~緊急討伐クエスト5~
「あまり遅くなるとシアとリネスに心配をかけてしまうかもな……ちょっと急ぐか。」
何だかんだで時間を食っていたハヤトたちは回りを見ると少しずつ日が落ちてきていることに気付く。
「にしても暗くなるの早いな……」
(やっぱり異世界なだけあって時間軸が違うのか……そのうち過ごしていくうちになれるだろうけど、それまでが大変だろうな……
と言うよりこっちの世界の時間関係とか聞いてなかったな……
それに俺のこともいつまでも隠しておくわけにもいかないよな……どうしたもんかな……。)
「ご主人どうしたの~?」
横で自分の腕を握って不思議そうに見つめてくるリリアと目が合う。
その反対側では腕をぎゅっと抱き締める形で握っているミミルとそれを羨ましそうにしつつも仲良く話しているカティアがいて。
「んや、なんでもない。」
(何をやってたんだか……こいつらにもう少し信用しろっていったの俺だろ……なのに俺からこいつらに隠してることを話すかどうか迷って…どんだけ都合が良いんだって話だよなぁ…
誰かに信用してほしいなら、まずは自分から信用しないとだな。)
そんなことを考えてもう一度自分のことを慕ってくれている3人のことを見る。
「こいつらはまだ本当に疑うってことを知らないんだろうな……」
ぽつりと……。
「ん~?なに~?」
「ご主人様どうしたんですか?」
「旦那様?私の顔になにかついてるなのです??」
(俺もなんだかんだ言ってこいつらのこと好きだからな……)
「……なんでもないから気にすんな。」
「ふ~ん?変なご主人~。」
「変なは失礼だろ。
まぁいいか。日が暮れる前に帰らないとシアとリネスに要らない心配かけるかもしれんから急いで帰るぞ。」
変と言われたお返しに、理屈をつけてわざとらしく進む速度を歩くから走るに移行する。
「あぁ~、ま、待ってよ~!」
「ご、ご主人様っ!?お、置いていかないでください~!」
「まだまだなのですっ!!」
軽めに走るハヤトの後ろを必死について来るミミルとリリアとその少し前を余裕気に走るカティアに
(ほぉ、軽めに走ってるがこの速度についてくるのは流石霊狼族と竜人族なだけあるな……それに三人とも小さいうちからこれだからな、これからが楽しみだな。
ミミルとリリアは育て方次第だろうが、カティアに関してはいまでも余裕でついてくるところを見るとマジで化けるな…それと竜神化って固有スキルもまだ現物も、詳しくも見たわけではないが……あれもかなりのものなんだろうな…。
ちょっと闘ってみたいと思うのは仕方ないことだよな……?
別に竜神化したカティアと闘うだけで、ちびの時のカティアをいじめる訳じゃないしな……
…………念のため誰も見てないところでカティアに手合わせ頼むか……うん、それがいいな……。)
走るなかかなり余力を残しているハヤトは頭のなかでのんびりとそんなことを考えていた。
それにハヤト自身まだ気づいてないが、今のこの大人位の年齢の彼がまだ幼いミミル、リリア、カティアを連れてる光景は少なからず回りから怪しく見られていた。
本人たちはそんなこと露知らずに自分達が休んでいる宿へと走って向かっていく。
「……大丈夫か?」
宿屋まで走って戻ってきたハヤトは、自分の後ろを同じく走ってついてきていた3人の幼女…ミミル、リリア、カティアに声をかける。
1名ほどは呼吸すら乱れておらず、全くと言っていいほど疲れなど感じていない。
残りの2人…ミミルとリリアはあの速度についてこれてはいたものの、かなり呼吸を乱して肩を上下させている。
「はぁはぁ……だ、大丈夫…だよ……」
「ミミルも…ふぅ……だ、大丈夫です…けふっ…」
この程度の疲れでハヤトの走る、推定40キロほどの速度についてこれたどけでもかなりのものだろう。
「悪かったな。どれくらいの速度までついてこれるのか気になってな。」
最初はただ変と言われた仕返しに意地悪したくて走り出しただけで、直ぐやめるつもりだったのだが以外とついてきたので楽しくなったのと、試したくなって少しずつであるが速度をあげていたのだ。
それから2、3分経って……
「もぉ!ご主人のいじわる~!!」
「い、いじわるです~!ぎりぎりだったんですよ~!!」
二人が息切れから復活すると「もぉー!!」とぽこぽことハヤトの腰辺りを叩くが、本気で叩いているわけではないので全く痛いものではなく。
「だから、悪かったって。」
ハヤトはそれを止めるわけでもなく、ただ口だけでやめるように言うだけでいる。
ただただ叩き続けられ、大体3分ほどで気が済んだらしく叩くのをやめてくれる。
「ご主人反省してるのかなぁ~?」
「あぁ、反省してる。」
「ならもう2度とこんなことしないって誓ってくれるですか?」
「誓うから、な?」
ずずずっと有無を言わせないオーラを纏った二人に言い寄られてほとんど言葉を無理矢理言わせられているような感じになる。
「旦那様も反省してるみたいなのです。もう許してあげると良いと思うなのです~?」
「カティアちゃんがそういうなら……」
「許してあげなくもないです。」
先程まで有無を言わせないオーラを纏っていた二人もカティアの最後の助け船によりおさまってゆく。
(ナイスだカティア!)
(あとでなでなでを所望するなのですっ!!)
(あぁ、了解した!)
この状況をどうすれば丸く収まるか考えたあげくに、ミミルとリリアの言うことを聞いて、反省してますよと言った感じに見えるようにすれば良いと至ったハヤトはそうしたのだが、そう簡単には収まらず悩んでいたところにカティアの助け船が入って心底ほっとしている。
そして助けてくれたカティアとコンタクトでお礼をいったのだが、それに対してのカティアの返事が何故だか会話が成立していたことに対しては二人ともそんなこと当然とばかりに気にせずに会話をしていた。




