それは竜の形を成し、次見たときには熊型の魔物から両腕が消え去っていた。
あたかも其処には何も存在していなかったかのように。
「…い、今の何ですか!?」
「ん?あぁ、今のは無属性魔術だな。
この世界に雷属性なんて存在しないだろ?」
「は、はい、雷属性なんて存在していません。ですが、かなり前にはそのような魔術を使う人がいたとは聞いたことはありますけど……」
自分の全属性魔術の中に雷がなかったので、ほぼ確定だろうとは思っていたが念のために確認をする。
「ほら、隙は作ったから、止めは頼んだぞ?」
「分かりました。
……あとでちゃんと話してくださいね?」
余程気になるのか、少し間をおいて聞いてくる。
「……分かった。この戦闘が終わったらな?」
(シアになら話しても大丈夫か。)
「絶対ですからね!」
そう言いつつも、その瞳は身体中に電気が行き交いそれにより麻痺を起こし、その場から動けずにいる魔物の姿を捉えている。
「風の魔力を持ってして、敵を射ぬけ【暴風矢竜】」
それは、エリシアの回りの風、空気が無理矢理てはなく極自然と集まっていく、そうなることが当たり前かのように。
あるものには切り裂くような恐ろしい風に見え、またあるものには、自らを包んでくれる優しい風に見えるだろう。
ハヤトは、エリシアに集う風の動きを見てそのような感情を覚えた。
あれが、弓を得意とし、風に愛される種族の、武術と魔術の混合されたもの…【魔弓矢】他の種族には真似できないものである。
「こりゃ、すごいものを見せてもらった気がするな。」
素直なハヤトの感想であった。
「ハヤトさん、終わりましたよ!!
……じゃなくて、【暴風矢竜】は本来あんなに威力ないんですよ!?」
本来なら広範囲の敵を遠くに吹っ飛ばす程度の威力しかないはずなのだが、エリシアの今使ったものは魔物を吹き飛ばすだけではなく、見るも無惨で木端微塵に砕け散っていた。
「それは……まぁ……俺の付与術の効果だろうな…?」
「はぁ……まぁいいですけど……ちゃんと話してくれるんですよね?」
「あぁ、ちゃんと話すさ。
取り敢えずは、エルドマールに着いてからだな。
ここらだと何時見られるか、聞かれるか分かったもんじゃないからな。」
「……??…分かりました。今から向かいましょう。」
何故かは良くわかってないのか、首をかしげる。
「さぁ、ドゥービーに乗っていくぞ。」
「はい!」
「シア、ちなみにだがドゥービーだったら、どんくらいで着くんだ?」
「そうですね……今からだと、今日の夜の方には着くかと思いますよ。」
「まだ日をまたがないだけましか。うしっ……。シアも早く乗れ?」
ハヤトはドゥービーに乗ると、エリシアに後ろに乗ってしがみつくように言う。
「あ、はい!!」
急いで乗ってハヤトにしがみつく。その反動でエリシアの柔らかい胸がハヤトの背中に押し付けられる。
「なっ!?///」
「どうしましたか?早くしないとどんどん暗くなりますよ?」
エリシアは、急に声をあげたハヤトが気になり横から顔を覗いてくるが、その行動は余計にエリシアの胸をハヤトに押し付ける形となる。
「な、何でもない!//い、行くぞ!//」
段々恥ずかしくなってきたハヤトは、ドゥービーに命令を出す。
その早さは、数歩進んだだけで最高時速へと達し、時速300㎞程は出ているだろう。
「きゃっ!?」
急に動き出したことにより、ビックリしてハヤトにぎゅっと抱き付く。
「っ!?!?」
女性経験がほとんどないハヤトにとっては、今の状況は脳内がパンク状態で。
そのまま時間が過ぎて行く…………。
数時間ほど立ち、空が暗くなった頃目の前には大きな城のような門構えが見えてくる。
「ハヤトさん!エルドマールが見えてきましたよ!!」
「あ、あぁ、分かったからあまり動くな?」
後ろで肩から前に乗り出すようにしてくるエリシアに、ハヤトは対処を困っていた。
「あ、す、すみません。着くまでが長かったですし、話で聞いてただけで一度も来たことなかったですから。」
「そのわりには良く道を知ってたな?」
「あ、それは、お父さんが良く私に外の話をしてくれて、その時に地図とかも沢山見せてくれたんです。
その時に覚えちゃいました♪」
「そうなのか?」
それってかなりすごいんじゃないのか……?
普通そんな地図見ただけで実際の道がわかるものじゃないはずだが……普通に道があるところならまだしも、ここに来るまで通ってきた道は一歩間違えれば方向感覚さえ失うような道だったんだぞ。
「はい。子供の頃から記憶することは得意でしたから!
外の世界の楽しいこと、行ったらいけない危ない場所とかも色々知ってますよ!」
「シアは勉強熱心だな。」
一度もエルフの里から外の世界に出たことないエリシアは、そのことの話しになるとどうしてもテンションが上がってしまうようで。
それを見て可愛らしいなと思ったハヤトは優しくエリシアの頭を撫でて。
「は、ハヤトしゃん!?き、急ににゃにするんでしゅかっ!?///」
ふむ、なるほど……シアは攻められるのに弱いのか……等と呑気に考えてしまった。
「すまん、シアが可愛すぎてつい。」
「はうぁ!?///あうぅ~……う、嬉しいですけど、は、恥ずかしいです……///」
(あかん、めっちゃ癒されるわ……)
「シアが恥ずかしくて嫌なら、もうしないしもう言わないけど?」
けれども、エリシアが嫌がることは一切するつもりはなく。
嫌だと言われたらやめるつもりである。その場合はとても残念だが……と考えてしまう。
「嫌じゃ、ないですけど……むしろ、毎日……じゃなくて!き、急にとかじゃなければいいです!!///」
「ん?そうか?なら、出来るだけ急にはしないようにするな?」
自分で抑えられないときもあるだろうし、絶対とはいかないよな……?
「はい、そうしてくれると助かります…//」
「よし、話しもまとまった?ところで、エルドマールに入るぞ。
それで、たしか冒険者カードを持ってない俺たちは、門の前に立ってる番が居るからそいつの持っているボードに名前を記入すればいいんだよな?」
「ええ、お父さんも最初はそうしていたみたいです。」
「んじゃ、取り敢えずは門番に近づかないとな。【有るべき形へ】」
ドゥービーを元の有るべき場所へと還す。
「よし、行くぞ。」
その後はエリシアの手を握り、エルドマールのもんへと向かって歩を進める。
「そこの物達よ止まれ。」
門の前まで近づくとそこにいる門番に制止を促される。
「冒険者カードを提示願いたい。」
「あー、すいません、まだ冒険者カードを持ってないんです。」
「まだ、と言うことはここで作る予定なのか?」
「はい、一様その予定です。」
「ならば、ここに名前を書いてもらえるか?そしたら、一時的だが中にはいることはできる。
冒険者カードは、作り次第見せに来てくれるとこちらとしても助かる。
期間は一週間は待つから、その間に持ってきてくれないとお前たちを取り締まることになるからな。」
名前を書くボードを渡されながら、忘れるなよ?と言葉をかけられる。
「大丈夫ですよ。ここに名前を記入ですね。」
「わ、私の分も忘れずにお願いしますね?」
ハヤトは自分の名前とエリシアの名前を記入する。
「ところで、そちらのお嬢さんはエルフで間違いはないか?」
「……えぇ、そうですが?それがどうかしましたか?」
急にそんなことを聞いてくる門番に少し警戒心を高める。
「いや、別に悪いことを起こそうと考えてるわけではないから安心してくれ。
ただ、お前達も知っているだろ?人間がエルフのことをどう思っているか。」
「はい、知っていますが?」
「だから、よかったらこれを使ってくれ。」
そう言って投げてきたのは、フードがついた少し長めのマントで。
「それなら、ちょうど耳だけが隠れるはずだ。それに、少しだが認識阻害効果もあるから、そう簡単にはエルフだってことはバレにくくなるはずだ。」
「何でそこまでしてくれるんですか?」
「昔、まだ冒険者で稼いだ時に危ないところをエルフに助けてもらったことがあってな。
そのエルフは冒険を共にした仲だったこともあったんでね。
だから、私個人的にはエルフを嫌うって感情、気持ちは一切ないんだ。」
「……その方の名前を聞いてもいいですか?」
「ああ、いいよ。確かケルノアと名乗っていたはずだ。」
「急にどうしたんだ?」
「その、ケルノアって名乗っていた人私のお父さんです。」
「そうなのか?」
「はい、ちなみにその、ケルノアと名乗っていた人は耳がほかのエルフと比べて少し長くありませんでしたか?」
「ん?そう言えば、少し長かった気もするな……。」
「なら、私のお父さんで間違いないです。ケルノアと名乗って、普通のエルフより耳が長いハイエルフなのはお父さんか、私位しか居ませんから。」
「ほぉ、まさかお嬢さんがケルノアの娘だったとはね。
冒険者として一緒に旅とかをしていたときは、毎日のようにお嬢さんのことを自慢してきたからな。
確か……エリシア、と言っていたか……。」
「あ、はい、私の名前です。」
「そうかそうか。
今度ケルノアに会うことがあったら、ガイダが酒を飲みに行こうって言ってたと。」
「大丈夫ですよ。きっとその言葉を聞いたらお父さんも喜ぶと思いますよ!」
「ふっ、確かに、ケルノアなら喜ぶだろうな。
それと、名前が確認できた。直ぐに中に入れるぞ。」
「あ、はい、ありがとうございます。」
「いや、礼は良いさ。これも仕事だからな。兄ちゃんも長く引き留めて悪かったな。」
「いえ、別に気にしてませんよ。」
「優しい兄ちゃんだな。
そんじゃ、ちゃんと冒険者カードを作ったら見せに来るのを忘れるなよ?」
「はい、忘れませんよ。作り次第見せに来ますから。」
「私は大体此処に居るからな。居なかった場合は、少しだけ待っててくれ。すぐ戻ってくるはずだからな。」
「分かりました。それではまた。」
「それでは……」
「あぁ、またな。」
ハヤトとエリシアは門番のガイダに挨拶をして門を潜り、エルドマール街へと入っていく。