~告白2~
「なぁ……」
少し時間を要して、会話を再開する。
「どうされました?」
「その『幻想神』ってのは、どういう神なんだ?」
自分が聞いたことのない名前に困惑するしかなく、それがなんなのか聞くしかなかった。
「『幻想神』は名前からしてそうなんですが、幻を見せたり『幻想の都』と言う、この世界では『幻想の聖域』として全カ国から『幻想神』の信仰者や使徒が集う場所の主として君臨しております。」
「へぇ……」
(なんだ……どこかで聞いたことのある響きだな……一体どこで…………くそっ、思い出せねぇ。。)
「どうしたんですか??何かお困りでしたら力になりますけど……。」
いつの間にかしたからシルヴィが覗き見てきていた。
「うぉっ!」
思わず驚いき、一歩引いてしまう。
「す、すいません、驚かせるつもりはなかったんですけど……イルシオン様のことと都市の名前を聞いたあとに貴方様の様子が少しおかしいようでしたので、心配で……。」
迷惑でしたか……?と不安げに見つめてくるシルヴィに
「いや、迷惑なんかじゃないさ。
けど、何でもないから安心してくれ。」
頭を横に振り、安心させるためにそっと優しく撫でる。
「は、はい…♪」
撫でられたことに目を細めて心地よさそうにハヤトにすり寄る。
「それで、その『幻想の都』って場所はどこら辺にあるんだ?」
もしかしたらそこに行けば何かしら思い出すきっかけになるかもしれないと考え。
「すいません、そこまでは私も知らないんです。
『幻想の都』自体あまり知られている所ではないので……。」
ばつが悪そうに顔をうつむかせて。
「そうか…知らないんなら仕方ないか。
あと、別にそこまで気に病むことでもないから気にすんな。」
「はい……あ、そう言えば今から冒険者ギルドに報告に向かうのですよね?」
府と何かを思い出したかのように。
「あ?うん、そうだが、それがどうしたんだ?
まだ、自分の正体がばれるかもしれないとかの心配か?」
「いえ、そうではなくて……その冒険者ギルドのギルド長って方に聞いてみてはどうでしょうか?
ギルドには毎日何かしらの情報が届く仕組みになっているはずですので、『幻想の都』に関する情報があるかもしれません!」
何かしらハヤトのためになることをしたいと思って思考を巡らせた結果、そんな話を昔話してたことを思い出して。
「本当なのか?」
「あ、その……昔聞いた話ですので……幻想の都自体珍しい場所ですから、絶対とは言えない、ですけど……」
絶対とは言えない自信の無さから、最後の方になるほど声が小さくなっていく。
「そっか。
けど、ありがとうな。」
「……えっ?」
突然お礼を言われたことに戸惑いを隠せず。
「だから、ありがとうっていってるんだよ。」
聞こえなかったのか?ともう一度お礼を言って。
「そ、そうではなくてですね……なんで、『ありがとう』だなんて言われたのでしょう……?」
「だってシルヴィは俺のためにわざわざ考えてくれたんだろ?
なら、例えそれが確証の無かったことだとしてもお礼はちゃんと言うべきじゃないか?」
「で、ですが……本当にそうなのかが分からないですし、なんの情報も得られないかもしれないんですよ……」
「ほら、そんなことでいちいち悩むな、気にするな。」
ぽんっと頭に手を添えて。
「あうっ……」
また、そっと優しく、落ち着かせるように撫でる。
「ほれ、さっさと確認しにいくぞ。
あくまで、報告するついでだけどな。」
これ以上シルヴィが考え込みすぎなようにさせるために、そんな風に言うことで、時間等が無駄になることがないよう思ってくれるようにする。
(まぁ、萌衣さんなら何でも知っている気がするんだけどな……。)
「そ、そうですね。」
そう言われて多少なりに気が楽になったのだろう。
「まずは、『無音隔離空間』を解除しないとだよな。」
そう言って、隔離していた空間を元の空間と繋げなおして元通りにする。
回りに少し騒がしい時間が呼び戻り、
「さ、ギルドの近くまで来てたから、すぐにでも着きそうだな。」
だが、そこまでの通る道は街の中でも広い道なだけあり、人混みがすごく手を繋いでいないとはぐれてしまいそうな混み具合だった。
「手、繋いでもいいでしょうか……??」
隣で同じことを考えていたシルヴィが、そっと手を差し出してお願いする。
「あぁ、俺もそうしようと思ってたところだ。」
差し出された手をとって、優しく握り返す。
「ふふ……♪////」
僅かに頬を赤らめつつもにやけている姿に、嬉しそうにしてるのが直に伝わってきて、思わずハヤトも口角が上がる。
そのあとは、手を繋いでいたこともあってはぐれるようなことも一切なく無事にギルドに到着する。
「さて……行くか。」
「は、はい…!」
「…あんまり緊張することもないからな?」
シルヴィが歩くときに手と脚が左右それぞれ同時に出ているのを見て、速攻で緊張しているのがわかった。
「わ、分かってますけど、私のことでの報告ですし……。」
「それはわからなくもないが……それも杞憂に終わるか。」
「あ、貴方様はどうしてそこまで平然でいられるんですか??」
自分だけが無駄に緊張してるのが恥ずかしいのに、隣では普通にしているハヤトに何故なのか聞いてみて。
「そっか、まだシルヴィに言ってなかったな。」
重要なことをいい忘れていたことを思い出して、シルヴィの方を向く。
「此処のギルド長も俺と同じで異世界人なんだよな。」
「……へっ?」
そんな予想外の答えに思考が追い付くはずもなく、変な声が出てしまうだけだった。




