~討伐クエスト・孤独の時間~
俺はいったい何がしたかったのだろうか……
みんなと別れた……と言うよりは自ら独りを望んだのだが。
少し強く言い過ぎてしまったことを公開していた……。
「はぁ、自分でやったことだし仕方ないか……
クエストから無事戻ってくるまでにどう謝るか考えとくか……」
ぶつぶつと呟きながらギルドへと重い足取りで向かう。
実際ハヤトは皆にたいして謝りたいと思っているのは心のそこからの本音である。
それは自分が明らかにおかしいと理解していたからで。
「俺はあのとき……」
リネスに問と言うよりは、願いの方が近いだろうか……どちらにせよその時の言葉を思い返す。
『そっか……。
なら、せめて悲しい思いだけはさせてしまはないようにしなきゃだよ?』
この言葉を聞いたとき俺はどう感じた……
『言われなくても分かってる……余計なお世話だ。』と……。
決してリネスやシアたちに悪いところは何一つなかった、ただ自分の感情ひとつで物理的にではないが恐怖心を抱かせてしまった。
「無意識だったとはいえ、まさかあそこまで制御できずに殺気が漏れ出るとはな……。」
それに気づいたときはすぐに殺気が漏れ出るのを抑えた。
多分時間にして2、3秒程だっただろうか……それでもその数秒の時間だけでもリネスたちに恐怖心を植え付けるには十分すぎ余りうる時間だった。
「はぁ……もうやってしまったことだ……くよくよしたってなにも始まらないな。」
完全に、、ではないが少しでも気分がましになるよう今は今から向かう討伐クエストのことだけを考える。
「リネスが言ってることからするとかなり危険度が高いクエストなんだよな……そのわりには冒険者の数が多すぎないか……?
確かに人手が大いに越したことはないんだが……」
ギルドにつくなり入ると、中は低ランクから高ランクの冒険者たちでごった返していた。
そしてハヤトの認識としては、この緊急討伐クエストは危険度が高い、そうなれば必然的に死ぬ可能性も高いと言うことになる。
なのにここにいる冒険者たちの数はざっと見積もっても百は越えている。
(こっちの世界では死ぬ危険性より金銭って感じなのか……。全員がそうでないにしろ大半がそう言う目的でここにいるようにしか感じられないな……。)
そんなことを考えている中、回りの話し声に耳を傾けてみると……
「さてさて、今回はこの討伐クエストにクソギルドはいくら支払うんだろうな?」
巨大な薙刀のようなものを抱えた、がたいのいい大男が口にする。
「相当の金額を出すんやないすかね??
なんたって、今回の討伐クエストの討伐対象はドラゴンなんすよ?」
その横に立つ、簡単に折れてしまいそうな細いからだつきをした背の低い男が返す。
恐らく親分と子分みたいな関係だろう。
「そうだな……まぁ、俺達なりに援護なり出来ることをして報酬をもらうとするか。」
ほぉ……と声を漏らす。
てっきりハヤトは、今回の討伐対象相手に真正面から挑む馬鹿かと思っていたため(現世での読んだ小説に似たような人物がいたから)少し虚を突かれたような感覚になった。
(にしても、討伐対象がドラゴンか……それが本当ならカティアに関係したりするのか……?
タイミング的にもカティアと出会ったその日だからな。関係ないとは言い切れないな。
それを確かめるためにも全線で戦うべきか。)
この程度で死ぬならそれまでだ。と覚悟を決めてここの誰よりも全線で戦うことを決意する。
出来ることなら誰にも見られないところで決着をつけよう。そんな決意も胸に抱いて。
それから少し…数分程度たった頃にギルド入り口とは正反対の方向、ギルド職員しか通れない受付の奥のドアがガチャっと開き、女性二人が入ってくる。
「皆のもの待たせてすまない。
知っているとは思うが、私はここのギルド長の白銀萌衣だ。
この度はわざわざ集まっていただき感謝する。」
二人のうちの一人が一歩前に出て謝罪と自己紹介、感謝の順番で口にする。
(名前からして日本人なのか……?絶対とは言えないが同じ転生者の可能性もあるな。
けど、髪の色がな……)
ハヤトが言うように転生者で日本人なら普通なら黒髪なはずなのだが、ギルド長である白銀萌衣の髪の毛の色は透き通るような銀色をしている。
(一様違ったら悪いし、俺的にも転生者とはばれたくないしな……何となく訪ねてみるか……??いやでもどんな風に訪ねたらいいんだ??)
などと頭のなかで思考をしていると
「以上が此度の緊急討伐クエストの内容と報酬である。
異論があるもの、聞いておきたいことがあるものはこの後私しに聞きに来るがよい。
それでは、各自それぞれの持ち場に付くように。」
それを合図に冒険者たちはギルドから出ていき各自それぞれの持ち場に付きに行く。
(やべ、色々と考えてたら何も話聞いてなかったぞ……聞きに行くしかないよな。元々聞きたいこともあったしどのみちだな。)
考えるのをやめたハヤトは、ギルド長・白銀萌衣に近づく。
ギルドから出ていく冒険者を見送っていた白銀萌衣は、一人だけ自分の方に向かって歩み寄ってくるハヤトが目に入ったのかこちらを向いてきた。
それもお構いなしに、目の前まで近づくと
「あんた日本人か??」
ただただ直球に何も包み隠さずに問いかけてしまう馬鹿がいた。




