~聖竜~
「流石にやり過ぎたか……??」
意識を取り戻したと言うよりかは、我に返ったハヤトがまず目にしたものは白い世界だった。
何となく自分がこうなる現象を起こしてしまうような魔法を使ったのは覚えているが、それ以外のことは全く分かっていなかった。
白い世界が消え去ると、目の前には漆黒のドラゴン出はなく全身が真っ白い鱗に包まれたドラゴンが空中でたたずんでいた。
「間違いじゃなけりゃ、お前がさっきまでいたドラゴンなのか??」
「はい、そう言うことになりますね、、」
白いドラゴンが返事をする。
「やっぱりか……っておい、お前しゃべれたのか?」
「正確にはしゃべれるようになった、ですけどね。」
言葉のイントネーションから、ハヤトに迷惑をかけてしまったことへの申し訳なさが伝わってくる。
「ほぉ…じゃぁ、あの黒い状態の姿は本来の姿ではないってことか?」
「そうなりますね。」
「なんであんな風になったのか、原因は覚えてるか?」
「原因には覚えがありませんけど、おかしくなり始めた数日前にある男と出会っていたくらいしか……」
「そうか……。」
(どう考えてもそいつの仕業とでしか思えないタイミングだな……。
初めてあったばかりで絶対とは言えないが……雰囲気からしても、自分の勝手な感情だけではあんな暴走をするとは思いがたいな……。)
「あ、あの……。」
考え事をしていると、白いドラゴンがおずおずと話しかけてくる。
「ん?なんだ??」
「この度は、私が暴走したせいでご迷惑をお掛けしてすみませんでした……」
当の本人は頭を下げているつもりなのだろうが、ハヤトから見るとポーズできにふせをしているようにしか見えなかった。
「気にすんな。
別に暴走したくてしてた訳じゃないだろ?だとしたら、それほど思い悩むことでもないはずだ。」
「で、ですが……」
「過去にやってしまったことでくよくよするくらいなら、これからどうしたらいいかで悩め。
その方がよっぽど有意義だろ?」
歯を見せて笑いかける。
「そうですね……全くもってその通りかもしれませんね……。」
「あぁ。
っと、そろそろ場所を移した方がいいだろうな。」
正確な時間は分からないが、恐らくそろそろここ付近へと今回の討伐クエストの対象を捕獲・あるいは討伐のためにかなりの数の冒険者が向かっていることであろう。
「えっと、それはまたどうしてでしょうか?」
「あんたが暴走してたことで、冒険者ギルドの方で緊急討伐クエストが発令されてるんだよ。
恐らくだが、他の冒険者どももあと少しすればここに来るはずだ。」
「そ、そうでした……。」
「暴走したくてしてた訳じゃないとはいえ、それを知ってるのは俺くらいなもんだし……。
仮に説明したとしても、冒険者達がその話を信じるかどうかもわからな。」
一番は信じてもらえることだが、そればかりは分からんな……と肩をすくめて。
「そういや、まだあんたの名前聞いてなかったな。」
「私の名前ですか……特に決まったものはないんですよね……」
すいません……とまた頭を下げる。
「そんなことでいちいち謝るな。
にしても、名前がないといざというときに呼びにくいよな……。」
顎に手を当てて考えるように。
「あの……厚かましいかもしれませんけど、貴方様に名前を付けて頂ければと……。」
声の調子からして、人の子の姿であれば頬を赤く染めながら、申し訳なさげに言っているような感じがした。
「いや、それは全然構わないんだが…お前はそれで良いのか??」
着いてくるとかは、何回も言われてきて慣れたから良いものの……流石に名前を付けてほしいと言われたのは初めてで、衝撃的ではあった。
「はい、構いません。と言うよりお願いします。
私自身の意思ではなかったとしても、あのままでは貴方様以外の冒険者方に殺されいたかもしれません……とすればこの命は貴方様に救われたのとさして変わりません。
なので、この命は貴方様の物なのですよ。」
真剣に淡々と言うさまは、その物事に嘘偽りなく、本心を言っていることが伺えた。
「それはちょっと言い過ぎじゃないか?」
「いいえ、言い過ぎだなんてことはありませんよ。
本当ならなくなっていた命なのですから……これくらい当然なことなんですよ。」
「そ、そうなのか??」
「そうなんですよ。だから決めていただきたいのですけど……ダメ、でしょうか?」
「いや、ダメではないんだが……本当に良いのか?」
実際名前をつけるくらいなら良いのだが、ただ救われただけの理由で名前を、自分の命までを俺なんかに託して良いのだろうか。と言う疑問のようなものがあった。
「先ほどからいいと言ってるじゃないですか。
そんなしつこく同じことを聞いてくる殿方は嫌われますよ??」
「いや、でもな……名前を付けるなんて早々するようなことじゃないからな……。」
名前をつけることなど、結婚して子供をつくるか、ペットを飼うときくらいであり、当然ハヤトにはそのどちらも、似たようなことも経験はなかった。
「ほら、早くしませんと冒険者方がここへ来るのではなかったんですか?」
何かいつの間にかハヤトと白いドラゴンの立場が逆転していた。
「……あとでセンスがないとかで文句は受け付けないぞ……。」
最低条件だ。と拒否の意は受け付けないといった感じにきっぱりと言い切る。
「大丈夫ですよ♪」
(気のせいか?若干喜んでるきもすんだが……そんな嬉しいものなのか?)
「シルヴィアンカ……でどうだ?」
ハヤトなりに考えた上での名前を口にする。
「シルヴィアンカ!?」
ハヤトのいった名前を復唱するようにいってわなわな震えている。
「やっぱりダメだっ……」
「ものすごくいい名前ですねっ!!」
だめだったか。と言おうとした言葉を遮る勢いでとても嬉しそうにいってくるのだった。




