~聖竜3~
「貴方様??頭なんか抱えられてどうされたんでしょうか?」
『擬態』によって人の姿に変身する前まではきちんと目を会わせてくれていたハヤトが、今は目を会わせるどころか下を向いて頭を抱えている。
今現在進行形でシルヴィは、久しぶりに行った『擬態』によって自分が全裸状態であることを忘れていた。
「……今の自分の状況をよく確認してからいえ。」
「え?私の状況ですか…………ひあぁぁあぁっ!!?/////
み、みないでくださいぃ~!!////」
その指摘によって、ようやく自分が全裸姿であることに気づくこととなる。
シルヴィは恥ずかしさのあまり布などで隠すのではなく、両手で胸を抱き抱えるようにして隠し、その状態でしゃがみ縮こまってしまう。
それで全体を隠したつもりだったのだろう…だが、シルヴィが両手で隠してるのは胸だけで、それに加えてしゃがんでいるだけ状態である。
つまり、今ハヤトからは一切隠されていないシルヴィの一番大切な所が綺麗に見えていた。
「隠すならちゃんと隠せよ……」
ずっと見続けるなど不謹慎な真似はせずに、見ることがないように目を逸らす。
「あ、貴方様……な、なにか着るもの持ってませんでしょうか……??////」
一番大切な部分を隠せていないことに気づくことのないシルヴィは、ハヤトに何でも良いから着るものはあるかどうかを訪ねる。
「着るものか……そういや……」
ふと、腰に付けている魔法のポーチの中を漁って。
(たしか、置いてきてなけりゃ布が入ってたはずなんだが……お、あったあった。)
ポーチの中からお目当てのものであるロール状に巻かれた50cm×3m程の白い薄地の布を取り出して。
(イメージは……初めてシアと出会ったときに、シアが身に付けていたワンピース?か分からんがそこら辺を題材にして作り上げるか……。)
「貴方様??布なんて取り出してどうなさるのですか??」
「集中するから、静かにして待ってろ。」
「は、はい!」
「んじゃ、はじめますか……錬金術・『模』……」
そう唱えるだけで、ハヤトの付近に小さな地場のようなものが発生する。
その中で持っている布が徐々に形を変えていき、最終的には丈の長いワンピースにリボンやフリルがあしらわれた服が完成する。
「わぁ!!私錬金術何てはじめてみましたよ!!」
それを最初から最後までじっと静かにみていたシルヴィは子供のようにはしゃいでいる。
……ドラゴンの年齢からすればまだまだ子供なのだが……。
「大して凄いもの……いや、十分凄いものか……。
とりあえず、これでも着とけ。」
錬金術によって製作したワンピースをなるべくシルヴィの方をみないように渡す。
「あ、ありがとうございます!」
それを受けとると、後ろを向いて着用する。
その間もハヤトは、みないように勤めるのと変なことを考えてしまわないようにこれからどうするかを考えていた。
「え、えっと……貴方様、ど…どうでしょうか……??」
「どう……って……」
シルヴィに声をかけられて振り返ったハヤトは、一瞬言葉を詰まらせる。
「す、すみません!!や、やっぱり似合わないですよね……」
こちらを見て言葉を詰まらせたことに対して、似合わないあまり言葉が出ないのだろうと感じたシルヴィは、申し訳無さに謝ってワンピースを脱ごうとして、手をかけるが、ハヤトに止められる。
「ばかか、その逆だ……シルヴィが綺麗すぎて、、かける言葉が見当たらなかったんだよ……」
「へっ?…………お世辞とかそんなのではなくて…ほ、ほんとうにそう思ってくださってるのですか??///」
「お世辞なわけないだろうが……実際にみて、本当にそう思ったからいってるんだよ。」
ハヤトは決してシルヴィと目を合わせることなく話す。
それは、見たくないの感情からではなく、どちらかと言えば今の自分の顔を見られたくないからである。
(絶対今顔をみられたら笑われる気がする……。)
目を逸らすように見せて、顔を見られないようにしていたハヤトだが、結局のところ顔全体を隠せるわけもなく。
シルヴィからしっかりと顔がうっすらと照れと恥ずかしさから赤く染まっているのが見えていた。
(ほ、本当に思ってくれてるなら大変嬉しいですね……///
嘘だったらあんな顔を赤くすることなんてないですよね……。)
しかし…同じ竜族の方達からも綺麗と何度か言われたことはありますけど……なんと言いますか、また違う感じがするのはどうしてでしょう……///)
シルヴィはシルヴィで、今までと違う感覚に戸惑っている部分があった。
その気持ちに気づいたときに、物語はまた違う物語へと変わるのだが、それがわかるのはまだこれから先のはなしである。
それから、無言の時間が数分流れ……。
「とりあえずなかに入るか。」
やっとハヤトが言葉を切り出す頃には、顔の赤みも引いていていつも通りの状態に戻っていた。
「そ、そうですね……//」
だがシルヴィは、未だに顔がうっすらと染まっておりどう接したら良いのかのわからないで、もじもじしている。
「……ほれ、手でも握ってろ。」
その状態のシルヴィを見て、もしかしたらまだ先ほど起きた事からくる恥ずかしさと、これから行く初めての場所に対する不安があるのではないかと思い手を差し出したのだ。
ハヤトなりに思うところがあってしたことであり、それ自体には変な意味合い等は一切ない。
「あ、えっと……よ、よろしくお願いしますね……///」
いきなり手を差し出されたことに少々戸惑うシルヴィだったが、もしかしたら自分のためにこうしてくれてるのではないかと思って手を握っててもらうことにする。
「あぁ、よろしくな。」
それは、そう言われたからつい返してしまったのもあるが、これから恐らく長い付き合いになるだろうとな。と言う予感からくる言葉でもあった。
手を繋いだ二人はエルドマール街に入るために門を目指して歩き始める。




