~聖竜4~
「さて、戻ってきたはいいが……どうするかな……。」
「何かしなければいけないことはないんですかる?」
エルドマール街に入った二人はこれからどうするかを話し合っていた。
「しないといけないことか……」
(することといっても、シアたちに謝りに行くか、萌衣さんに今回のクエストの報告をしに行かないといけないよな。
あとは、シルヴィの分の衣服と生活用品とかを揃えてやらないとな。)
「貴方様??考え込まれてどうされたんですか?」
どうやらいつの間にか顎に手を当てて、考え込んでしまっていたらしい。
「あ、あぁ。ちょっとな。」
「何をするかのか決まったんですか?」
「ん~、シルヴィの必要なものでも揃えようかと思ってるんだが。」
「えっ!い、いいですよそんな!この服を貴方様から頂けただけで十分ですから!!」
「いや、そう言うわけにはいかないんだが。
……さりげなく気づかれないように回りをみてみろ。」
耳元で回りに聞かれることがないように囁く。
「え?回りですか……??
な、何かものすごく見られている気がするのですけど……」
気づかれないようにとハヤトから言われているのにシルヴィは、明らかに分かりやすく回りをキョロキョロしてみれば自分達がなぜか見られていることに気づいて。
「気づかれないようにって言っただろうが……まぁ、それは今はどうでもいいとしよう。
俺らが何で回りから注目されているかだが……恐らく原因はシルヴィだと思うな。」
「え!?わ、私が原因なんですか……?
何か悪いことでもしたのでしょうか……はっ!まさか私が暴走しているときに!?」
あわあわと焦り始めたシルヴィに左手でチョップをかます。
「落ち着け。
もし、仮にシルヴィが暴走してこの街に迷惑や損害を与えていたとしても、その時の姿と今の姿じゃ全く違うから気づかれることはないはずだ。」
「そ、そうですよね……でも、そうだとしてなんで私たちは見られてるんでしょうか?」
「それに関してはもう大体の検討はついてるんだよなぁ……」
「そうなんですか?
あの、よろしければ教えてもらってもよろしいでしょうか?」
「それはいいんだが……大きな声だけは出すなよ?」
「大きな声なんてこんなに回りに人がいる場所で出すわけないですよ。」
「ならいいんだが……で、見られている理由についてなんだが、正直俺も今ちゃんと確認するまではここまで凄……危ないとは思ってなかった……すまん。」
「えっと、なぜ貴方様が謝られるのでしょうか?」
申し訳なさそうに頭を軽く下げられたことに、シルヴィは少しながら戸惑う。
「いやまぁ、俺にも落ち度がない訳じゃからな……悪いがもう一度今の自分の格好を確認してみてくれるか??」
「私の格好ですか??ちゃんと服は着てますけど…?」
(服はいたって普通ですよね……??他に何か不味いことでもあるのでしょうか……??)
「その着てる服が問題なんだ。」
それはその服を製作した本人も失念していた部分であった。
シルヴィの服を作った布は耐久性や、吸収性が良い物であり、生地自体は薄いが透けたりなどの心配はなかった。
だが、その中で生地が薄いと言う部分を考慮するのを忘れて作った服だったので体のラインが綺麗に出ていたのだ。
それだけなら別に良いのだが、シルヴィの場合は胸が大きくより強調されていて、若干であるが突起物が存在を主張するが如く薄い生地を押し上げていた。
回りの人々(主に男性陣である。)から注目されていた理由であろう。
そらでも当の本人は気にしてないのか、それとも全く気づいていないのか、頭にクエスチョンマークを浮かばせているだけだった。
「服が問題ですか……?あ、もしかしてやっぱり似合わなさすぎたとかでしょうか……??」
「そう言う訳じゃ……」
「もぉ、はっきり言ってもらわないと分からないじゃないですか。」
泣きそうな顔をしていたと思えば、次には問い詰めるような感じでハヤトに詰め寄ってくる。
「はぁ……。」
(言わないとなんにも始まんないし、終わりもないな。)
「その、な……胸のところを良く見てみろ……。」
一切目を合わせることもなく話す。
「胸のところですか?…………ひあぁぁあぁっ!!?」
ゆっくりと目線を自分の胸辺りにやる。
そこでやっと気づくことになる。
「お、おい、大きな声は出すなって言っただろうが。」
出さないといっていたはずなのに、案の定大きな声で顔を真っ赤にして自分を抱き締めるようにしてしゃがみこむ。
「と、とりあえずこれでも羽織っとけ。」
まだましになるだろう。と自分が着ていたシャツをシルヴィの肩にかけてあげて。
「す、すみません……は、恥ずかしさのあまり大きな声を……////」
涙目で見上げてきて謝るその姿は、とてつもない破壊力を兼ね備えていた。
「良いから気にすんな。
大きな声あげるなって言った方が無理があったな。」
「は、はいぃ////」
「……ひとまずはまともな服を買いに行かないとだな。」
「そ、そうですね///」
ハヤトから貸してもらっているシャツは、男子用なだけあって華奢なシルヴィには大きく余裕でボタンを閉めることができた。
その後、恥ずかしさも引いてきて落ち着いてきた頃シルヴィは再びハヤトと手を自然に繋ぐと服屋を目指して向かうことにする。




