~シルヴィの想い~
「はぁ……恥ずかしかったです……///」
支払いと着替えを済ませたシルヴィとハヤトは服屋を出て、今回のクエストの報告をするために冒険者ギルドへと向かっている。
「別にそこまで恥ずかしがらなくても良くないか?
みんなシルヴィのことを可愛いとか言ってくれただけだろ?」
『むしろ嬉しいことじゃないのか??』と首をかしげる。
「そ、それは嬉しいことは嬉しいんですけど……や、やっぱり恥ずかしいんですよ////」
「どっちなんだよ……」
どちら、ともとれないシルヴィの感情に少しあきれた感じで返す。
「だ、だって、あんなにたくさんの人たちに言われることなんて一度もなかったんですから仕方ないじゃないですかっ!!///」
手を精一杯の言い分けをしてくるシルヴィの慌てぶりに思わず笑みがこぼれてしまう。
「ふははっ……」
「な、何で笑うんですかっ!?」
「わ、わるい……くくっ……シルヴィの反応が面白くてな。」
まだ笑いをこらえていて。
「うぅ~!!も、もう知りません!!」
機嫌をそこねてしまったみたいで、プイッとそっぽを向いてしまう。
「もしかして怒ったのか?」
「怒ってませんよ!」
怒鳴るような調子で言葉を投げつける。
「いや、どう考えても怒ってるようにしか見えないんだが……」
どうしてこんなに怒っているのかすら分かっていない。
そんなハヤトに、今の状態のシルヴィ(女性)のなだめる方法など知っているはずもなく。
ただただ、二人の間に気まずい時間が流れ続ける。
どれくらい経っただろうか……この空気に居たたまれなくなったハヤトが切り出す。
「悪かったから機嫌直せよ……」
「…………。」
それでもそっぽを向き、無視を続けていて。
(どうしたら機嫌良くなるんだよ……
と言うか、これ別に俺だけが悪い訳じゃないよな?
そりゃ、からかったのは悪いと思ってるんだが……事の元凶はシルヴィだよな??)
考えれば考えるほど腑に落ちなくなってくるのだが、すぐに考えることをやめる。
(ん~、、けどからかってシルヴィを嫌な気持ちにさせてしまったのは俺が悪いことだから、あーだこーだ言う資格なんてないな。)
さて、どうしたもんかな……とこの状況を打破するための策を考えているとシルヴィが口を開いて。
「……こ、今度私のために時間を開けていただけるなら、許してあげなくもないですけど……//」
顔は背けたままだが、恐らく緊張しているんだろうな……と感じられるような雰囲気が醸し出されている。
「それくらいのことなら、いくらでも構わないぞ。」
(案外すぐに許してもらえそうだな……まぁ、言われたくらいのことで許されるならお安いご用だな。)
「ほんとですか!!約束ですからね?
後でめんどくさくなって、忘れたとか言うのは無しですよ!?」
先程までのハヤトを無視する態度からうって代わり、今はものすごい近くまで寄ってきている。
そして、『絶対ですよ!』や『嘘話ですからね!!』と何度も繰り返し言ってきて。
「分かってるって。約束したことは絶対に守るから安心しろ。」
そっと安心させるように頭を撫でる。
「んん////」
撫でられたことに、照れを隠せず顔をうつむかせて耳を赤くする。
「さ、仲直りもしたことだし、ギルドに向かうぞ。」
「そ、そうですね……あ、でもどのように報告するんですか?
今回のクエストの内容を聞く限りでは報告したりしたら私つれてかれたりしないですか??」
よくよく考えると、クエストの討伐対象であるシルヴィが行くのは自主しに行くようなもので。
「いや、その心配はないものとして考えていいと思う。
確信が持ててる訳じゃないが、ほぼ確実と言っていいだろ。」
「何故そのように言えるのですか?あ、答えられないようなことでしたら大丈夫ですよ!」
そう言う割には、知りたいと顔にかいてあるように見えた。
「…………シルヴィならいいか。」
話すかどうか考えたあげくに、話すことを決意して。
「ただし、今から話すことは他言無用だからな。
……一様、回りにも聞こえないようにしておくか。『無音隔離空間』」
「な、何をしたんですか!?」
明らかに先程までの空気とは違う空気に異変を感じたシルヴィがハヤトに問う。
「ん?今俺たちがいる空間と外の空間を隔離したんだよ。」
さもそれが普通であるかのように言うハヤトに、シルヴィは寒気を覚える。
(隔離……??
仮に暴走してた私を倒す力があったとしても、、、
その程度の力の持ち主なら、私はいくらか見てきたつもりですけど……空間を隔離するなんて芸当をこんな当たり前に、さもそれが普通であるかのように成し遂げてしまう人間なんて見たことも聞いたこともないですよ……)
「つうことで、これで外に俺たちの声が漏れることはないだろ。
まぁ、この『無音隔離空間』を越える現象が起きたりしたらわからないけどな。」
「あはは……面白い冗談を言われますね……こんな凄すぎる現象を打ち破れる人なんている訳じゃないですか…」
「そうなのか??」
自分がどれだけ凄いことをしているか理解していないハヤトは不思議そうにクエスチョンマークを頭に浮かべる。
「そうですよ……」
(こんなに魔力を込められた現象を打ち破れる人なんて本当に存在しないんじゃないでしょうか……?
世界は広いですから、絶対などとは言えませんけど……。
でも、常識的に考えて魔術に素質がある者達が百万集まってもびくともしないですね……。)
そのすごさが分からなければ良かったなと思うが、分かってしまうが為に底知れぬハヤトの魔力にうすら寒さを覚えた。
「まぁ、打ち破れることがないなら尚更安心だな。
てことで、俺の正体についてなんだが……簡潔的に言うと異世界人なんだよな。」
そんな衝撃的な告白にシルヴィを目を丸くさせて驚くことしかできなかった。




